閑話 その転生者は再会を待ち望む
過去に、カク◯ムでギフトを贈っていただいた際にお礼として書いた短めのSSです。
このSSを読んだ方が後の展開がより楽しめると思いますので、こちらでも公開します。
─都内某所─
「オラ、塁! 疲れてっからって手ぇ抜くな! しっかり鍋振れ!」
「はい! すみません先輩!」
可愛い後輩を叱り飛ばしながら、自分の料理を仕上げていく。これが俺の分のラストオーダーだ。
完成した料理をホールスタッフに任せて塁の方を見ると、疲労困憊ではあるが料理は合格点を出せるものができていた。
「成長したねぇ」
「いや、普通にしんどいですって。明らかにバイトにやらせる仕事量じゃないですよ」
「俺に言われてもどうにもできねぇよ。上に直談判するんだな」
雑談しながら、賄いを作り始めていく。
「今日も乗ってけ。送ってってやるよ」
「いいんすか!? 助かります! ついでにコンビニも寄ってもらっていいすか?」
「お前な……。今から賄い食うだろうが。まぁいいけどよ」
「いや〜、美味いもん食った後って、無性に菓子食いたくなりません?」
「それは分かんねぇわ」
塁がバイトで入ってきた日から、もう結構経ったな。
ホールの仕事を覚えてからはキッチンに回されて、「料理を教えてください!」とか言ってきたのを今でも覚えてる。「そんなもん視て盗め」で終わらせたが……。
それから、マジであっという間に技術を盗んでいくコイツに戦慄もしたもんだが、今では頼もしい仕事仲間だ。
まぁ、どっかの会社に就職するまでは、頼らせてもらおう。できればずっと一緒に仕事していきたいとも思うが、塁の選ぶ道がなんなのか楽しみでもあるしな。
そんなことを考えながら本日の仕事は終了した。
……
…………
………………
「夢か」
窓から朝日が差し込んでいる。白一色の部屋で俺は体を起こすと、ベッド横の水差しから一口水を飲む。
「懐かしい夢を見たもんだ」
これは予兆なのかもしれない。
「もうすぐ塁に会えるんだな? 女神リーンよ」
今から待ち遠しい。再会したら、なんて声をかけてやろうか。
また、美味い賄い飯でも作ってやろう。泣いて喜ぶかもしれねぇな。
「さて、今日も1日頑張るか」
近い再会を楽しみに、着替えを済ませて寝室を後にする。
胸を張ってアイツに会うために、気合を入れて"職場"へ向かうのだった。
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