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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第9章 シーズ村のルイン

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第113話 里帰りへ向けて〜王都のダグラム伯爵邸にて〜


第9章 始まります!


 本日は1人で王都のダグラム伯爵邸に向かっている。


 以前、採寸しにきた時に「家の者には周知しておくから、次からはいつでも訪ねてきてくれて構わないからね」とガーランド伯爵直々にお言葉をいただいているので、早速甘える事にしたよ。


 採寸……キャシー……うっ、頭が。



 他のメンバーは自由行動中だ。何をしてるかまでは聞いてないが、だいたい予想できてしまうのが"アルゴスアイズ"のメンバーである。


 お、そうこうしてる内に着いたね。


「門番さん、こんにちはー」

「ん? あ、若じゃないですか! 本日はどのようなご用件で?」

「ガーランド伯爵とセレナにちょっと話があって」


 おわかりいただけただろうか。


 すでに俺のことは『セレナの婚約者』としてこの家中に知れ渡っているのだ。気づけば"若"などと呼ばれるようになってしまっていた。



「すぐに案内の者を──」

「その必要はありません」


 門番さんの声を遮るようにして1人の男性が現れた。


「執事長!?」

「後は私が引き継ぎますから、あなたはこのまま職務に励んでください」

「はっ! 後はお任せいたします」

「任されました。それでは若様。こちらへどうぞ」


 門番との短いやり取りの後、俺を案内してくれるこのザ・執事こそが、この王都ダグラム伯爵邸の使用人達をまとめ上げている男、その名も。


「よろしくお願いします、セヴァ・スーチャ執事長」

「ほっほっほ。なんの。お安い御用ですよ」


 セヴァ・スーチャ。うん、なるべくして執事になったであろう名前である。使用人に対しては厳格な態度で接するけど、俺にはこんな感じでガルフ化する。


 もしかしたら俺は、お爺ちゃん特攻の隠しスキルか称号でも持ってるのかもしれない。


「若様?」


 おっと、余計な事を考えてる場合じゃなかった。


「すみません。なんでもないです」


 その後は特にこれといった会話もなく、大人しく執事長の後をテクテク着いていくのだった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




「やあ、ルイン君。待たせたね」

「ごきげんよう。ルイン様」

「こんにちはガーランド様、セレナ。早速お言葉に甘えて来てしまいました」


 応接室に通されてから、さして待つこともなくガーランド伯爵がセレナを連れてやってきた。その背後には、もちろんグレースの姿もある。


 テーブルを挟み対面で座った俺たちの前に、どこからともなく現れたメイドがササッと紅茶を用意する。感謝の意を込めて、メイドの顔を見た俺は思わず硬直してしまう。


 …………は?


「若様、私の顔に何か?」

「い、いえ。なんでもないです」



 ────アイエエエエ! メイド!? メイドナンデ!?



 そこにいたのは、ヴォルクスでセレナとお茶会した時にいたバトルメイド(推定)だった。


「むう。ルイン様? バニラに見惚れてるのですか?」

「ルイン君、セレナというものがありながら、どういうことかな? ん?」

「若様、そんな……困ります(真顔)」

「…………」←グレースからの無言の圧力


 やっべ。一瞬で場が這い寄る混沌に飲み込まれた。うー、にゃー。


 この場にいないはずのメイド(バニラというらしい)に、ちょっと驚いただけでご覧の有り様だよ。

 もう油断したとかそういう次元の話じゃない。微かな動きも見咎められる。強制的に『だるまさんがころんだ』をやらされてる気分だ。



「言い訳をさせてください」

「聞こう」


 ガーランド伯爵が聞く姿勢を見せてくれた。よし、まだ舞える。


「バニラさん? って、ヴォルクスの館にいましたよね? 普通にここにいたので、びっくりしたんですよ。他意はないです」

「本当かね?」

「はい。この曇りなきピュアな瞳を見てください。これが嘘をついている者の目に見え申すか?」


 じっと数秒間、伯爵と見つめ合う。やがて……。


「キラキラしすぎて逆に胡散臭いけど、まあ信じよう」

「私も信じます」

「ありがたき」


 よし、セレナもついでに許してくれた。やったぜ。


 ホッと胸を撫で下ろす俺に、伯爵が言葉を続ける。


「それで、『何故バニラがいるか』だったね。それは彼女に直接聞こうか。バニラ?」


 バニラに全員の視線が向く中、彼女は真顔のまま平然と言い放った。



「メイドですから」



 絶対そう言うと思ったよ。



     ※  ※  ※



「無駄に回り道をしてしまった気がしますが、今日お伺いしたのはシーズ村へ行く件についてです」


 ようやく本題に入れる。なんでいつも話が横道に逸れるんだ。女神リーンが、またなにかしてるのかもしれない(ヤケクソ責任転嫁)


「その話なら、こちらは準備できているよ。セレナ」

「はいっ! お義母様へお贈りする着火の魔道具も用意できてますよ」

「本当にいいの? お高いんでしょう?」


 ありがたいけど、申し訳なさもある。後でちゃんと何かの形でお返ししよう。


「いえいえ! 今なら1つ買うと、もう1つおまけで付いてくるのでお得だったんです」

「ん?」


 なんかまた話の流れがおかしくなったぞ。やめてよ。やっと本題に入れたっていうのに。


「開店から30分間は、オペレーターを増員してお待ちしておられましたので、とてもスムーズに購入できました」


 テレビ通販じゃねーか! この世界でオペレーターってなんだよ。


「そ、そうなんだ。ありがとうねセレナ」

「はいっ!」


 ……

 …………

 ………………


 その後も話があっち行ったりこっち行ったりと落ち着かなかったが、ヴォルクスのソフィ親子にも了承をとり、なんとか翌日にシーズ村へ行くことが決定した。


 今回は俺、セレナ、ソフィ、グレースの4人だ。


 みんな、俺が貴族になることや婚約した事を聞いたらどんな顔をするかな。


 今から里帰りが待ちきれない俺であった。



ようやく帰ります。



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