第23話 僕のスキルって
「ちょっ、お姉さん!?」
僕の返事が嬉しかったのかアリシアさんに抱きしめられた。
アリシアさんの柔らかい胸が僕の顔を包み込む。
(子供の姿って本当に素晴らしいな!)
さすがに息苦しくなってきたので頭を動かすと色っぽい声がする。
――バシッ!
僕の上の方で何かを叩く音が聞こえた。
「何をするんですか、先輩っ!?」
アリシアさんが屈んだままその人に抗議をしている。
どうも書類の束で引っ叩かれたらしく少し涙目になっていた。
(書類の束とは思えない音がしたけど大丈夫か?)
その人を見上げるとギルド職員の女性で服装からして上司だろう。
怒られているアリシアさんを見て僕も悪ノリし過ぎたかもしれない。
「お姉さん、ごめんね」
こんな状態でも僕を抱きしめているアリシアさんの頭を撫でる。
「……ふおぉぉっ!」
アリシアさんが奇声を上げてぶっ壊れた。
この後、さっきより鈍い音がギルド内に響いたけれど仕方ないよな?
「お嬢さん、こちらへどうぞ」
上司と思われるギルド職員の女性に呼ばれて受付カウンターへ戻る。
さっきまで僕の応対をしてくれていたアリシアさんは別の受付カウンターへ移動させられて筋肉剥き出しの相手をしていた。
無表情のまま作業を進めている姿が少し怖い。
「私の名前はソフィアです。うちの職員が迷惑をかけてごめんね」
アリシアさんが可愛い系なら、僕の前にいるソフィアさんは綺麗系だ。
緑色の長い髪に頭の横から伸びる特徴のある長い耳。
(エルフなのかな?)
さすがに<鑑定>はフララさんで懲りたので止めておく。
「僕の方こそごめんなさい。名前はミオと言います」
最後に僕の性別を伝えると少し驚いていた。
そんなに僕の見た目って女の子なのか?
神殿の湧き水で自身の姿を確認してから見たことがない。
(今度、木桶に水でも張って見てみるか)
ソフィアと名乗ったギルド職員を見ると頬が少し赤い。
アテリルの冒険者ギルドにはショタ好きしかいないんだろうか?
「……こほん。それではこちらの用紙に記入をお願いしますね」
ソフィアさんに渡された用紙に必要事項を記入していく。
問題は魔法やスキルの欄だけれど……。
「ミオくん……ですね。魔法やスキルは個人情報なので空白でも問題はありませんよ。ただ今後パーティーを組むのではあれば書いておくと有利になります」
ソフィアさんの話では魔法やスキルは本人の意思に任せているらしい。
ただ魔法やスキルを記入しておけばパーティーを組む時に自分の長所を相手に評価してもらいやすいし、冒険者ギルド側でも依頼を回す時には有利なスキルを持っている冒険者が優先される。
(うーん、どうしようかな)
僕が持っている魔法やスキルの中でも<創造>や<鑑定>に<食糧>なんて面倒なことになるので書くつもりは無い。
そうなると依頼を受けるうえで有利になるならやっぱりコレだよな。
用紙のスキル欄に<収納>と書いてソフィアさんに手渡す。
「ミオくんは<収納>のスキルが使えるのですね! このスキルを持っている冒険者は収集系の依頼を受けやすいんですよ。収納量や大きさはわかりますか?」
リーディエルの冒険者が使える<収納>ってどれくらいなんだろう。
さすがに無制限とは言えないので何となくでいいか。
「収納量は50個ほどで大きさは馬車くらいなら入ります」
「……え?」
僕の答えに静まり返る冒険者ギルド。
アリシアさんとの件で僕の存在は注目を集めていたらしい。
「あの……、何か変なことを言っ――」
「ミオ、ちょっと!」
僕の後ろにいたサラとティナが小声で話しかけてくる。
(ミオちゃん、普通の<収納>スキルって30個前後なの。大きさもベッドくらいが入れば凄いんだよ?)
そんなに少ないんだ!?
リーディエルにも普通に存在しているスキルだし僕的にはかなり抑えた感じで伝えたんだけれど違うらしい。
(ミオの<収納>スキルってホンマに50個も入るんか?)
(……えっと試したことは無いけど100個でも平気だと思う)
ここで収納量も大きさも無制限なんて言えない。
「はぁっ!?」
「ちょ、ティナってば声が大きいって!」
ティナが大声を上げたことでさらに注目を浴びてしまう。
サラがティナの口を押えたけれどすでに遅かった。
「あんなガキが<収納>ってマジかよ?」
「50個と聞こえたが間違いだろ? ガキだし勘違いしてるんだ」
「それでも<収納>が使えるなら便利だぜ?」
周囲の冒険者が色々言っている。
本当のことだし日常生活でも使うから隠しても仕方ない。
「ミオくん、変なことを聞いてごめんね……」
ソフィアさんが申し訳なさそうに頭を下げる。
「僕は平気だから気にしないで下さいね」
そう言うとソフィアさんに少し元気が戻ったのか笑顔を見せてくれる。
やっぱりギルドの受付に座る女性は笑顔が似合うよな。
「それではしばらくお待ちくださいね」
冒険者カードの発行には少し時間がかかるらしい。
その間は少し離れた長椅子に座って待つことにする。
「ミオちゃん、ここで待っててね」
「ちょっと行って来るで」
サラとティナは依頼の件で受付カウンターへ呼ばれて僕1人だ。
そこへ誰かが近づいて声をかけてくる。
「よぉ、また会ったな?」
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