共闘
「群れなら、その中心がいるはずだ。」
鳥さんは、そう言いながら蜘蛛を倒していく。
街はすっかりと暗くなり、鳥さんの金色の目だけが妖しく光っている。
でもそれは、たぶん私も同じだ。
「めっちゃ見える!さすが猫!」
猫は、夜でも周りがよく見える。逆に、鳥さんは鳥だから、あまり見えないんじゃないか。
「おい。聞いてるか。」
「あ、はい!」
「群れのリーダーを探せ。そいつを倒せば、他の蜘蛛も消えるはずだ。」
「了解!」
私は、走りながら敬礼をした。
「…ところで、群れのリーダーってどんなやつ?」
「一番蜘蛛の集中している場所、その中心にいるはずだ。…情報量が少なすぎる。油断するな。」
そう言うと鳥さんは、真っ黒な空一面に矢を敷き詰めた。
「俺が道を作る。お前はその間に少しでも中心へ向かえ。」
「オーケー。任せて!」
私は、スッと前を見据える。視線の先には、蜘蛛の群れ。山のように盛り上がっている。
…たぶんあの真ん中に、リーダーがいる。
「よし!」
私は一度、両拳をギュッと握って気合いを入れた後、いと息吐いて走り出した。
その途端、私の周りに矢が振り注ぎ、行く手を阻む蜘蛛を一掃していく。
「さすがだね鳥さん!あっという間に蜘蛛が消えた!」
「…さっさと行け」
「はーい」
鳥さんが少し手で顔を隠すような仕草をした。
でも鳥さん、顔は霧でまったく見えてないよ。何を隠したいのか知らないけど、安心して。
『姉ちゃんよそ見しないで!』
「はいすみません!」
鳥さんを見て勝手に心の中でツッコミを入れていた私は、危うく蜘蛛の波にのまれそうになり呂都丸に叱られた。
蜘蛛の波は、私の目の前まで迫ってきていた。私は迎え討とうとしたが、その前に空から振ってきた矢によって、あっさり消えてしまった。
「ナイス鳥さん!」
「早く行け。」
「了解!」
私は、グッと足に力を込め、高く飛び上がる。月明かりに、空中で宙返りをして背中の反った姿が浮かび上がる。
私の目に映り込むものは、真っ黒な空から蜘蛛の大群へと、ゆっくり変化していく。
「行きまっす!」
そう叫ぶと、私は蜘蛛の山の中に自分の鍵爪を突っ込んだ。
掘るように、蜘蛛の山を崩していく。
「ねぇ、これって…」
掘り進めながら、私は呟いた。
『どうした?姉ちゃん』
「…まさか…」
『?』
「わかんなくない?!どこですか蜘蛛のリーダーさん!!」
『…』
うごめく蜘蛛に、目が混乱していく。動いているのか止まっているのかもわからない。
「群れの指揮官だからな。群れの中心で常に大量の蜘蛛に指示を出し、なくなった蜘蛛の補給をし…」
「へ?」
頭上から鳥さんが説明してくれるが、ちんぷんかんぷんだ。
『…ロト。』
イヤホンから、ため息まじりの優の声が聞こえた。
「優、ヘルプ!」
『…鳥が言いたいのは、一番動いていないのに守られている蜘蛛がリーダーだということだ。』
「なるほど!」
それならそうと、先にそう言ってくれたら良かったのに。
『…おい、ロトに細かい説明は不要だ。』
なんだかものすごく失礼な優の言葉が、イヤホンから聞こえた。




