表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/77

20.《閑話》女王様のお茶会2

季節はめぐり、忙しい新年の儀式その他もつつがなく執り行われた一月末。エルトゥーリア女王は、心待ちにしていたお茶会を開いた。

「こうして一度に皆の顔を見るのも久しぶりだわ~。」

と、ご機嫌である。

「それぞれ忙しかったからな。」

ヴァナート王は片肘をつきながら、お茶を口にした。

「ちょっと、ヴァン!お行儀悪い。」

エルトゥーリアが夫をぴしゃっとたたく。

「エルトゥーリア様もですよ。」

アカネの言葉にエルトゥーリアは決まり悪そうに座りなおした。子供の頃家庭教師だったアカネにエルトゥーリアは頭が上がらないのだ。

アカネは、お茶をおくと、すっとヴァナートとエルトゥーリアを正面にするように向きを変えた。

「お話のありました、お子様たちの家庭教師の件、受けさせていただきます。」

「よかったぁ!アカネ先生なら任せられるわ!」

「子供たちをよろしく頼む。」

王と女王は満足そうだ。


「アカネ先生の後任は決まっているのですか?」

ミオが興味深げに聞いてくる。

「ええ、ライトを呼び寄せます。」

「まぁ、陰陽の一対がそろうのね!?」

エルトゥーリアは興奮気味にカルラを見る。


「陰陽の一対って、あの新年に舞う鏡の舞の…?」

ミオはおぼろげな記憶を引っ張り出す。《鏡の舞》は神官学校の上級生から選ばれた男女一組が1年がかりで修得し、新年の儀に奉納するのだ。毎年、その舞い手に二つ名がつけられるのだが、陰陽の一対のすばらしさは日の隠れ里にまで噂が伝わってきた。

ミオの言葉に、カイがぽんと手を打つ。

「たしか10年位前に千年に一度の舞い手と賞されたな。」

「そうよ、カルラとライト!すばらしかったんだから~!」

力説するエルトゥーリアに、ヴァナートが微笑む。

「話には聞いていたが、見てみたいものだな。」

「あら、ヴァン、見てなかった?え、カイとミオも?じゃぁ、最初はカイとミオの結婚式で…。」

「エルトゥーリア様。」

「すみません…。」

エルトゥーリアの暴走は、アカネの一言で止められた。


「それはそうと、ちゃんと伺っていなかったのですが、今年の舞はいかがでしたか?」

当事者であるはずのカルラは、何事も無かったかのようにスルーして、教師として聞いてくる。

「うん、ちゃんと舞えてたわね。そこそこってところかしら。」

「まぁ、及第点だろう。」

王と女王の答えにカルラは表情を変えずにうなずいた。

「で、来年の舞い手は決まったの?」

エルトゥーリアは、美しい幼馴染に問う。急に話題を変えたのは、ちょっと動揺してるからだと、長い付き合いの女王は知っている。

カルラはアカネがうなずくのを見て、答えた。

「はい、カサネとスオウでいこうと思っています。」

「まぁ、やっぱり!」

「実力的に抜きん出ていますし、ほぼ決まりです。」

「そうね、将来のことを考えても、それがいいわ。舞い手の名誉はいい箔付けになるし。」

「将来…ですか?」

カルラがその白銀の髪を揺らしながら、小首をかしげる。

「あの二人にはいずれ大神殿に戻ってきてもらうわ。」

「…そうだな、それがいいな。」

女王の言葉に王も同意する。王家の秘密を知りすぎている二人。目の届くところにおくことは、彼らにとっても王家にとっても安全だ。


「お二人とも、カサネとスオウをかなり気に入っておられますね。」

アカネがちょっと驚いている。

「カサネを見ているとね、旅してた頃のミオを思い出すのよね~。なんか、かまいたくなるの。」

「それは言えるな。」

と、二人はミオを見た。

「ミオさん…ですか?私は、幼い頃のトゥーリア様だと思うのですが。」

「え、私?」

「ああ、そういえば、そうですねぇ。」

女王の幼い頃を知るカルラとアカネはうなずきあっている。えー、という女王に二人はあんなことがあった、こんなことがあったと証拠をあげてゆく。必死に反論する女王の隣で王が面白そうにそれを聞いていた。


「スオウのタイプはアレか。あいつ初恋から逃れられないらしいな。」

カイのつぶやきに、ミオは苦笑しながらも同意してしまうのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ