表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/31

戦ってるもの

優がテスト勉強に勤しんでいる数日間、私は特に何もせずに過ごした。最初のころは呂都丸もいなくてたまらなかったが、呂都丸が帰ってきてからは、学校から帰ったあとはずっと呂都丸と家で遊んでいた。


「明日、優はテストだね!」

私は、呂都丸に向かってボールを転がしながら話しかける。

「そうだね。…ねぇ、テストって大変?」

「そりゃあもう!」

私は、ブンッと大きく頭を縦に振った。

「優でも?」

「そうだね。優が行ってる学校は、めっちゃ頭いいからね〜」

「ねぇ姉ちゃん。学校って、どんなところ?」

呂都丸が、興味津々なキラキラした目で聞いてきた。

「勉強したり、友達と遊んだり、部活したりする。あとは…」

「楽しい?」

「もちろん!」

「へー」

呂都丸は、鼻でコロコロとボールを転がす。…かわいい。

私は、ニヤニヤと緩む口を必死におさえた。

「ねぇ呂都丸、そういえばさ…」

バーンと、外から大きな音が聞こえた。

「なに?!」

私と呂都丸は、バッと立ち上がって外に駆け出した。

「なんだろ…?」

呂都丸が呟く。

アパートのベランダからでは、何も見えない。でも、ザワザワと落ち着かない雰囲気が街中に広がっている。

「行ってみよ!」

「でも、優いないし…」

「ほっとけないでしょ!」

「…そうだね!」

私たちは走り出した。優にこの前指定されたことのある場所で変身し、音のした方へ向かう。

「キャー!」

女の人が悲鳴を上げた。そのすぐ側に、女の人に向かっていく黒い影。

「離れなさーい!!」

私は、光る金色の目の黒い怪物に、思いっきり飛び蹴りを食らわせた。

「?」

いつものゼリーのようなグニャリとした感覚がない。

普通に、生き物みたいだ。

「おわ?!」

私は思いっきり後ろに飛び退いた。頬から血が出た。

『姉ちゃん!』

「大丈夫!かすり傷だよ!」

速い。攻撃が見えなかった。

ビュンッと耳元で音がする。

間一髪で横に跳んで避けた。相手がどんな怪物なのか、見る暇もない。

「どうしよ?!優!…あ」

…そうだった。優はおそらく、今は学校でテストをしている。優の高校は隣町だから、今こっちの街で何が起こっているかも知らないだろう。

『姉ちゃん危ない!』

目の前に、怪物の手が突き出てきた。…一瞬にして、手で顔を貫かれる。

「?!」

その前に、怪物の手が飛んだ。地面に赤い矢が突き刺さっている。

「もしかして…!」

私は、空を見あげた。

「鳥さん…!」

会えた。

怪物に向かって、きれいに弓を構えている。相変わらず黒い霧に覆われ姿は見えず、大きな赤い翼と妖しく光る金色の目だけが際立っている。

「ありがとう!助けてくれてー!」

私は、鳥さんに向かって思いっきり叫んだ。

「…」

鳥さんは何も答えなかった。

こちらを見ることもせず、目の前の怪物を指差した。

「あぁ、今は戦いに集中だよね!」

私は、怪物の方を向く。

「…?」

『姉ちゃん、あれ…』

やっと見れた怪物の姿は、大きさは私と同じくらい。二足歩行、きれいな五本の指、金色の目、鼻、口…。

バッと、また怪物が襲いかかってきた。

私は、手を使った攻撃を予想していた。でも向かってきたのは、手でも腕でもなく、足だった。

怪物が、きれいな蹴りを入れてきた。

「ゲホッ」

私は、思いっきり咳き込む。

あわてて跳んで避けたが、横腹に当たってしまった。

間髪入れずに、お腹にパンチが入った。

「グ…!」

私は飛びそうになった意識をなんとか保った。

『姉ちゃん、大丈夫?』

「平気!」

私はニヤッと笑う。でも、体は冷や汗でビショビショだった。

今までの怪物とは全然違う。攻撃の仕方が、まるで…

『姉ちゃん、あれって…』

違う。そんなわけない。たぶん、似たやつだ。

「…サル?」

私は小さく呟いた。

サルのような怪物は、パクパクと口を魚のように動かした後、ゆっくりこちらに歩いてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ