戦う理由、仲間の存在
「お前、何か隠してるよな?」
「ごめん呂都丸。…バレた。」
しばらく沈黙があり…
「え?」
呂都丸が、間の抜けた声を出した。
「……」
重苦しい雰囲気が、部屋に押し込まれている。私と優は、向かい合って正座をした。
優は、腕を組み、猫を狙う蛇のような目で睨みつけてくる。呂都丸は、グルグルと唸りながら、私の膝の上に乗っていた。
「…おい。これ、天音羽だよな。」
優は、スマホを突きつけてきた。そこには、真子が見せてきたのと同じショート動画が流れている。
「…はい。そうです。」
私は、完全に萎縮しきった姿勢で、素直に答えた。
「で、そいつが原因だな。」
優は、ギロリと呂都丸を睨みつけた。さっきまで唸りをあげていたのに、優に視線を向けられた途端、ヒッ!と声を出して縮こまってしまった。
「でも、これは私が決めたことだから!」
私は、必死に弁明しようと、これまでの経緯、呂都丸から聞いた組織の事を話した。
優は、真っすぐ私を見つめ、真剣に話を聞いていた。全て話し終わると、優が口を開いた。
「天音羽、それよく考えたのか。」
私は、真剣に優を見つめ返して、真剣な声で答えた。
「いや、あまり考えてない。」
「…だと思った。」
優は呆れたと言うように、長いため息を吐いた。
「その組織と戦うのは、危険すぎる。いつ死ぬかわからない。それに、これまでの話からだと、天音羽はまだ最弱のやつとしか戦っていない。これからもっと強いやつが来たら…大怪我をするかもしれない。命が大丈夫でも、後遺症が…」
「優。」
私は、優の話を遮って口を開いた。
「ありがとう。心配してくれて。でも私、どうしても助けたい。」
怪我とか命の危機とか。そんなのは二の次だ。
「できることがあるのに、先を心配して立ち止まりたくない。見て見ぬふりは、したくない。」
「…まぁ、天音羽はそう言うよな。」
優は諦めたようにため息を吐いたあと、フッと笑った。
その柔らかい笑顔を見て、私も肩の力を抜いた。
「でも、今のままだと何も進まないぞ。」
「それは、確かに…」
優は、少し考える素振りをしたあと、言った。
「わかった。情報収集は俺に任せろ。」
「ほんと?!」
「ああ。俺がやる。天音羽は、人助けに専念しろ。」
「ありがとう!優!!」
「あと、今のままだとロトの正体がバレるのも時間の問題だ。変身する場所も考えないとな。」
そう言いながら、優は立ち上がった。
「変身する場所、戦うときに気をつけるべきこと、変身した後の家に帰るルート、うるさいファンへの対応…全部後でまとめて送ってやるから、それまでは動くなよ。」
「はい!」
私は座った状態で、ピシッと敬礼した。
「それと、もし何かあったら、すぐに呼べ。」
「うん!ありがと!」
優は、また軽くため息を吐いたあと、帰っていった。
「…意外にあっさり認めてくれたね。そもそも、僕のことあまり気にしてなかったよね?変な猫なのに。」
「わざと、じゃないかな?」
「?わざと?」
優は、怒るとすごく怖いし、普段も冷たく近寄りがたいと思われている。でも、すごく優しい人だ。きっと、呂都丸の過去を聞いて、そこに触れるのをやめたのだろう。今日も怒りながら来たのは、私が心配だったからだ。
「あいつにバレたの、大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。」
心配そうな呂都丸を撫でながら、言い切った。
「優ほど頼りになる仲間はいない!!」




