↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
脳なき猫、翼を広げて世界を包む!〜ヒーロー生活始めます〜  作者: 桜庭木陰
第2章 赤い翼編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/49

上層部会議〜W.E.L.L.'s side

「入りますよ〜」

桃李は、パリっとスーツを着て、会議室へと入った。

「…ノックをしたらどうだ。」

先程桃李を怒鳴りつけていた男は、疲れた様子でそう言った。

「も〜まずスーツ着てきたことを褒めてくれませんか?」

桃李は不満げに口をとがらせる。

「…私は、試験管を片付けろと言ったはずだぞ。」

男は桃李の全身を上から下まで見回す。

「え〜どこにも試験管なんて…」

そのとき、男がバッと桃李のスーツを開いた。そこに、試験管がずらりと縫い付けられている。

「…これはなんだ?」

桃李は、笑顔のまま固まる。

男の顔が、みるみる赤くなっていく。

「片付けろと言ったはずだぞ!」

「音が鳴らなければいいと思って…」

「桃李…!」

「ひ〜ごめんなさい〜」

ヒュッと息を浅く吸って、桃李は縮こまった。

「いつまで待たせる気だ?」

桃李が入ったことにより、軽くなっていた会議室の空気が、奥の席から響いたそのひと言により重く沈んだ。桃李は声の主を目を細めて見たが、暗くて見えなかった。ただ、金色の目だけが光っている。

「話は、終わったか?」

その途端、先程まで桃李を怒鳴っていた男は、サッと膝を折り、床に額をこすりつけた。

「大変申し訳ございません。後でキツく言っておきますゆえ…」

「まぁ〜いいじゃない。そんなに硬くならないで、顔をお上げなさい。さかき。」

平謝りの姿勢をとる男・榊に、赤いドレスを身にまとった女が金色の目を光らせ、楽しそうな声で言った。

「は…!」

その声を受け、榊はゆっくりと顔を上げる。

「…今回の顛末について、この者から報告をさせていただきます。」

その場にいる皆が一斉に、桃李の方を向いた。桃李は、少しビクッと震えたが、試験管をスーツの上からギュッと握りしめ、安心したように笑った。

「榊さ〜ん、今の言い方だと、まるで僕がやらかしたみたいじゃないですか〜」

「…実際そうだろう!」

榊はまた顔を赤くして怒鳴り、桃李にそっと耳打ちした。

「消されたくなければ、何か成果を見せろ。お前なら、それだけで許される。」

「はいはい、わかりました〜」

桃李はその言葉に気怠げに答え、少し姿勢を正した。

「え〜っとまず何から話そうかな…。あ、そうだ。」

桃李は少し上を見上げて考えた後、ひらめいたように前を向き、ニヤリと笑った。

「僕は殺す気で実験体を送り込みましたが、無理でした!」

会議室中にその声が元気よく響き渡った。

榊が頭を抱える。

「…報告とは、それだけか。」

低く、体に重くへばりつくような声が、また奥の席から響いた。金色の目が、桃李を睨みつける。

その言葉に、誰も身動きを取れない。

「特に成果はありませんでした。」

桃李は気にせず話を続ける。

榊が、この世の終わりのような顔をして、真っ青になる。

「ですがひとつ、成果になりそうな物を手に入れています。」

「?」

桃李は、スーツを開き、ずらりと縫い付けられている試験管の一つを引きちぎって出した。

試験管の中には、赤黒い液体が入っている。

「?それは…血ですか?」

赤いドレスの女が不思議そうに椅子から身を乗り出す。

「はい。その通りです。誰の血だと思います?」

「まさか…!」その場にいる皆が、息を呑む。

「はい。うちらの組織が長年血眼になって探している脱走者の血筋…。」

「素晴らしいわ!それは…!」

赤いドレスの女が、高揚した赤いほおに手を当てる。

「は〜いその通り!」

桃李はぐるっと腕を一周回して女を指差し、ニタリと笑った。

「フェリスの血を、手に入れましたよ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。