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10.11 新たな仲間Ⅱ


 ギルドへと戻り、清算を行った俺達だったが、総討伐数は137頭だった。


 俺としてはそんなにデザートメッセンジャーがいたことが驚きだったが、ギルドとしては第3階級の橙階級の冒険者ばかりで構成されたこのパーティが第5階級の依頼でここまでの成果を挙げたことが驚きだったらしい。


 なんでも、いくつかのパーティによって複数回に分けて討伐するはずだったらしい。


 それが依頼を張り出した当日に討伐し尽くされてしまっては驚くのは無理もないと思う。


 そんなわけで特別待遇となり、俺達のパーティの面々は全員緑階級へと昇級することとなった。ジンを除いた4人は1つ飛ばしの昇級、ジンに至っては2つ飛ばしの昇級だ。


 多分、俺達の認定冒険者(だったと思うが、興味なさ過ぎて忘れた)の称号も一考されての特別待遇だろうな。


 ついでに報酬にもボーナスが入り、1人当たり40万ブロンとなった。


 最近金銭感覚が麻痺して少額に思えるが、確かヤポンから王都へ姫を護衛した時が2週間で37万ブロンだったことを考えれば、充分破格の報酬だ。


 さて、1つ依頼をこなし終わり、そろそろ夕方となる時間帯だ。やるべきことがまだ残っているので、そのタスクを消化しにかかる。


「とりあえず、みんな身支度をして欲しいんだけど、良いか?」


「ケンさん、何かするんでしょうか?」


「ほら、仲間増えたし、挨拶に行かないとダメだろ」


「なるほど、確かにそうですね」


「挨拶って誰に?」


 ウェンディが当然の疑問をぶつける。


「もう1人仲間がいるんだ。ちょっとした事情で冒険者パーティには入っていないんだが」


「そうなんだ、わかった」


「じゃあ、しばらくしたら俺達の宿屋の前集合でいいか?」


「あたし達は大丈夫だよ」


「了解。じゃあ、また後で」


 俺達は各々(おのおの)身支度(みじたく)へと向かった。


―――


 しばらくして全員が揃ったので、早速メアリーのところへ出発することとなった。


「あたし達会うの初めてだからわからないんだけどさ、そのもう1人はどこに住んでいるの?」


「帝都だよ、帝都・ギャリット」


「ちょっと待って、ここから帝都まで2ヶ月かかるでしょ」


「アイリーンの指摘はごもっともだけど、そこは我らがカレンに任せな」


「なんでケンさんが自慢気何ですか…」


 そうこう話しているうちに王から貰った小屋へと到着する。そのままの流れで全員が魔法陣の上に乗ると、カレンが魔法を発動させる。


 あっという間に帝都に到着だ。


「よし、着いたな。じゃあ、行こうか」


 色々言いたいことはありそうなウェンディとアイリーンだったが、(さば)き切れない情報量と疑問の波に()まれて何も言わずに着いてきた。


 街中を歩いて5分ほど経つと、ようやく理解が追いついたのか、ウェンディは言葉を発する。


「ええと、ここが帝都ってことはなんとか理解できた、と思う、けど、今はどこに向かっているの?」


「もう見えているだろう?あそこだよ、あそこ、城」


 俺は城を指差す。


「え…」


 またフリーズしてしまった。まあ、普通一国の王と関わりのある人生なんて送らないからな、フリーズするのもわからなくないが。


「もう1人の仲間はあの城に住むお姫様。メアリー・エウロメだよ」


「ケンって、もしかして帝国の密偵?」


 フリーズしている状態で衝撃を与えたからか、今度はフリーズが溶けたアイリーンが俺に問う。


 そう言えば、王国と帝国は仲悪いんだったな。


「いや、違うぞ。俺もカレンも元々ヤポンで活動していた冒険者だからな。それがある時王国の姫の護衛をしたのをきっかけに帝国まで書状を届けることになってな。そしたら、たまたま反乱に巻き込まれた帝王の命救っちゃって」


「そんな偶然ありえません!」


 なんで、いきなり敬語…。動揺の極みだな。


「まあ、ありのまま、そこからの起こった事だけ話すと、帝王の命を救ったことで姫様から求婚されて、断ったら仲間になった。何を言っているかわかないと言いたげな顔だけど、俺も自分で言っていてわからない。とりあえず、メアリーは良い人であることは確かだからそこは安心して良い」


 そして、城についてメアリーの部屋に通されるとなると、まだ廊下で(ほとん)ど人もいないと言うのに2人は緊張してガチガチだった。


 メアリーの部屋の前まで到着し、俺はノックをする。


 返事が聞こえてきたので、俺は扉を開けた。


「メアリー、入るぞ」


「こんにちは、ケン。最近は城に来てくださる機会が多くて嬉しいです」


「ああ、やはり帝都にいるといつでも会えると言う気持ちが出てきて結局会いに行くことは少なかったが、王都にいると逆に会いに行く頻度が高くなるよな」


「まあ、ケンさんの場合、王都の居心地が悪いですもんね」


 俺に続いてカレンとジンも部屋へと入る。


「カレンにジンさんまでいらしてくださったのですね」


「おい、カレン。いらないこと言うなよな」


「そうですよ、カレン。私はどんな理由であれ、ケンが会いに来てくれればそれで良いのです。それで、皆さんお揃いで来てくださるなんて、何か用事があったのでしょう?」


「ああ、相変わらずメアリーは話が早くて助かるよ。まあ、用事って言ってもただの報告だけどな。おい、2人も入ってこいよ!」


 未だ緊張で廊下にいる2人に俺が声をかけると、ウェンディとアイリーンはゆっくりと閉じかけの扉を開いて部屋へと入ってきた。


「ケン、こちらの御二方はどなたですか?」


「俺の冒険者パーティに新しく入った、ウェンディ・ニューランズとアイリーン・ニューランズだ」


 俺の紹介に合わせて2人はペコリと頭を下げる。


「わざわざ私に紹介してくださるために、今日は来てくださったのですね」


「ああ、そうだ。メアリーも俺達の仲間だから、新しい仲間のことは知っておいて欲しくてな。この2人は姉妹でな、以前は2人で冒険者をしていたんだが、この間話した『憤怒』の一件で俺達が助けてな。その縁で今回パーティに参加することになった」


「ケンはいつでもどこでも誰にでもお優しいのですね」


「まあ、意識しての行動ではないけどな」


「メアリー・エウロメです。ケンの未来のお嫁さんです」


 誤解を招く自己紹介をしながら、メアリーは俺の腕へと飛びつく。


 ちょ、そんなに腕に抱きつかれると当たっているんですけど…。


 動揺している俺は、ほんの一瞬だけメアリーとウェンディの間に火花が散ったように感じた。


 なんだ、今の。


「おい、メアリー。嘘を付くな、嘘を」


「そうですね、()()()()違いますものね」


 なんか怖いが、強く否定するのもちょっと違うので、適当にはぐらかした。


 その後、しばらく俺達は6人で話をすることで、だいぶ緊張は(ほぐ)れてきていたが、それでもニューランズ姉妹は「メアリー様」から「メアリーさん」と言う呼び方に変わった程度だったし、メアリーも俺とカレン以外には「さん」付けだった。


 まあ、より仲良くなるのにはまだしばらく時間はかかるだろうから、気長に行こう。


 そして別れ際、メアリーから研究区にある古い砦を貰った。


 なんでもメアリーはカレンが研究区に通い詰めていたことを知ったらしく、研究区にも『テレポート』の魔法陣があった方が良いだろうとのメアリーの計らいであった。


 相変わらずその情報はどこから入って来ているんだか。


 そんなわけで、寄り道がてらカレンに魔法陣描きを頼み、帝都から王都へは新たな魔法陣で帰った。


 以前より魔力量が増えたからか、魔法陣を描いたカレンはフラフラになる程度で、倒れるようなことはなかった。


 帝都はまだ日が高く登っていたと言うのに、王都はすでに夜も更けて人通りは大分少なくなっていた。


 そのため、俺達も大人しく宿屋へと戻った。

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