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作戦会議4

 その後の元帥の生活は相変わらずだった。核兵器の可能性がある元帥に日本の兵器の魂たちはアタックし続ける。しかも人間でもあるかもしれないので性欲を突くようなアタックだ。もう、元帥が人間なのか兵器なのかはどうでもいいのか?

 食事では異世界で手に入る食べ物を持ってくる、風呂では混浴しようとする、就寝の際は一緒に寝ようとし、出かける際は随伴しようとする。

 しかし浮かれる兵器の魂たちを横目に大和は作戦を練っていた。

 そしてある日の朝食。相変わらず兵器の魂たちは元帥に色々な食べ物を食べさせようとたかっていた。そこに大和が割って入る。

「はいはい、そんなに元帥君に迫ると困っているじゃない」

「仕方なっいすよ。核兵器は世界最強の兵器、私たち兵器の魂からすれば憧れの存在っすから」

F-4EJは落ち着いてそう言った。

「そうよねえ……なら元帥君もそろそろ身を固めるのはどうかしら?」

「身を固めるって……まさかっ」

揉みくちゃにされている元帥がそう言った。

「そ、そろそろ元帥君のお相手を決めようと思うの」

大和が湯呑を傾けながらそう言うと、元帥にたかっていた面々は大和の方に駆け寄って、「私を」「あたしを」と自分を元帥のお相手にして欲しいと詰め寄る。

「まあまあみんな落ち着いて、兵器の魂が行く付く先であるこの異世界では軍事力がすべて。だから日本兵器の魂からお相手を選出する戦いを実施するのはどうかしら」

それを聞いた面々は黙り込んでしまう。

「まあそれでいいんじゃないっすか」

F-4EJは頭の後ろで手を組んで投げやりにそう言った。だが面々は渋い顔をしている。

「なんかみんな不満そうね。ならこうしましょ。日本兵器の魂の主将である私は参加を辞退するわ。その代わり選出されても元帥君が拒絶したら話はなかったことに……で、どうかしら?」

それを聞いた面々の表情は一気に晴れる。そして大和が「それでいいわねっ」と念を押すと面々からは「イエスマム」と元気のいい答えが返って来る。

「選出戦は一週間後、会場は大統領選出戦で使った対戦フィールドを借りるわ。対戦はトーナメント方式で、勝利条件は相手を撃破すること。みんなそれまでに作戦を考えておいて頂戴。では解散っ」

 面々は作戦を練るべく、一目散に自室へと戻っていった。


 そして面々が去った後大広間に残ったのは元帥と大和。

「大和さんは何で参加を辞退したの?」

「それはね。私が参加すると戦いにならないから」

「うーん、それは大和さんが戦艦だから?」

「そ、この世界では兵器一機種に付き魂は一つ。そしてどんな兵器にしろ単機、単艦では世界最強の防御力を誇る私を撃破するのは不可能。F-4EJなどの戦闘機の対艦ミサイルにしろ、艦艇の主砲にしろ、ね」

「確かに」

「それに燃料が尽きた戦闘機は飛んでいられないし、戦闘機程度の火力では戦艦を撃沈できない。空母飛竜の艦載機はニ、三機種しかない。艦艇は主砲の撃ち合いで私にはかなわない。ってことになって詰むという訳」

「って潜水艦がいたよね。『はるしお』さんだっけ? 彼女なら大和にも一矢報えるんじゃ?」

「ああ、彼女ね。たしかに、私はソナーや魚雷など対潜装備が無いから彼女を探知することも攻撃することもできない。そして潜水艦の長魚雷は私にも致命傷を与えられる。でも……」

「でも、って?」

「一つ方法があるの、潜水艦の速力は二十ノット、すなわち時速三七キロメートル、一方私は二七ノットで時速五〇キロメートル。私が逃げ回っていたら彼女は確実に私の尻尾を掴めない」

「なんか戦艦なのに、情けない戦法だなぁ。もっと堂々とした作戦で……」

「私もそう思うけど、水の下に隠れる潜水艦も堂々とした戦いではないし。でね、潜水艦のバッテリーが尽きると、充電するためエンジンを動かしに海面近くでシュノーケルをするんだけど、そこへ私の主砲を見舞うわけ」

「それで日本兵器で大和さんは無双。だから不参加という訳ね」

「そういう事」

「でも僕は兵器の魂の中では、大和さんしかよく知らないよ。いきなり選出されたほかの兵器の魂と組まされても、僕はどうすればいいのか分からないよ」

「だから拒否権があるわ」

「でも選出された兵器の魂は僕のお相手になれると期待しているわけだよね。その相手を拒絶して、がっかりされるのも心が痛むし……」

「逆だと思うわ。選出された兵器の魂を受け入れると、他の兵器の魂のヒンシュクを買うわ。むしろ拒絶したほうが、多数が喜ぶわね」

「でもその場合、僕が従来通り兵器の魂たちのアタックを受け続けることになるんじゃ……」

「そうよ」

「ん? それじゃ選出戦をしても僕が拒絶すれば状況は今までと変わらない。ならこのお相手選出戦に意味はない?」

「やっと気が付いたの?」

「とうことは大和さんには何か思惑があると?」

「そういう事。勿体ぶらずに言えば、このお相手選出戦は最新鋭兵器の魂が、この世界に転生できるのかどうかを調べることなの」

「そんなことを調べることが可能なのかな?」

「そこで今回の元帥君のお相手選出戦なのよ。簡単に言うと核兵器というのは人間と違ってほぼ例外なく兵器の魂に好かれるの。ただ敵対国の核兵器は別として。だからこのお相手選出戦を広く宣伝する。と言っても日本の兵器限定でね」

「え?」

「そしてもし仮に最新鋭兵器がこの異世界にいて、元帥君のお相手選出戦に応募してこれば、この異世界に最新鋭兵器の魂が転生できるということを確認できる。という訳」

「なんかまどろっこしい方法だなあ。この異世界って大統領がいるんだから政府とか役所はあるんだよね。なら戸籍で調べれば一発で……」

「この異世界は蘇生データなどデジタルしているところもあれば、中世的な雰囲気などアナログな面もあるの。だから役所があるといっても、この異世界に兵器の魂が転生してくることは全く管理されていないの。勝手に転生して、同じ国の兵器同士のコミュニティーに参加せず、離れて住み着いていることがあるわ」

「なら最新鋭兵器がこの異世界に転生できるかどうかは……」

「全く分からないわけ。ただ今まで確認されていないから、いないという説が強い。そこで確認するのが今回の作戦」

「でも最新鋭兵器の場合、退役は考えられないから、事故か撃破されたかでないとこの異世界に転生できないはず。なにかアテでもあるの?」

「一応あるわ。F-4EJによると2019年に最新鋭ステルス戦闘機F-35Aが日本で墜落しているわ。もし最新鋭兵器が転生できるのならこれが転生してきているはず。ただ……」

「なにかあるの?」

「F-35Aの開発国は米国がメイン。だから日本製とは言えないの。その辺は御神慮次第になるわけ」

「なんかあやふやなことばっかりだなぁ」

「でも、この作戦は大してリソースも必要ないし、やれるだけやってみようと思うの」

「やれるだけやってみようって、選出されたのに僕に拒絶されるお相手と、拒絶する罪悪感を感じる僕はどうなるの?」

「双頭の鷲計画を阻止する上で決して無駄なことではないから元帥君も気が済むでしょ」

元帥は頭を抱えて「うーん」と唸る。

「まあそんなに悩まないで。元帥君がお相手を拒絶した場合は、私がお相手に埋め合わせをしておくから」

「それならまあ……」

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