↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳なき猫、翼を広げて世界を包む!〜ヒーロー生活始めます〜  作者: 桜庭木陰
第2章 赤い翼編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
40/49

家督〜Felis'turn〜

「…フェリス様。」

ティアが俺の名を呼ぶ。

「少し、お疲れなのでは?」

「大丈夫だ。」

「少しお休みになってください。」

「大丈夫だ。」

「そう言わずに。さぁ、早く。」

ティアの有無を言わさぬ圧で、俺は寝室まで無理やり連れて行かれた。

ティアは、俺が生まれたときから世話をしてくれている俺の従者だ。そして、ある意味実の親よりも近くにいた、母のような存在だ。

…だからティアの言葉に俺は少し弱い。

「あぁ、そういえば、またお兄様からお手紙が…」

「後回しだ。」

「かしこまりました。」

俺には、兄が1人、双子の弟と妹がいる。

だが、家を継いだのは俺だ。

「ちょっと!勝手に入らないでください…!」

「おい、フェリス!」

召使いの慌てた叫び声と、兄の俺を呼ぶ声。

遠くの角から、兄が大股で近づいてくる。真っ赤な髪と、金色の目。容姿は俺にそっくりだ。

「あらあら…」

ティアが後ろで困ったように声を出す。

兄は、俺の前で止まり、仁王立ちをして俺を見上げた。

背は、俺のほうが上だ。

「…これはこれは…お越しになるなら、言ってくだされば…。何も準備が整っておらず、申し訳ありません。」

俺は、さわやかに笑顔を浮かべ、兄を出迎える。

「…おい。俺を煽ってるのか。」

兄は、額に青筋を浮かべ、苛ついたように俺を睨みつけた。

「…今は、お前が主人だろう。」

俺の方が、本当は身分が上だ。

「ですが、兄ということに変わりはないので。」

「…そうか。言っておくが、俺はお前を認めていない。」

俺は、心の中で深いため息をついた。

またか。仕事の邪魔だ。

わざわざそれを言うために、はるばる日本まで来たのか。

「家を継ぐのに相応しいのは俺だ。フェリス、お前は出しゃばるな。」

兄は毎日のように手紙を送りつけてくる。毎回同じ内容で。

他にやることは無いのか。

「おい。手紙は読んだのか。」

「…いえ。すみません。他にも書類が山積みでして…」

「お前の容量が悪いだけだろ。」

…兄ならさらに時間がかかるだろう。

「…今日はお疲れでしょう。この家で休んでいかれますか?」

「誰がお前の家なんかに泊まるか!」

本当に何しに来た。

兄は苦手だ。俺が家を継ぐと決まった日から、この兄が何を考えているのか、全くわからない。

俺のことを心底恨んでいること以外、何もわからない。

「お前に直接、言いに来た。」

兄がニヤリと皮肉に笑う。

…今度は何を言い出す。

「お前は容量が悪い。お前は俳優業で女子に囲まれながらその胡散臭い笑みを張り付ける以外できないだろう。」

兄は同じことしか言わない。それは耳にタコができるくらい聞いた。

「だから、W.E.L.L.のことは俺がやる。」

「…。」

やめた方がいい。

「お気遣いありがとうございます。ですが、ご安心ください。お手を煩わせるようなことは…」

「既にチームを編成している。」

「はい?」

「組織の本部に潜入させる。」

「本気ですか?!」

「あぁ。お前に任せておくと、いつまで経っても事が進展しないからな。」

兄はもっと慎重になった方がいい。

「この計画が上手くいったら、家は俺が継ぐ。」

「…わかりました。」

「じゃあな。この愚弟が。」

最後にそう吐き捨て、兄は帰っていった。

「…止めなくてよかったのですか?」

「言っても聞かないだろう。」

「…それもそうですね。」

そう言いながら、ティアは頬に手を当ててため息をつく。

「本当に、ハリケーンのようでしたね〜」

「…あぁ。」

何をしても、兄が家を継ぐことはできない。家を継ぐ条件を、兄は満たせてないからだ。

頭の出来でも、性格でも、運動能力でもない条件を。

それがなければ、W.E.L.L.にも勝てない。

…だが、今さら止める気には、もうなれなかった。

***


「…そういうことだから、来週黎明大に行ってくる。」

「おお〜…すごい!ありがとう!」

優はすごい。私も頑張らないと。

「じゃあさっきの続きを…!」

「いや、やめとけ。」

「…え?」

「うん。やめとこう。姉ちゃん。」

「…え?」

私の編み出した必殺ダンベルぶん回しながらソーラン節は、あっけなく2人に止められてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。