両極を抱きしモノ③
【太極を知ろう!其ノ壱】
この世界を構成する5つの国の中で太極は唯一四季がない国です。その為、他の4つの国の環境に馴染めず加えて安定を求めて住み着いた人々が大半を閉めます。そして、この国が特徴として黄土色をした建物が多いです。其れはこの国を象徴する色であるため。更にそれぞれの地を象徴としている神獣、太極の場合では麒麟の紋様を頂くモノを身につける事が許されているのは、国の主のみのされている。
美人さんを適当な場所に座らせた。
『お嬢さん、良かったらどうぞ食べて元気になるわ。』
天音は数少ない所有物の中からあるモノを取り出し、彼女に差し出した。
「あ…その、頂こう。これは…不思議な香りだな、芳醇で甘い香りがする。」
『其れはチョコレートって呼ばれている食べ物です。普段から小腹が空いたり元気が出ない時用に持ち歩いているんです。』
不思議そうに差し出されたモノを見つめる彼女に天音は満足気な笑みを浮かべた。
「……ちょこれーと、か」
聞き慣れない言葉を転がすように呟きながら、ゆっくりと包みを開く。中から現れた艶やかな欠片に、黄昏色の瞳がわずかに細められた。
「あまり、見た事がないな。白秋の方では頻繁に茶請けとして出されるとの事だが…然し.まるで…黒曜のように艶やかで…とても魅力的だ。」
『(クッ、これ、傍から見たら"え?!口説かれてる?"って勘違いする女子が湧く台詞ではあーりませんか!美人なうえに表現も美しいなんて…ボーテ!)でしょ?見た目ちょっとそれっぽいですよね。でも食べると全然違いますよ!』
勢いよく身を乗り出し、内心ではオタク丸出しの発言をする天音に対し、戸惑いながらも未知のものへの好奇心を隠さない彼女は小さく息をついた。
☾
そんな2人の様子を影からこっそり。見守る影があった。
「おい、マコト!今は飛び出してはいかん!」
「え〜パパ何で?あんなに楽しそうなのに…」
プンプンと拗ねた表情を浮かべる我が子に父は頭を抱えた。
「マコト…言っただろう。あの人はこの世界に居てはいけないんだと…」
「その割に、パパ随分と嬉しそうだよね?」
子供の鋭い観察力には毎度の事ながら脱帽するな。
マコトの言う通り、彼女に会えて嬉しいのは確かだ。然し、素直に喜んでしまって良いものかと思っている事もまた事実だ。
「あの手に持ってるおやつ良いなぁ〜あれ、昔の僕では毒になっていたモノだよね?おばあちゃんはよく食べてたけど。」
マコトは天音の手に持っているチョコを見つめた。昔は差し出された物を受け取り、気に入らなければペイッとしていた。その度に祖母はやれやれといった感じで別のものをくれた。そして、僕がおやつを食べる姿を見せると頭を撫でてくれた。あの頃は少し煩わしかったけど…今思えばもっと孝行を重ねればよかったと…そう、思う事も度々あるのだ。




