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明かされる真実

 タイフーンの真実明かしは続く。

 タイフーンに大和たちの作戦を読まれ、元帥は「……」と沈黙する。

「しかし65-76魚雷でタイフーン級のすべてを破壊しきるのは無理だ。となると一部しか破壊できない」

「魂がこの異世界に転生できるかどうかは魂の容量で決まる。その程度の破壊では魂はリアル世界に留まり続ける?」

「そうだ。お前たちがF-4EJの改良点を50パーセント未満に抑えようとした時があったが、もし65-76魚雷がタイフーン級の50パーセント未満を破壊すれば、私の魂はリアル世界に残る」

「あれ……じゃ残りの50パーセント未満の魂はどこに行くの? 容量的にこの異世界には転生できないよね」

「それが双頭の鷲計画のキモだ。タイフーン級に魂が憑依し続けると同時に、残った50パーセント未満の魂の容量を増加させることができたら、その魂は異世界に転生させることができる」

「それで、リアル世界と異世界の両方に君を存在させようと?」

「そうだ」

「んじゃまさか、65-76魚雷を拉致させたのって……?」

「タイフーン級は潜水艦だ。自己破壊もできるが、船体の50パーセント未満のみをうまく破壊する方法がない。海底にぶつけて変なところを壊して浮上できなくなったら、サルベージ(沈没船引き上げ)されて、時間が掛かりすぎるしな……それに」

「サルベージをされて全て治されたら無意味になるからなの?」

「そうだ。一番都合よく破壊できるのが65-76魚雷だったという訳だ」

「しかし、65-76魚雷のあの様子じゃ……」

「そうだ、あいつは札束の山を前にしても断りやがった。だからお前たちを利用させてもらったまでだ」

 元帥は歯ぎしりしながら「くそおぉ」と悔しがる。

「一休みしよう。お前は酒を飲むか? なんならこの冷却用アルコールはどうだ。絶品だぞ」

「……僕はお酒なんか飲まないよ。メロンソーダがいい」

「そんなものはない。これでもくれてやる」

 タイフーンはそう言うと近くにあったバケツの水を元帥に頭から浴びせた。

 元帥は身を縮ませて「冷たっ」と言った。

「メロンソーダに氷のおかわりはいかがっ」

 タイフーンはそう言うと元帥に氷まで投げつけてきた。元帥は抵抗できずただせき込むだけだ。そしてタイフーンは椅子に着席して話を再開する。

「そうだな。双頭の鷲計画の鍵を握っているのは、私タイフーンのこの異世界での魂の容量と、ロシア製最新鋭兵器の魂の容量、その双方を増加させることができるか。だ」

「……そんなことが、できるの? まさかほかの兵器の魂を?」

「そう、他の兵器から魂を奪えたらいい。しかしそんな方法はない。それに容量的にも全然足りない。しかしただ一人例外がいた」

「……まさかっ」

「そうお前だ」

 それを聞いた元帥は絶望を知ったときの顔をする。

「お前の魂は人間のものだ。肉体の51パーセント以上がR-39ミサイルの部品で構成されていたから、この異世界に転生してきたが、魂の容量的には人間の魂と同じだ。機械である兵器の魂より万物の霊長である人間の魂の方が、その容量は圧倒的に多い。私たちに必要な量を十分確保することができる」

 元帥の顔は絶望と恐怖がない交ぜになったものに変わっていく。

「んでどうするのさ。まさか僕を食ったらその魂が君のものになるとか言わないよね」

「それはすでに手が打ってある」

 タイフーンがそう言って「パチン」と指を鳴らすと地下室に誰かが入ってくる。

「紹介しよう、我がロシア県最強の電子戦機Su-27IBPだ」

 それは言うまでもなく以前タイフーンが、元帥と同じ方法でこの異世界に転生させた、Su-27IBPの魂だった。

「電子戦機。まさかそれで僕をハッキングしようと……Su-27IBPで」

「そうだ」

「確かに大和さんもそんなこと言っていたかな。でもそんなもので魂をどうこうできるものなの?」

「この異世界でダウンさせられた兵器は復活するときまで、パソコンと同じようにセーフモードで起動できる。そこから魂にハッキングをかけることにより、兵器の魂を操作できるようになる」

「でもならなぜ僕なのさ。他の兵器の魂でも、他の人間を転生させてもいいじゃないかっ?」

 元帥は体を拘束されているのも忘れ暴れてそう言った。

「ハッキングにはある法則があるそうだ。精神力の弱い者ほどハッキングしやすいらしい。この異世界で兵器の魂の精神力は強い。精神力が最も弱いのは人間出身で、しかも人間の中でも稀有なほど精神力の弱いのはお前以外にいない」

 元帥は暴れるのをやめ、もう絶望で目の焦点すらあっておらず「そんな」とだけ言った。

「だからお前の魂を私がもらう。そしてタイフーン級を破壊した部分の50パーセント未満の魂と合成して、この異世界に留まれる十分な容量を持った魂を作る。当然リアル世界のタイフーン級には51パーセント以上の魂が残る。こうして私は両世界に同時に存在できるのだ」

「んじゃ、ロシア製最新鋭兵器も……」

「そうだ、私が取り込んだお前の魂をSu-27IBPがロシア製最新鋭兵器に合うように変換して分け与える。私が蘇生し、アリエスが65-76魚雷を蘇生させ、その65-76魚雷の欠陥が発動してタイフーン級は破損。それの修理が済んだのち、ロシア兵器見本市を核攻撃する。そうして私の双頭の鷲計画は完遂される。それと冥土の土産に一つ教えてやる」

「冥土の土産って……」

「お前が骨形成不全症をR-39の部品で直す時、後ろで糸を引いていたのは言うまでもなく私だ。そしてお前の直接の死因となった、事故も私が仕組んだことだ。お前たちはすべて私の手の上で踊らされていたんだよ」

 タイフーンはそう言うと勢いよく椅子から立ち上がり言った。

「さあ私が世界を統べる新時代の到来だっ。はっはっはっはっ」

 タイフーンはそう言うと、元帥の眉間に拳銃を突きつけた。

「いやっ、やめてお願いっ。大和さーん」

 元帥は泣き叫ぶが、タイフーンはそれに意を介さず拳銃の引き金を引いた。地下室に渇いた発砲音が響いてすべては終わった。

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