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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第1章 辺境の村シーズ

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第11話 騒動後のあれこれ



 その夜は宴会が開かれた。



 しょっちゅう宴会してる気がするが、そこは気にしてはいけない。


「お前と約束したもんな。あいつの肉で宴会するって」


 アルが指差す村の広場では、スノーボアの肉料理が豪快に振る舞われている。


 異世界ものに造詣の深い諸兄ならとっくにご存じであろう。

 この世界も例に漏れず、高ランクの魔物肉ほど美味な傾向にあるのだ。


 なので、極上の馳走を前に野生を取り戻すことに成功した、飢えた村人たちによって絶賛奪い合いが発生中。

 肉を口に咥えながら奪い合う狼ってあんな感じなのかな。



「……そうですね」


 現在、俺は背中をアルマジロみたいに丸めながら、野菜ジュースをちびちび飲んでいる。


「はっはっは! とてもスノーボア相手に、真っ向からやり合った奴とは思えないな」

「だいぶセラさんのお説教が効いたみたいね。ふふっ」



 そう。案の定、俺は母さんから叱られた。涙で顔をくしゃくしゃにしながらの優しく諭すようなお説教は、魂に響いた。

 転生した直後やスノーボアを前にした時よりも、よほど感情が揺さぶられた。


 でも、しゅんとする俺に向かって最後。


「ありがとう、ルイン。あなたがいなかったら、きっとみんな助からなかったわ」


 と笑顔で言って抱きしめてくれたのだ。それだけで、あの時頑張ってよかったと心から思えたよ。



 ……その直前のお説教ダメージがデカすぎて、いまだに尾を引いているが。




「わしも見たかったのぅ。ボス猪と戦うルイン坊の勇姿を」


 父さんと一緒にこちらへやってきて、開口一番にそう語るガルフは言葉通り残念そうだ。




 あの時ガルフと父さんたちは、こちらの戦いが終わってすぐに駆けつけた。向かっている最中、スノーボアを倒した際の歓喜の叫びがバッチリ聞こえたらしい。


 向こうでの戦いは特に語るようなことはない。


 ボアが畑の作物を夢中になって食べている隙に、ガルフの範囲魔法で奇襲。弱ったところを全員でフルボッコする形であっけなく壊滅した。


 囮にされた挙句、ガルフの魔法でさらに荒らされてしまった畑の持ち主、ダニエルおじさんは宴会が始まってからずっと、隅っこで静かに泣いている。


 うまい肉を食って、明日からは元気になってほしいところである。



「マッシュ殿はご子息が魔物と戦ったと聞いても、特に驚いておらんかったのぅ」

「ははっ。俺はね、こいつはいつかやると思ってました」

「言い方ァ!」



 宴の夜は更けていく。





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 翌朝、村長宅にて



「これで依頼は完了です。お疲れ様でした」

「いや、こちらこそ村人を危険に晒してしまって、すまなかったな」


 村長と"フェザーテイル"を代表してアルの話し合いが開かれている。


「とんでもない。あなた方は、イレギュラーな状況でも決して村を見捨てなかった。謝ることなんか何もありませんよ」

「そう言ってもらえると助かる」


 穏便に話はまとまりそうだ。村長は依頼完了証明書にサインした後、アルに渡しながら尋ねる。


「いつ村を発たれるんですか?」

「この後、野暮用を済ませてからの予定だ。特に時間は決まってないから、見送りは必要ないぞ」

「わかりました。道中お気をつけて」

「ありがとよ。縁があったらまた会おう。じゃあな」


 そう言い残し、アルは村長宅を後にした。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「……火力が足りないな」


 秘密基地にて。

 スノーボア戦の時にも思ったことを、木剣で素振りをしながら呟く。



───────────────


ルイン


レベル6


魔法 :【点火】【氷の盾】


スキル:【視て盗む】【魔力操作】【突進】


称号:転生者


───────────────


 レベルが5も上がったと見るべきか。5しか上がらなかったと見るべきか……。


「う〜ん、わからん。でも確かなことは」


 レベルアップのおかげだろう。昨日までとは動きやすさが全然違う。

 身体が軽い。こんな気持ちで訓練するのは初めてだ。


「もうなにも怖くない」



 ……いや、ふざけてる場合じゃないわ。火力が足りないんだって。


 なにげなく手持ちの魔法とスキルを見て、つい口から出てしまったのが先の発言である。


「1撃で魔物に致命傷を与えられる手段が欲しい」


 現状、短剣を突き出して【突進】を繰り出す、ヒャッハーな蛮族スタイルが最高火力となる。これは強さ的にも見た目的にもいただけない。


 次にまた強力な魔物と戦う時のために『確実に殺し切れる手段』が必要だ。

 いつまでも、目を狙うとかの小細工が通用するわけがないからね。


「次の目標は火力の確保だな」

「へぇ、アテはあるのか?」


 そこに割って入る声が聞こえた。そちらを見ると、旅支度を整えた"フェザーテイル"の3人が。


「みなさん! 昨日の今日で、もう行っちゃうんですか?」


 え、まじで行く気か? まだ冒険者のことについてとか、ほとんど何も聞いてないんだけど。


「おう。ここは良い村だが、早くホームに帰ってゆっくりしたい。ギルドに報告もしなくちゃ行けないしな」

「そうなんですね……」

「で、さっきの質問の続きだ。火力の確保だっけか。アテはあるのか?」


 やけにグイグイくるな。なんだ?


「えーと、特にあるわけじゃないですけど……」


 そこへテレーゼとガルフも会話に入ってきた。


「こら。誘導尋問みたいなのはやめなさいよ。聞くならハッキリしなさい」

「うっ…すまん」

「やれやれ。のぅルイン。お主……『他者の技を真似する』といったことが出来るじゃろう?」


 ガルフはアルに呆れながらも、ズバッと聞いてくる。


 あ、なんだ。そのことか。


「はい。できますよ」


 俺はあっさり認めた。


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