頭脳戦
優が、仲間になった。
あの後、優はたくさんの注意事項を送ってきた。全部読んだが、半分も頭に入っていない。ごめん、優。
「行けー!ロト!」
街にたくさんの歓声が広がる。
新しい怪物だ。四足歩行。猫耳のようなものが付いている。口に牙も生えているが、今回はビルほどの大きさはない。トラックくらいの大きさだ。
「行くよ!呂都丸!」
『了解!』
私は走り出した。目を壊せば、この怪物は消える。
怪物が、走ってきた。
「うわ?!」
速い。ものすごく速い。一瞬で目の前に、怪物の口が広がる。
くるりと後ろに宙返りをして避けた。
間一髪だった。
一息つく間もなく、攻撃がくる。
『姉ちゃん横!』
「!」
怪物に気を取られてるうちに、近くにいる人の上に壊された家の屋根が落ちていく。
私は怪物を思いっきり蹴り上げ、遠くに飛ばした。その勢いのまま、落ちる屋根も蹴り上げる。
「みんな逃げて!」
声を張り上げる。
「ここは危な…」
怪物の牙が、肩をかすめた。
「もうこんなところに…!」
この怪物、すごく速い。動きに体が追いつかない。このままじゃ…
「ロト!」
後ろの路地から、声がした。
「…!」
優が、叫んでいる。
「そいつはチーターだ!」
「?!チーター?」
「ああ。足は速いが、体力はおそらくお前の方がもつ!」
なるほど。チーターなのか。つまり…
「どうすればいいの?!」
弱点がわかったところで、私はそれを応用できない。
「長期戦に持ち込め!そのまま下がり続けろ!今は誰もいない学校がある!」
「了解!」
私は攻撃を避けながら、優の道案内通りに進んでいった。
「あったよ!学校だ!」
「そこなら誰も気にせず戦えるだろ!」
「うん!ありがとう!」
あとは、攻撃を避けながら、体力がなくなるのを待つだけ!
あれからしばらく経ち、チーターの動きが徐々にガタつき始めた。
「これなら行ける!」
先ほどよりも遅くなった攻撃を飛び越えながら避け、目を狙う。
チーターはくるりと首を曲げて攻撃を避けて、爪を向けてくる。
「まだ動くの?!」
私はうんざりしながら、自分の鍵爪でそれを受けた。
しばらく攻防を繰り返し、チーターがゆっくりと口を開いた。もう力が残ってないらしい。目の守りが甘くなっている。
「おりゃ!」
私はその隙をついて、チーターの目に鍵爪を突きつけた。
鋭い一撃が、チーターの目を貫く。
目を壊されたチーターは動きを止め、ドロリと消えていった。
「おおー!倒せた!」
優のおかげだ!
「ありがとー!!」
空に向かって思いっきり叫んだ私の声と、遠くから観戦していた人達の感謝の声が、重なって響いた。
✽✽✽
「被検体、L-16がやられました。」
暗く冷たい室内に、淡々とした声が響く。
「なかなかやるな。ロトという者は」
白衣を着た男性が、それに答える。
「…いや、あいつか。」
壁一面に試験管が並べられている。男性は、開いたパソコンを操作していく。
「はい。おそらく先日脱走した被検体K-37。」
同じく白衣を着た眼鏡の男が、それに答える。
「チーターの実験体を倒したのは、猫の能力実験を施した10歳の少年の仕業です。」




