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その転生者はスキルも魔法も【視て盗む】〜異世界転生ものが大好きな男の異世界転生〜  作者: 空茶日
第8章 王都で"彼"を待つものは

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第99話 働きたくないでござる!


第8章スタートです


危うく記念すべき100話目が、こんなサブタイトルになるところでした


「はいルイン君、お茶淹れたよっ」


 ソフィが甲斐甲斐しく、俺に紅茶を淹れてくれる。


「ありがとうソフィ。いつも悪いねぇ」

「それは言わない約束よ。ふふっ!」


 俺は香りをじっくり楽しんでから口に運ぶ。うむ、良き!


 遅く起きた休日の朝に、ソフィに淹れてもらった美味しい紅茶をいただく。これが俺の求めていたものである。



 幸せって、すぐそばにあったんだね。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 帝国から帰ってきてから、はや1週間が経過した。



 帰国後、俺がしたことは以下の通り。


 まずリーン教会に行って、聖女の護衛という名のお泊まり会を満喫していた"アルゴスアイズ"の面々に『ありがとう』をした。

 驚くべきことに、俺の心配をしてくれていたのは聖女セシリアとエカテリーナさんだけだったよ。真の仲間ってなんだろうね。



 しょんぼりしながら『渡り鳥の止まり木』へ帰った俺を出迎えてくれたのは、まるで天使のような笑顔を浮かべたソフィである。


 俺の顔を見た彼女は、こう言い放った。


「おかえりなさいルイン君っ。お願い事が決まったわ!」と。


 まさかの初手お願い。これには俺もビッくらポンだが、こんなに瞳をキラキラさせている彼女に「ノー!」と言える訳がない。あらかじめ、アル達から聞いていたしね……。


 意を決して、彼女の"お願い"を聞いてみると。



「あのね、その……。わ、私と……(ゴニョゴニョ)……一緒にいてくれるっ?」



 恥ずかしいのか、顔を真っ赤にした彼女のお願いは、とても子供らしくて可愛いものだった。きっと寂しかったのだろう。なんとも微笑ましい気持ちになった俺は、もちろん二つ返事でOKする。


 大喜びのソフィを見て、とてもほっこりした。うんうん。時間があったら、なるべく一緒にいてあげよう。


 その後、宿に戻ってきたカトレアに休暇を申請したところ、無事に受理された。やったぜ。



 ということで、こうしてソフィにお世話されながら今日に至るのであった。




☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★




 これが、この1週間で起こった出来事である。



 ──バァン!



「である。じゃないでしょうが!」

「げえっ!? カトレア!」


 扉を乱暴に開け放って入ってきたのは、釣り上がった目をしたカトレアだ。やばい、おでこに怒りマークがくっついてる。このままじゃ怒られる! かくなるうえはっ。


「ええいっ! なんと無礼な! ノックもしないで入ってくる奴があるかっ! 出直して参れ! 喝っ!」


 最終奥義『怒られる前にこっちが先に怒る』だ。帝城でもそうだったが、やられる前にやれば戦いとは確実に勝てるものなのだ。


「黙れ」

「…………」


 負けました。


「たしかに休んでいいとは言ったけど、いくらなんでも1週間は休み過ぎでしょうが! ソフィ、悪いけどこいつ借りるわね。ほらっ、今日はギルドに行くわよ」


 カトレアに首根っこを掴まれる。ソ、ソフィ! ボスケテ!


「おっ、お仕事……はっ! ルイン君、行ってらっしゃい! 帰ってきたら、美味しいご飯用意してるわねっ」


 ちょっと顔を赤くしたソフィは、なぜか新婚さんみたいな空気を出してお見送りしようとしていた。救いは無かった。


 しかし、ナメてもらっては困る。こんなところで諦める俺ではないわ!


 近くにあったベッドのシーツをギュッときつく握りしめ、高らかに叫び散らかす。悪いな! 俺は往生際が悪いんだ!


「働きたくないでござる! 働きたくないでござる!」

「【スタン】」


 ──バチィッ!


「……それ、は……やりす、ぎンゴ……」


 痺れを切らしたカトレアが、駄々をこねる俺を痺れさせる。後ろ襟を掴まれてドナドナされる俺が最後に耳にしたのは。


「行ってらっしゃいルイン君。気をつけてね〜」


 というソフィの優しい声であった。




     ※  ※  ※




 パーティーメンバーと合流後、討伐依頼なんかを軽く済ませた俺たちは、ギルドの酒場で改めて近況報告会を開催することにした。


「はははっ! なかなかルインから連絡がないから、また何かに巻き込まれてるんじゃないかと思ったぞ!」

「おー! むしろルインが1週間も無事に休めたのが奇跡だぞ!」

「ははは。何も言い返せないや」


 ビルとエルルにズバッと言われてしまうが、実際その通りなのでなんも言えねぇ。


「それで、そっちは特に何も無かったんだよね?」

「おう。法国の影はどこにも無かったぜ。まぁ、今はこの街に"剛拳のリアラ"もいるしな。下手なことはできねーって」

「それもそうか」


 それと俺が帝国に行っている間に、ローグはしれっとCランク昇級試験を受けて合格していた。これでうちのパーティーは全員Cランクってことだね。


 ローグの報告を受けた後は、帝国であった事なんかを、かいつまんで説明する。もちろん話せることだけだが。


「なるほど。お疲れ様だったな」

「ありがと、ビル」


 一通り仲間達に労われた後は、これからどうするかの話し合いが始まる。



「それで、王都に行こうかと思ってるんだけど」

「王都に?」

「そう、ちょっとリーン教会本部に用があって」


 転生者云々と言われたら、会いに行くしかあるまいて。


「……あっ、教皇聖下に会いに行くのね?」


 カトレアはやはり理解が早い。……早過ぎじゃない?


「それが一つ。他にも王都で色々イベントがありそうだから、いつでも跳べるように1度は行っておきたいんだよね」


 叙爵されるみたいだし。帝城でユニウス王子に伝えた、俺の希望が通ってるといいなぁ。


「分かったわ。ルインの魔法でいつでもこの街に帰って来れることを考えると、準備もそう必要ないでしょうし、予定を決めて近いうちに出発しましょう」

「さんきう」


 その後話し合った結果、出発は2日後ということになった。大まかな段取りを決めたらこの日は解散することに。


 あぁ。これからまた忙しい毎日がやってきてしまうのか。


 

 俺の夏休み、終わっちゃった……。



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