創造の世界へ
古き地に祀られしその祭壇に、あるモノは様々な捧げ物を奉納した。そして、異なる二つの色素だが艶のある御髪と瞳を持つ麗しい御仁は深くお辞儀をし、懇願する様に土下座をした。
「どうかお応え下さい、何故…我等を紡ぐ事を諦めてしまわれたのですか!」
その声はまるで親に見捨てられた子供の様であった。
さて、皆さん、ここで私がかつて創り出した世界の設定をご説明しましょう!まず初めにこの世界は五つの土地に分かれ、それぞれの主が収めている。四神と称えられる神々に由来し、季節も固定されているのだ!
かの東の地は【春麗】、花々が咲き誇っている。南は【朱夏】強い陽射しと実りを称える土地。西の地は【白秋】工業などが栄えている。北は【冬絢】、極寒の地ではあるがそれ故に織物わ初め、高名な学者等の知識人が多い。そして、最後に中心の地【太極】はこの全ての文化で混じり合うと同時に交易の中心にして象徴たる主が住まう土地だ。
その他、身分もあるけど…まあ、其れはまたの機会に語ろう。
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その年、この国は酷い災難に見舞われた。新しい太極の主が即位されるや否や天災が起こり、人々からの不満の声が上がったのだ。いつの時代もそうだが人々はその怒りを若き王へと向けた。
「…陛下に拝謁致します。」
若き武官は目の前の主に礼をとる。
「面を上げよ。して、友よ民達の様子はどうであった。」
「ッ…其れは…」
苦渋の表情を浮かべた部下の姿に王は察し、彼の肩に手をやった。
「すまない、友よ。私が不甲斐ないばかりにお前には何時も苦労させてしまう…」
「陛下、何を仰るのですか!」
「私が即位したばかりに民を苦しめている。ならば、私が帝位を退けば…」
「嗚呼もう!絶対に貴方のせいではありません!其れと私が好きでやっている事なので気にしないで下さい、私達は幼馴染ではありませんか!」
2人は確かに王と臣下という立場だが、幼い頃から共に学問を学び、鍛練をして過ごした掛け替えの友だ。
故に王は自身の血肉の様に友の事を思っている。
「だが…いや、すまなかったな。」
王は気持ちを切り替える様に奏上された書類に次々と目を通していく。
「朕が収めているこの地の問題も重要だが、他の地も理由は違えど問題を抱えている。」
「東の地は飢饉に見舞われ、南の地は干ばつ、西の地は地滑りで道を塞がれ、北の地は酷い雪氷ですか…何というか、天災のオンパレードですね。」
「嗚呼、だが何とかせねば…我らは住む土地は違えど、この世界に生きる存在だ。決して見捨てる事など出来ぬ。」
王はふとある事を思い出した。今は昔の事だが、この世界がまだ停滞したいなかった頃に次々と世界を楽しそうに創り出し、我等を生み出してくれた声の事を。
『(やっぱり、王様は優しい人が良いよね。自分の事だけでなく、ちゃんと人の事を思いやれる人。だから、貴方には…)』
その言葉を朕は思い出す、祈りを込めてこの名を与えてくれた貴女に何時か会いたいと…




