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第十四話 いじめ発覚

ある日の休み時間、

校舎脇から声が聞こえてくる。


「もうやめてよ。」


朔弥と同じクラスの中野優介が、複数の上級生に囲まれている。


「おい、中野。金は持って来たんだろうな?」

「もうないよ!」


上級生は優介を蹴り飛ばす。

蹴られた優介は、地面を擦るように倒れた。


「いたっ!」


「ふざけんなよ、明日の放課後ここに持ってこい。もし持ってこなかったらタダじゃおかねえからな。」

上級生達はその場を去った。残された優介は、地面を叩きながらしばらく泣いた。


外から戻ってきた優介がトイレで顔を洗っていると、朔弥が入ってきた。

朔弥は、優介の異変にすぐ気づいた。

優介の背中は埃まみれ、顔を見ると目が真っ赤に染まっている。


「中野くん、どうした?」


「あっ、桐谷くん……何でも…ない…。」


朔弥はとりあえず、優介の背中の埃を落とす。


「桐谷くん大丈夫だから、先行って。」


「あ、ああ。」

朔弥は用を足すと、手を洗って先に出ていった。


「なあクロ、おかしいんだよ。」


『どうしましたか、主?』

朔弥が事情を説明すると、クロが答える。

『主、断定はできませんが、ケンカやイジメの可能性があります。』


「イジメ?イジメってなんだ?」


『力や立場を利用して相手を傷つけたり、嫌がる事を繰り返したりする事です。』


「なんだそれ、最低じゃねぇか。中野くんはイジメられているということか。」


『とりあえず本人に聞いてみましょう。』


朔弥は、トイレから出てきた優介の腕を掴んで、立ち止まらせた。


「お前、イジメられてるのか?」


朔弥が問いただすと、優介の目からは大粒の涙がこぼれ落ちる。


「……うん。」


「相手は誰だ?同級生か?」


優介は涙を拭うと、事情を説明した。

「いや、2年の生徒。小学校の頃からイジメられてたんだ。また明日会わないといけなくて……。」


「明日、俺をそこに連れてって。」


「ダメだよ!相手は上級生だよ?」


朔弥は優介の両肩を掴んだ。

「大丈夫だから安心しろ。」


「どうなっても知らないよ……。」


翌日の放課後

指定された場所に行くと、すでに2年の生徒達が待っていた。

「待ちくたびれたぞ、中野。ん?誰だそいつ。」

朔弥が前に出る。

「おい、お前ら。中野くんをイジメてんだろ?」


「だったら何だってんだよ、一年坊主。」


「俺が相手になってやるから、かかってこい。」


優介が朔弥の袖を引っ張る。

「桐谷くんやめて、危ないよ。」


朔弥が掴まれた袖を振り解いて、優介にウインクをする。

「まあ見てろって、な?」


「ナメやがって、お前ら手を出すなよ。」


相手が殴りかかってくる。

朔弥は攻撃をかわすと相手の右手を掴み、背中に回って締め上げる。


「イタタタタ!」


「このまま腕をへし折ってもいいけど?」

さらに締め上げる。


「いてぇ!わかった、もう手を出さねぇからやめてくれ。」


相手は肩と腕を押さえて、他の上級生達と共に去っていった。

朔弥も優介の元に戻ろうとすると、優介が駆け足で向かってきた。


「な?大丈夫だったろ?」


優介は興奮が抑えられないまま、朔弥の手を取る。

「すごいよ!桐谷くん!どうやったの今?」


「護身術。今度教えてやろうか?」


「うん!」


次の日、優介が昨日の出来事を話すと、クラスはその話題でもちきりになった。


「二年生シメたってマジなの?桐谷くん。」


「何?シメるって?中野くんを助けただけだよ。」

いじめにあうと桐谷が助けてくれる。そんな噂まで一人歩きするほど、次から次へと朔弥の元には生徒がやってくるようになった。


それから数日経った日の放課後、

2年の教室では、

バシッ……

平手打ちの音が響いた。

「バカが。一年なんかにナメられやがって。」


「すんません。」

平手打ちをした二年の春日大和は、椅子に浅く腰を掛けてふんぞり返る。

「誰だやったのは?」


「一年の桐谷朔弥っす……。」


ガラガラ……

そこに、一年の宮園がやってきた。


「何だお前?」


「実は折り入ってお話があります。桐谷朔弥の件です。」

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