国盗りからの
内政問題が片付かない。
これは本当に参った。傭兵団のリーダーが、他のユーザーを纏めてくれているのは助かっているが、如何せん数が多い。過疎地域でこんなに居るとなると、違う地方に行ったらどうなることやら・・・
ついでに言えばNPC配下も増えてしまって、俺自体が把握できていない。黒田君も最近見ないし、アカネさんだけが色々と助言をくれている。
だがしかし、問題が一向に解決する気配が無い!
桜花は常清、武蔵を連れて開発作業に勤しんでやがるし、壚チームは楽しく盗伐クエストなんぞやっている。
なぜか俺だけが書類を見ては署名して・・・
仕事と何も変わらないじゃ無いか・・・
違うんだ、そうじゃないだろう?ゲームなんだぞ?これ!
よし!決めたぞ。依頼を受けに行こう!そうしよう!
やって参りました奉行所に。依頼を受けようとすると、受付孃コンビが依頼はありませんと来たもんだ。
どういうことか聞くと、他のユーザーが依頼が出るハナから依頼を受けていってしまってるらしい。
なんだ、それは。
仕方が無い、始まりの町に行くとするか。
始まりの町についたは良いが、様子がおかしい。
「イベントが始まるらしいぞ!」
「どんなイベントだよ!」
「内容は分からんが、運営の掲示板に出てたぞ!」
「また傭兵団イベか?落ち武者狩りか?それとも来るか?大妖怪盗伐!」
「妖怪来て欲しいな!PvPもいいけど、勢力がなぁ。規模も違えばまた領土が灰になる奴出てくるかもだしな。」
どうやらイベントが有るらしい。うちは参加出来るのか?
いや、むしろうちが敵でユーザーが足留めに来る位はしかねんな、運営は。
金さんが唐沢を止めてたりしてな。
と、そんなことは、どうでも良くてだな、依頼だ依頼。
「すまんが何か依頼はないか?」
「えっと、今有る依頼はですね、伐採と掃除とお使いですね。」
「は?なんで、そんな依頼しか無いんだ?」
「申し訳ありません。最近は依頼自体が減って来てるんです。
傭兵団向けの依頼は多いのですが・・・」
「なんと、ここでも受けられそうな依頼が無いとは、ちょっと異常だぞ!
金さんと話しをさせてほしいくらいだな。」
とは言え、そんなことをする事も出来るはず無く、渋々、城に戻ると書類が山になっていた。
泣きそうである。確かに前もこんな事になったな。
今回は一国落としているからな。仕方なしか・・・
「殿、大友から使者が来てございます。」
え?お前誰だよ。こんな事が本当に増えたな・・・配下NPCが城に湧いてるのか?ってくらい増えたから把握できんのだ。
「大友からの使者?桜花達を呼び戻してくれ。壚達もな。
戻ってくるまで、大友の使者にはお疲れを取って貰うようにな。」
「畏まって御座います!」
一体大友が何の話しか。
宣戦布告か?同盟か?なんだ?分からんな
一刻が過ぎた当たりで全員が集まったため大広間へ移る。使者も大広間に通すように伝える。
大広間では大友の使者がキョロキョロと大広間を見ている。
「申し訳ござらん。お待たせしましたな。相田 玄と申す。」
声をかけるまでこちらに気付かずキョロキョロしていた使者は、ビックリしたようにこちらを向き、平伏して
「恐れ多き事にて、大変申し訳ありませぬ。あまりにも美しかったため、目を奪われておりもうした!!!」
何か全力だな。最近はAIの相手をしても不思議とは思わなくなったな。
うん。人格を形成しててもおかしくないって思えるようになってしまった。
「で、あろう?力を入れて作らせたからな!そのステンドグラスは中々の出来栄えでな、自慢なのだ。」
「すてんどぐらす、で、御座いますか?それは南蛮の物にござりますか?」
「そうですね。南蛮の物ですな。」
「我が、大友も南蛮との交易をしておりますが、こんな物は初めてお目にかかりもうす。」
目をキラキラさせて、そう言う使者。
かなり気に入ってくれたみたいだな。だが、なんか、やたらとフレンドリー過ぎないか?これ。
「で、ご使者殿、此度はどの様なご用件か?」
「はっ!申し訳ございませぬ。先ずは先におつたえすべきで御座いました!
時に相田殿は錦の御旗と鎮西将軍、足利の二本引きを公方様から下賜されたとは、誠で御座いますでしょうや?」
「俺は幕臣って事らしいからな。幕府から土地を貰い、この地を平定するようにとの事でな。
その折に錦の御旗と征西将軍を拝命しております。
鎮西将軍では御座らぬ。」
「では、足利の二本引きは如何に?」
「あぁ、あれは秋月の中の者が色々と不穏な動きをしておってな、幕府のご所領をどうにかしようとしておると公方様へ報告した際に、足利の二本引きもいただいてな。」
「なんと、誠で御座いましたか!」
「秋月の裏で大友が糸を引いておるのではないかと思っておったのだが、違うのか?」
ストレートに聞いてみた。相手の反応を見るためだ
「なっ!その様なこと御座いませぬ!断じて大友は無関係にござる!
そもそも大友と秋月は仇同士にて!こちらから何か仕掛けるとすれば戦にござる!」
「すまぬ、疑っていたわけでは無いのだ。家臣の中にはその様に言う者も居るのでな。確認だけだ」
どうも本当に違うらしいな
「で、あれば此度は何様で参られた?」
使者は待ってましたとばかりに前のめりになり、
「その事に御座います!我が大友家は公方様から探題を任せられた家にございまする。
公方様に弓引くは家門の名折れ!忘恩の徒になるような真似は出来ませぬ!」
「それは公方様にお確かめになられたのか?」
「恐れ多くも斯様な事を公方様にお聞きするは不敬で御座りましょう。
で、あれば相田様から事の真相をお聞きし、公方様には相田様の元、幕府を守りたてて良く事を誓詞にてお伝えする所存に御座いまする。」
は?何て言った?今、不穏な事を言わなかったか?
「待って頂きたい、こちらの下につくと仰いますか?」
「相田様の元、幕府の元に馳せ参じるので御座いまする。
その旗頭である相田様に協力するは武門の誉れ。」
あれ?これって俺の書類仕事が増える案件じゃないか?
「横からごめんね。1つ確認したいんだけど、こちらの意向で兵を出すって事なのかな?」
「勿論で御座いまする。幕府再興の為に兵を挙げるは当たり前のことに御座いますれば。」
「ご使者殿、一旦こちらで話しをしたいので、別室にてお寛ぎ頂きたい。」
そういって、使者を退室させて話し合いに突入
「ねぇ、玄、これってさ、大友が降って事?」
「正確には相田家に降ったのではなく幕府に降ったでしょうが・・・」
「僕が聞いた感じでは間違いなく敵対する気配は無いよね。
むしろ、一緒に九州を獲ってしまおうって腹だと思うよ。」
「体よくこちらを利用しようと言うことみたいだよな。」
「兵を出すって事は恩賞あって然るべきだからね。」
「じゃあさ、玄はどうするつもりなの?」
「どうするもこうするも断れる話しではないだろ。
これを断れば大友からは幕府に降ろうとしたのに相田家に断られたと吹聴されたら、幕府の威信が地に落ちる。」
「だよね。これってこの話が来た瞬間に答えは1択なんだよね。」
「九州統一が早まるって事だと思って良いのかな?私達って、まだ加入してからそんなに経ってないけど、この流れって止まらないんじゃ無い?」
「どういうこと?」
「それは、九州北部は小弐家、南部には姶良家、伊東家、島津家が、長崎は松浦家がおさめているのであるが、この武家は幕府に対して反抗する様な大名ではないのである。」
「つまり?」
「何もしないままに九州が纏まってしまうということである。」
「俺もそうなるんじゃないかと思っている。全国統一がかなり早まる可能性がある。」
「でもさ、玄。応仁の乱が収束していないのに、幕府が纏まると思う?」
「細川か?」
「と、言うよりも管領かな。あいつらがデカい顔したいからってのが応仁の乱勃発の原因だって思ってるんだよね。」
「まぁ、そんな側面もあったかもしれんが、今や管領職だった細川も山名も大した力は無くなっているからな。」
「そう考えると、中部地方から近畿地方が戦場になる可能性がでてきましたね。
九州、中国地方、四国地方は幕府の力が及びやすい。それも玄が兵を以てして上洛すれば乱世が終わる可能性もありますね。」
「ここに来て、あいつが言ったことが現実味を帯びてきたな」
「あぁ、あの電光石火で全国統一って奴ね。わたしは笑い話くらいにしか思って無かったなぁ。開発しているところって中途半端になって終わっちゃうのかな。」
「それは、開発が終わるまでは幕府の再興はするなって聞こえるんだが?」
「そうは言ってないけど、そうなる方がいいかなってだけだよ。」
何処までも開発なんだな桜花は
「つまり、この先は一気に状況が変わってくるって事でいいんですか?」
「合流してすぐにこんな事になるとは思ってなかったがな。
折角模擬戦やったりして戦に備えていたが、当分は戦が無くなる可能性が高い。」
「ホント、玄ってやらかしまくるよね。」
「まて、一番最初のやらかしは、お前だろ?桜花。」
「え?あれは・・・」
「過ぎたことを言ってもしかたないでしょう。これからどういう方向で行くかって事じゃないですか?」
「この流れだと、ユーザーは何が起こってるから分からないままでゲーム終わっちゃうかもね。」
良い笑顔で武蔵は言ってるが、本当に一気に終わりかねんぞ。
「まぁ、仕方ないよね。玄だし」
良い笑顔でお前が言うなよな。桜花よ
「そうですね。玄ですから仕方ないです。最期までお付き合いしますよ。」
お前も良い笑顔だな!常清
「良いと思うよ。天下、獲っちゃおうよ。」
うん。良い笑顔だな。武蔵
「腹をくくるか。これより先、城から出るときは一刻で戻れる場所に居てくれ。
俺は缶詰になってるからな。
何のゲームをしてるんだと思ってしまうわ。
仕事しているのと変わらん・・・」
皆、なぜそんな爆笑しているのかな?よし、仕事を回してやろう。うん。そうしよう
「では、使者と話しを纏めるか。」
大広間に戻り使者と向き合う
「率直にお聞きする。
大友はこれから先、我々の良き隣人として、我が相田家と共に幕府再興に尽力していただけると?」
「我が主より申し付けられた事は1つのみに御座いまする。
相田家と幕府再興をなすべきである!
で、御座いまする。」
使者は平伏し、こちらの目をしっかり見据えて力強く言ってのけた。
「では、お聞きするが、小弍家と大内家が幕府につくとなったときに、大友は領土をよこせなど言いませぬか?」
「それはまた別の話でごさろう!こちらが切り取った領土は我が大友の領土とお認めになって頂きたく!」
「それは公方様にお願いすべきです。こちらにそれを決める権限は御座らぬ。
御座らぬが、公方様にお口添えは致しましょう。」
やっぱり切り取り自由を持ってきたか。これはうちの兵をうまく使われないようにしないとな。
「おぉ!なんと有り難き。共に幕府再興を目指しましょうぞ!」
と、言うだけ言って大友の使者は帰っていった。
「おい、これ、俺たちを利用しようって魂胆が見え見えなんだが?」
「そんな簡単に使われる様な事は無いだろうけどね。」
「まぁ、せいぜい気を付けるさ。」
数日後、事態は思わぬ方向に進んでいくのだった。




