テスト対策!
「見て天音羽!ロトのグッズ!かわいい〜」
学校の昼休み。ロトの写真の入ったキーホルダーを、真子が見せてきた。
「ワー、スゴーイ…」
「ねえ、棒読みすぎない?」
世間の人には、ロトがキャラクターかアイドルのような存在になってしまったらしい。
「ほら!このポーズ!めっちゃかっこいい!」
「……。」
そんなに見せびらかされても、どう反応すればいいかわからない。
「前の怪物との戦いも良かったな〜。これでテストも頑張れるよ〜」
ん?
「…テスト?」
「え?明後日から期末テストでしょ?」
「…あ。」
ガタンと大きな音を鳴らして椅子から立ち上がる。クラスのみんなが私に注目する。
「やばい!テスト忘れてたー!!」
「ただいま!」
「おかえり姉ちゃん!どうしたの?そんなあわてて」
私は呂都丸を抱きかかえて居間に行くと、スマホを取り出し、ものすごい勢いでメッセージをうった。
「俺、忙しいんだけど?」
メッセージを送ってからしばらくして、呆れた顔の優が家に来た。
「ごめん!ヒーローのことばっか考えてたら、テストあるのすっかり忘れてた!!」
優は、長いため息を吐きながら居間に入り、机にパソコンを置いた。
「ほら、始めるぞ。わかんないとこあったら聞け。俺はやることやるから。」
「わかった!」
私も気合いを入れて、問題集を開く。
「…ねえ、優。」
「なんだ?」
「わかんない問題ある。」
「…早くない?ちゃんと考えたのか?」
「問題が何を言ってるかわからない。」
「……。見せてみろ。」
結局、全部の問題を最初から教えてもらい、優が開いたパソコンを操作することはなかった。
「ありがとう優!これでテストはばっちりだよ!」
「赤点は絶対に回避しろよ。ヒーロー活動にも支障が出る。」
「余裕だよ!!」
「…そう言ったときはだいたい赤点だ。」
失礼なことを言う。ちゃんと回避したことも…たぶんある。たぶんだけど。
「姉ちゃん、バカなの?」
「うぐ!」
呂都丸が、ズバッと聞いてくる。もっとオブラートに包むことはできないのかな?
「あぁ。ものすごくバカだ。運動能力に全振りしてるからな。」
「ありがとう!」
「ほめてない。」
即答された。そういえば、優に褒められたことあんまりないな。
「じゃあ、俺は帰るからな。」
「うん!ありがとう!」
私はブンブン手を振りながら言った。
「明日もよろしくー!」
「…わかった」
✽✽✽
「被検体K-37の居場所はわかったか?」
「いえ、まだ…」
白衣を着た男はイライラしたように冷たい部屋を行き来した。
「なぜ見つからない!ちゃんと尾行したのか?」
「はい!街に現れるたびに尾行しましたが…」
「なら、見つかるはずだろう!」
「それが…毎度ルートが違い、巧妙に曲がり角を利用し、気付いたらいなくなっていて…」
男は、舌打ちをしながら、パソコンを開いた。
「監視カメラも確認したのか。」
「はい。街中の監視カメラを確認しましたが、どこにも映っていません。上手く避けられています。」
「相手は、外の世界を何も知らない10歳の子どもだぞ!」
「はい…ですが、誰か協力者がいる可能性も…」
「ロトとして行動している女か。だが、戦いを見る限り、そのような考えがあるようには見えない…。もう一人いるのか?」
男は、パソコンに映ったロトの戦闘を観ながら、まだ見えぬ手強い敵の存在を探していた。




