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ショタ男子が異世界に転生してハーレムと陰謀に巻き込まれる話  作者: 隼きよし
デジタルセンチュリーシリーズの闇
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作戦会議2

 その後面々は日本街に帰投したが、出迎えた兵器の魂たちは元帥にまとわりつく。ある者はあからさまに風呂に誘い、ある者はマッサージと称してスキンシップを測り、ある者は膝枕や耳かきを勧めてくる。

 しかし元帥も旅で疲れていたので、その日はさっさと寝てしまった。


 そしてリアル世界、F-15A戦闘機の魂はアメリカのアリゾナ州デビスモンサン空軍基地で、大量にモスボール保存(再使用を前提とした保存)されていたF-15Aの一機に憑依した。しかし当然モスボール保存されていた機体なので魂が憑依したからと言って動けるわけではない。

「さて、どうしたものですか……」

 しばらくすると左主翼が少しずつ分解されていることに気が付く。F-15Aは焦った、アリエスが死亡判定されたのは分解されたのが原因。このままF-15Aの機体を分解されると、また異世界に転生してしまう。それとも、もうこの機体は破棄されるのだろうか。と言っても動かない機体のF-15Aにはどうしようもない。しばらく機体の分解が進み、ついにコンピューターを摘出されたらしく気を失った。


 そして数時間後、F-15Aは再度目覚める。周りを見回すと、狭い部屋に工具類がたくさん並べられた工場(こうば)のようなところだった。よく見るとドラム缶の焚き火の側に白髪で小太りの優しそうな顔のおじいさんがうたた寝していた。しかしF-15Aが目覚めると気配を察したのか、おじいさんも目を覚ました。

「お、F-15Aちゃん、起きたか?」

「あなたは誰ですか、それに私の体は……」

 そう言ってF-15Aは自身の体を見ると、人間と同じような格好、さらに言うのなら異世界での魂の外見と同じ外見をしていた。まさか異世界に転生してしまったのか?

「わしは兵器収集家じゃ。デビスモンサンで軍から払い下げられる兵器を物色していたら、お前さんが蘇生したところを偶然通りかかったんじゃ。それを買い取っただけじゃ」

「そうですか……」

「F-15Aちゃん、お前さんの事情は承知しておるよ。兵器にも魂があって、破壊されたりすると異世界に転生すると。そしてお前さんはこのリアル世界に蘇生したんじゃろ? 何か心残りでもあったのかな?」

「私は……」

「皆まで言うな。異世界で何か事情があったんじゃろ。お前さんの今の体はモスボールされていたF-15Aの左主翼を分解して作った。金属で骨組を作り、コンピューターを頭部に収納、油圧システム(尾翼などを動かす装置)を筋肉にした。あとは目や耳は出来合いの物で補い、シリコンで肉付けした」

「おじいさん……でも主翼を破壊すれば、私は異世界に転生していたのではないですか?」

「それはな、F-15Aは片方の主翼を失っても飛び続けることができるからじゃ。以前あったじゃろ、そんなことが。これでお前さんはどう見ても人間じゃ。何か思い残したことを解決しに行くといいじゃろ」

「ならばその心残りを解決したいので少しご協力をお願いします。ロシアにあなたと同じように兵器を蘇生させる人はいらっしゃるのでしょうか?」

「うーむ、ワシみたいに兵器収集家は世界にたくさんおるがの。そいつらのなかにはワシのように兵器を蘇生させるやつもいて、ネットでやり取りをすることはあるが……そういえば、ある噂を聞いた。ロシアで最近活発に兵器の蘇生が試みられているらしいのじゃ。そして蘇生したそやつらは最新鋭兵器を大量に異世界に転生させたいらしいのじゃ」

「やっぱりそうですか。で、具体的にはどうするのですか?」

「それはワシにも分からん。ただ単純に考えて最新鋭兵器が一堂に会するのは兵器見本市しかない。そこを襲撃すれば……ただ、それは無理じゃな、兵器見本市のセキュリティーは厳しいからの。効率的な方法としては核ミサイルで吹っ飛ばすことくらいかの」

「まさかタイフーン級が蘇生して核ミサイルで兵器見本市の最新鋭兵器を……こんなことしていられないわ、急いで転生しないと」

 F-15Aは小声でそう言ったのち顔をおじいさんに向けて続ける。

「おじいさん、今回はお世話になりました。何かお礼でもしたいのですが……」

「お前さんは現役時代たくさん国に尽くしてくれた。それがわしに対する最大の礼じゃ。わしはお前さんに臨むものはない。行けっ」

「わかりました。このご恩は生涯忘れません」

 そう言ってF-15Aはその場をあとにした。今回はこれで兵器の魂がリアル世界に蘇生できることと、タイフーンの思惑を確認できたのでミッションコンプリートだ。異世界に戻らなければならない。

「おじいさん、せっかく肉体を作ってくれたのに申し訳ありません」

 F-15Aはそう言って右手で左腕をもぎ取る。そして左腕の電線がショートして傷口から火花が散り、それを口に入れた。火花は体内の燃料タンクに引火、爆発してF-15Aの肉体は爆散した。


 そして数日が過ぎた。

「蘇生したF-15Aさんはどうしたのかなぁ?」

 元帥は日本街の御殿の縁側で大和たちと駄弁っいた。ちなみにほかの面々は水着に着替えて、庭の池で水浴びをしている。そして入れ代わり立ち代わり元帥に水着姿をアピールしてくる。しかも人間の元帥が男の子であることを知ってか、際どい水着が多い。マイクロビキニ、スク水、超ローレグ、超ハイレグ、紐水着、ニプレス、果ては絆創膏のみなど、なかなか要点を押さえている。大和がそれを追い払い、剥いたオレンジを元帥に渡しつつ会話を始める。

「たぶん今頃、F-15Aがリアル世界でロシアの状況を探ってきてくれていると思うわ」

「でも、タイフーンたちが両世界で何かをする、可能性として高いのはロシア製最新鋭兵器を『死亡』させて、この異世界に転生させることなんだよね」

「ただ、それには一つ疑問があるの。この異世界に来る兵器の魂は御神慮に恣意的に判断されているということ。すなわちこの異世界の軍事バランスを崩すような、最新鋭兵器の魂は存在しない。また試作機など未成兵器(開発、試作どまりの兵器)の魂もこの異世界には存在しないの」

「それって……」

「だからタイフーンたちには何か思惑があるはずなの。最新鋭兵器の魂をこの世界に転生させる何らかの方法が。それと一つ疑問があるわ」

「え、まだ何かあるの?」

「タイフーンが両世界を支配することだけど、異世界の場合は前述の通りで、リアル世界はタイフーンが蘇生して、タイフーン級の核ミサイルで国際社会相手に恫喝すればいい。ただ問題は兵器の魂はこの異世界かリアル世界のどちらかにしか存在できない」

「ということは?」

「ようするに両世界にタイフーンを同時存在させることはできない。これは人間である元帥君にも分かるわよね」

「うん」

「だから両世界を同時に支配するのは難しいという事」

「まあ核ミサイル潜水艦だから、数は少ないんだよね。タイフーン級ってなん隻建造されたの?」

「六隻。だからF-15Aのように機体の自己破壊による転生と、異世界からの蘇生を繰り返すことには限界があるわ。それができれば、疑似的に両世界に存在することができるけど、それは無理。となるとタイフーンはどうやって両世界を支配するか、ということなのよ」

「でもタイフーン自体はどっちかの世界に魂を置いて、あともう片方の世界は代理とか傀儡とか……」

「その辺も何か裏があるはずなのよね……」

「まあそれもF-15Aが何か情報を持って帰ってきてくれたら分かるかな。ところでこのオレンジ美味しいよね」

「まあ、この異世界は季節の概念があるから今はオレンジが丁度おいしい季節だわ」

大和はそう言うと次のオレンジを元帥に渡す。言うまでもないが兵器である大和は一口も食べず、ただ皮を剥くだけだ。

「あれ? 一つ聞いていい?」

「いいわよ」

「F-15Aの魂はリアル世界に蘇生したんだよね。でもF-15Aは退役により異世界に転生してきたんだよね、たしか蘇生した魂は、元の兵器の肉体に憑依するんだよね。だったら退役した機体なんかに憑依しても何もできないんじゃ?」

「たしかに今回の蘇生は異世界から人為的にする以上、リアル世界で再就役ではないわ。いままで蘇生した兵器はすべてリアル世界の人間都合で再就役しているから、稼働する肉体があった。だから今回は稼働する肉体はない。でも、まさかモスボールされた機体のままで何もできないなんてことは無いはずだから……」

「もしそうだとすると、タイフーンの思惑通りにいかないから、双頭の鷲計画と矛盾する?」

「そ、蘇生したあと機体が死んだままでも、何らかの方法を使ってリアル世界で活躍できると考えるのが自然という訳。だからタイフーンはリアル世界で双頭の鷲計画を進められるはずなの」

「それより僕たちはどうするの? F-15Aが帰ってきてからまた作戦を立てるの?」

「いえ、タイフーンの目論見がまだつかみ切れていない以上、いろいろと手を打っておきたいの」

「相変わらず、大和さんは作戦好きだよね」

「そうよ、五十六さんの受け売り。精神論では戦争は勝てないから。作戦が重要なの」

「それでF-15Aが帰ってくる目途はあるの?」

「それは抜かりないわ。リアル世界ではほかの米製兵器の魂と意思疎通できるから、簡単に情報収集できるかも」

「あ、その手があったか」

 そして誰かが後ろからぬっとあらわれ「そうですよ」と。他ならぬF-15Aの魂だ。

「F-15Aっ、やっと帰投したの」

 元帥はF-15Aの大きな胸に飛び込み、F-15Aはその頭を撫でる。蘇生するとき永久の別れになるような感じだったから、戻って来た時の元帥の喜びも一塩だ。

「やっと帰ってきたわね。一休みして行って、高級チタン合金のビスケットがあるから」

「ありがとうございます。ではそれを頂きながらご報告でも」

 大和は御殿の奥に消えていった。

「ところで元帥さん。あなたは大和姉さんの事どう思っているんですか?」

 元帥と二人になったF-15Aはそう尋ねた。

「まあ、綺麗でスタイル抜群でおっぱいも爆乳。魅力的な女の子だよね」

「まさか、大和姉さんと結ばれないかとか思っていないですよね?」

「僕も人間……なのかどうかは分からないけど、どうも相手が兵器の魂と思うとエッチな気持ちにはならないかなぁ」

「またまたそんなこと言ってえ」

「でもこの異世界に長年いると僕の心も変化するのかな。大和さんを好きになることも……と言っても、僕……というより日本人はみんな戦艦大和が好きだけど、それは兵器に対する愛で異性に対する愛じゃない。だから……」

「いつまでも大和姉さんを兵器としてしか見れないと? それでみんな水着姿なのに元帥さんは無反応なんですね」

 元帥が「まあね」と言うと大和がチタン合金の盛られた菓子皿を持ってきた。

「では早速いただきます」

 F-15Aはそう言ってチタン合金を取って食べていく。しかし人間かもしれない元帥にとっては慣れない違和感のある光景だ。しかも噛むときの音が人間が煎餅とかを噛むときの音ではなく、金属がゆがみ、切断されていく音なのであまり心地いい音ではない。

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