第28話 ダンジョンコア
「ミオちゃん、ここがダンジョンだよ」
今日は2人が受けた依頼の見学に連れて来てもらった。
後学のために冒険者の先輩であるサラとティナにお願いすると快く引き受けてくれたのだ。
「これがダンジョン……?」
僕の目の前には神殿風の建物に冒険者たちが並んでいるように見える。
入り口の横ではギルド職員が冒険者カードを受け取って何かの確認をしていて、まるで遊園地のアトラクションに並んでいるみたいだ。
「ミオ、ダンジョンの感想はどうや?」
僕が思っていたダンジョンはゲームのように洞窟や古くて高い塔、森の奥や山の麓にひっそりと穴が開いているイメージだった。
「それは自然発生したダンジョンやな」
「自然発生……?」
「洞窟なんかに魔物が住み着くダンジョンことを自然発生型って言うねん」
普通、ダンジョンってそんなものじゃないの?
僕が首を傾げているとサラが説明してくれる。
「自然発生したダンジョンだと住み着いた魔物を倒せば終わりなの。魔物がいないダンジョンに私たち冒険者は行かないしね」
「あっ、そうか」
ゲーム慣れしてるからわからなかった。
洞窟なんかに住み着いている魔物を殲滅してしまうと空っぽなんだ。
そんな洞窟に冒険者はやって来るはずもない。
「しばらくして別の魔物が住み着く場合もあるけどね」
それじゃ僕の目の前にあるダンジョンは何なんだろう?
「これはダンジョンコアで生成されるコア型のダンジョンだよ」
「ダンジョンコア……?」
サラの説明によればダンジョンの核となる部分が発生した場合、その洞窟や建物自体に命が宿り魔力を貯め込み始めるらしい。
その魔力で魔物を発生させることで他の魔物や冒険者を呼び込み死体を吸収することでさらに魔力を貯め込む仕組みなんだとか。
「一言で言えばエサで冒険者とか魔物を釣ってるわけや」
うん、凄くわかりやすい。
どうしてダンジョンコアなんて物が発生するのかは解明されていない。
まあ、冒険者にとってお金が稼げれば問題ないみたいだ。
「長い間、放置されてた空き家が急にダンジョンになったこともあるんだよ?」
「えっ、そうなの!?」
ダンジョンコアは寂れた建物や洞窟に自然発生するとか。
隣の空き家が突然ダンジョンになったら怖すぎる。
ちなみに僕の目の前に見えるダンジョンも昔はただの洞窟だったそうだ。
そこへダンジョンコアが発生して魔物が住み着く。
その魔物を相手に金儲けをしようと冒険者が集まって、そんな冒険者を相手にする商人が店を出してやがて大きな街ができあがるのだ。
「今はアテリルのダンジョンコアもギルドで管理されてるから危険は無いで」
ティナの話によれば昔、アテリルより大きな街にあるダンジョンコアが暴走して魔物が地上にまで出てしまい一夜にして街が全滅した例もあるとか。
(これがゲームなら完全に前フリだよ)
そんな話をしながらダンジョンへ入る列に並んでいると順番が回ってきた。
冒険者カードを提示して名前とランクを伝えると小部屋へ通される。
「この部屋は何なの?」
「ここからダンジョン1階層にランダムで飛ばされるねん」
「全員が同じ入り口だと混雑するしね」
なるほどね。
確かに列に並んでいた時も数十組以上の冒険者たちがいた。
その冒険者とスタート位置が同じなら魔物の取り合いになるかもな。
そう考えている間に部屋の中が輝き出して小部屋から僕たちの姿が消える。
☆☆☆
「ミオちゃん、ダンジョンへようこそ!」
サラが僕に抱きついてくる。
ティナも僕の頭を乱雑に撫でるけれど何だか心地良い。
「これが本物のダンジョンなんだ……」
さすがにダンジョンだけあって中は暗くて少しジメジメしている。
サラとティナが松明で周囲を照らしてくれなければ数メートル先も見えない。
通路は思ったより広くて大剣を振り回しても問題無さそうだ。
「ミオは初めてのダンジョンやから1階層から開始やで。うちらの依頼で必要な素材は2階層にあるから今日の目標は2階層や」
「この1階層は弱い魔物が多いけど気を付けてね」
「うちらから離れ過ぎたらアカンで?」
「うん、2人から離れないようにするよ」
ゲームで慣れているつもりだったけれど実際のダンジョンで緊張感が高まる。
ここでもし魔物に襲われれば怪我をしたり最悪死亡もありえるのだ。
今一度、自分の頬をパンと叩いて気合を入れる。
(初めてのダンジョン戦か)
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