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自分のできることを全力で

 酒吞さんが、村の人たちに大蛇復活のことを話したのは、仕事が一段落したお昼ごろのことだった。


 村中の人たちを広場に集めて、大蛇の首が目覚めそうになっていること、それを止めるために自分たちが動いていること、もしもの時の避難経路やその後の行動について、淀みなく皆に伝えてた。


「危機を感じたら、村から退避するんだ。いいね」


 酒吞さんは、逃げたい人たちがいたら、気負わず逃げていいって言ったけど、村の人たちは誰一人そんな様子は見せなかった。


 話を聞く人だかりの中にいた、いよ(・・)ちゃんと小雪ちゃんも、しっかりと酒吞さんを見てた。


 その顔には、酒吞さんへの信頼と、自分たちができることをしようっていう、信念が見られた。

 それがわかったのは、砦や開拓地で、団長さんたちを見てきたから。


 皆、強いな。


「……もしもの時は、逃げてくれよ? 頼むから」


 酒吞さんは肩を竦めると、雰囲気を元に戻した。


「最後に……俺や茨木、ここにいる俺の友人たちが、大蛇を止める。もしも、ことが無事片付いたら、少し早いが、(まつり)を開こう!」


 そう締めくくった酒吞さんに、村の人たちの歓声が降り注いだ。




 集会が終わった後、いよ(・・)ちゃんに呼び止められた。

 いよ(・・)ちゃんは、メアちゃんの両手を握って、お面ごしの彼女の目を真っ直ぐ見つめた。


「皆、戦うんだね」

「私とイザ姉さまは、お姉ちゃんたちの手助けと、イヨ(・・)様たちの避難誘導をするだけだよ」

「ううん、二人とも、凄い術が使えるでしょ。もしもの時は、私たちを守るために、戦うんでしょ」

「うん」


 メアちゃんの言動に、迷いはなかった。

 イザベラちゃんも、貴族モードの雰囲気を纏ってる。


 二人とも、貴族の娘として、酒吞さんの友人として、皆を守るために自分のできることを全力で行おうとしてる。


「凄いなぁ……」

イヨ(・・)様たちも凄いよ。でも、私たちが、イヨ(・・)様たちを、絶対に守るから」

「うん」


 いよ(・・)ちゃんと別れ際に、彼女の左肩に乗ってた小雪ちゃんが振り返ってきた。

 手を振ると、任せろと言わんばかりに頷き返してくれた。


 メアちゃんとイザベラちゃん、そして小雪ちゃんがいれば、いよ(・・)ちゃんたちの方は大丈夫だ。


 じゃあ後は、改良型の封印の完成を待つ。

 もしくは、その前に、私たちで首の一つを再封印するだけだ。

次回は明日、18時予約投稿です。

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