仲良く…?
「久しぶりだな。フェリス。」
「あぁ、まさか、自分から出てくるとはな。」
「お前が来ると思ってな。」
「俺に会いに来たのか?」
「お前こそ、何のためにロトに着いてきたんだ?仲間にはならないんだろう?」
「一般人を巻き込む気はない。一応、警告をしに来た。」
「警告…?」
両者、睨み合いが続く。
『なんだよ!一般人って!僕たちは立派なヒーローだよ!』
頭の中で、呂都丸が抗議の声を上げる。
「…わかった!まずはさ…」
フェリスと優が、同時にこちらを向く。
「私をはさんで言い合いをするの、やめてね」
「…あ」
2人同時に今気づいたというように、ため息をつく。
右側にフェリス、左側に優。正直、氷点下の睨み合いに挟まれるのは、寿命が縮んでしまいそうになる。
「…悪い」
優が申し訳なさそうに謝る。目は、先程よりも柔らかくなっていた。
「…ロト、この間の戦いの後だが…」
フェリスは私の文句には全く触れずに話しかけてくる。
「…この前の?」
「蜘蛛が出たときの戦いだ。あそこで共闘しただろう?」
「え?共闘って…」
これは、もしかしてももしかしなくても…
「フェリスさんって…鳥さん?!」
路地に私の大声が響き渡る。
「声を落とせ!」
フェリスに慌てて口を塞がれる。
「ムグ!あ、ごめん。」
私は、モゴモゴしながら謝った。
フェリスは、ため息をつきながら手を離した。
「えっと…鳥さんって、フェリスさんだったの?」
私は、今度は小声で聞き返す。
「…?知らなかったのか?」
フェリスは不思議そうに切れ長の目を見開き、優の方を見る。
優は、額に手を当ててため息をついた。
「忘れてた…」
『…そういえば、言ってなかったね…』
頭の中で、呂都丸もそう呟く。
…呂都丸も知ってたんだ?
「…え、いつ気づいたの?!」
『鳥に会ったとき…』
「鳥が誰か探し始めたときだな…」
「そんなに前から?!」
私だけずっと知らずに必死こいて探してた感じ?
「悪い、ロト」
優が申し訳なさそうに謝ってくる。
「全然!大丈夫だよ!むしろありがとう!」
優はずっといろいろ考えてくれてたからね。
急に、目の前にフェリスが出てきた。
フェリスは眉間にしわを寄せながら、私の顔をジロジロと至近距離から覗く。
「???」
「…ロト…本当にあのときの猫か…?」
「え?」
「まるで別人…」
さらにフェリスの顔が近づいてくる。
…いや、イケメン。真子はこういう顔好みだったよな〜。親友のためにもしっかり見ておこう…。
「…おい、近い」
突然、ガッと私とフェリスの頭が掴まれ、引き離された。
いつの間にか、私の方からもだいぶ近づいていたらしい。フェリスの顔は、すぐ目と鼻の先にあった。
「…おい、痛いぞ。」
「ソウデスカー。ヤクシャノカオニキズガツイタラタイヘンダー。」
フェリスの文句に、棒読みで優が答える。
「…優?」
さっきより目が冷たいんだけど…?
「ロト帰るぞ」
優は早口でそう言いながら、フェリスに背を向けた。
「え?」
私の腕を掴み、スタスタと歩き出す。
「待て。聞きたいことが…」
「お前に話すことは何もない。」
優は、不機嫌そうにフェリスにそう言い放ち、ズンズン進んでいく。
「そうか。なら、警告もいらないな。」
フェリスはそう言い、反対方向を向く。
ピタリと、優が立ち止まる。
「プゲッ!」
優の背中に思いっ切り顔をぶつけ、変な声を出してしまった。
「……」
優は、何も話さない。
「聞きたければ質問に答えろ」
「…その警告は、俺たちと何か関係があるのか?」
「さぁな。」
チッと優が舌打ちを打つ。
「答えられる質問なら答える。…先にその警告を言え」
「いや、先に質問に答えろ」
「お前は信用できない」
「俺もお前を信用していない」
再び、氷点下の睨み合いが始まる。
…お願い、2人とも仲良くしてね。
「…それで、警告って?」
「おい、ロト…」
いつまでも進まなそうなので、私は優を無視してフェリスに聞く。
フェリスは、冷たい金色の目を私に向け、話し出した。
「俺の兄が、動き出す」
「お兄さん…?」
「あぁ。」
兄のことを話すフェリスの表情は、まるで凍りついた結晶のようだった。




