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20.神官たちは神に舞を捧げる

最終話です。

結婚式の日は、いい天気だった。

見習いの認定式の2日後だったが、見習い改め新神官たちは皆大神殿に残って参加した。

カサネの両親はもちろん、兄夫婦も仕事を人に任せて、駆けつけた。日の隠れ里からスオウの両親と村長が、光の神殿からはニイナ夫妻が代表だ。

公爵家は、公爵夫妻とシア、ユキトにカイとミオも王都に集合し、カサネとスオウの結婚を祝った。


カサネは今、カルラに化粧をしてもらっていた。6年前を思い出す。

カルラが、仕上げの紅筆を置いた。

「さあ、できたわ。きれいよ、カサネ。」

カルラがにっこり微笑む。今日は、陰陽の一対が、祝いの舞を舞うので、カルラも、薄く化粧していた。

「ありがとうございます。」

カサネが微笑み返した。


チョコレートのような濃い色の髪の毛は、結わずに背中におろされている。胸にかかる顔の両側の髪の毛には、かつてエルトゥーリア女王に贈られた髪飾りが飾られていた。

身にまとう花嫁衣裳は、鏡の舞の衣装に似ていた。あちらは白地に銀糸の刺繍だったが、今日の衣装は白地に金糸の刺繍だ。女王とゼント公爵夫人が相談して作らせたものだった。

胸にはスオウから贈られた3連の金鎖のネックレス。碧石が煌めいている。


頬を上気させ微笑むカサネは、どこから見ても幸せな花嫁だ。

カルラに手を取られ、控え室を出る。祭殿の扉の前で、スオウが待っていた。カサネとお揃いの衣装をまとうスオウは凛々しい。もちろん、腕にはカサネの贈ったブレスレットがある。カサネにとろけるような微笑をむける。

「お待たせ。」

カルラからスオウへとカサネの手が渡された。

「行こうか。」

カサネがゆっくりとうなずく。


祭殿の扉が開かれた。奥の祭壇にはエルトゥーリア女王が待っている。今日の式を執り行う神官だ。すべての神官の長である月の女王が結婚式を執り行うのは、非常に珍しい。

両脇には、家族・友人・知人・同僚など。

スオウ側には、ヴァナート王と王子・王女が、カサネ側には人型のクロスとシュウもいる。画家のハルと記者もいた。

カサネとスオウが手を取り合って祭壇まで進むのを、皆ニコニコと見守っている。


「月王エルトゥーリアとして、ここにスオウとカサネの結婚を認める。おめでとう、ふたりとも。」

エルトゥーリアがにっこりと微笑んだ。

「ありがとうございます。」

二人はそろって頭を下げた。

新しい夫婦が誕生した瞬間だった。


「さあ、二人を祝って、陰陽の一対が舞います!」

エルトゥーリアの言葉をきっかけに、伴奏がはじまり、ライトとカルラが進み出た。

にこやかに、祝いの舞を舞い始める。神にささげる舞ではない、新しい夫婦を祝福する舞だ。舞い手も見る人々も、心からの笑顔を見せる。

曲が終わるかと思ったら、また最初に戻った。カサネとスオウが、あれっと思うと、神官たちがライトとカルラに加わった。新神官も見習いもだ。神官全員での祝いの舞。

「スオウ…!」

カサネが潤んだ目でスオウを見上げる。

「僕達はなんて幸せ者なんだろう。」

スオウはカサネをぎゅっと抱きしめた。


祝いの舞が終わるとおめでとうの大合唱だった。スオウとカサネは、二人して、ありがとうと頭を下げた。

伴奏がはじまる。《鏡の舞》だ。

神官たちは、すっと両側に分かれ、琥珀の舞姫と陽光ひかりの神官に場所を明け渡した。

二人は、向き合い、舞がはじまった。


寸分の狂いもない二人の動き。二人の絆は、より強いものとなった。

カサネとスオウは、夫婦となった喜びを神に捧げ、神々は二人に祝福を与えた。

最後、祝福の光につつまれた二人は、背を向けて分かれるのでなく、互いの胸に手を置き、額をあわせる。あなたは私。私はあなた。

神官わたしたちは、神に舞を捧げ続ける。

二人で―。


Fin.


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

これにて完結でございます。

また何か書きたくなりましたら、番外編として書くかも?

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