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第24話 絡まれました

「おい、メスガキ。また会ったな?」


 声のした方を振り向くと露店で劣化回復薬を売っていたゴリラ獣人だ。

 確か名前はジャコだったと思う。


「誰かと思ったら偽物を売ってた人たちか」

「なんだとっ!?……まあいい。お前<収納>のスキルを持ってるんだってな。それなら俺たちと組まないか? 稼がせてやるぜ?」


 何で喧嘩を売った相手と組まなきゃならないんだよ。


「それにお前みたいなガキでも数年もすりゃ俺らの夜の相手もできるだろ? 今からしっかり仕込めば遊んで暮らせるだけの金が入るぞ?」


 そう言ってジャコの口角が上がり下品な声で笑う。

 初めての冒険者ギルドは絡まれるのがお約束だけれどメスガキ呼ばわりされたうえに将来は(なぐさ)み者とか勘弁してくれ。

 それよりアリシアさんやソフィアさんとの会話を聞いてないのか?


「断るよ。決まったパーティーもあるしね。それと僕は男だ」


 ジャコを(にら)むと背後に立っていた1人が僕をジロジロと見て近づいて来る。


「へぇ、嬢ちゃんかと思ったら可愛らしい男の子かい?」


 大きな外套(がいとう)の隙間から見える一部の肌は鱗に(おお)われていて爬虫類みたいだ。

 頭のフードを脱ぐと顔は薄汚れているが綺麗な顔立ちをしている。


「それじゃ私の夜の相手を務めないかい? もちろん金は払ってやるよ?」


 おぅ、まさか女性もいたとは……って子供に何をさせる気だよ。

 下品な女は僕に近寄って抱きしめようとする。

 もちろん振り払うがその行為も楽しいのかニヤついていた。


(どうしようか……?)


 完全に見下した笑いを浮かべながら絡んでくるジャコたち。

 他の冒険者たちも僕とジャコが気になるのかチラチラと見ているけれど助けは期待できそうに無い。


「そこまでです!」


 ジャコたちの背後から声が聞こえる。

 みんなが振り向くとソフィアさんが僕を呼びに来たらしい。


「ちっ、ソフィアかよ……。しゃーねぇ、お前らいくぞ?」


 ソフィアさんがジャコを睨むと視線を外して冒険者ギルドを出て行った。

 フララさんの時も思ったけれどソフィアさんも見た目以上にかなりの実力者なのかもしれないな。


「ミオくん、大丈夫でしたか?」

「ソフィアさん、ありがとうございます!」

「あの人たちはあちこちで騒ぎを起こしているので気を付けてくださいね?」


 聞けば他の街の冒険者ギルドでも問題を起こし出禁になったらしい。

 アテリルでも苦情が相次いで今後の対応を冒険者ギルドで詮議(せんぎ)しているとか。

 困った奴らはどこの世界にもいるもんだよな。


「ミオちゃん、ただいま」

「あれ、何かあったんか?」


 依頼の確認をするために別の場所にいたサラとティナが戻ってくる。


「ううん、大丈夫だよ」


 2人に余計な心配をかける必要も無いしね。

 ソフィアさんも僕の気持ちをわかってくれたみたいで何も言わない。


「こちらがミオくんの冒険者カードになります」


 僕の目の前に名刺ほどの大きさをした1枚のカードを見せてくれる。

 木や金属でもない不思議な素材のカードに僕の名前とGランクの表記。

 これに僕の血を1滴垂らせば登録は完了だ。


「それでは冒険者ギルドの説明をしますね」


 ソフィアさんの話によれば最初は見習いのGランクから始まる。

 その間はギルド規定の依頼しか受けられず半年の間にFランクへ昇格しなければ自動的に失効となり、その後半年間は冒険者カードの発行もできない。


「Fランクからはギルドの掲示板に張り出されている依頼を受けることができますが自分のランクより1つ上までになります。もし依頼を失敗すれば違約金が発生し何度も失敗すると降格処分の対象になりますので気を付けてくださいね」


 依頼を受ける時は慎重に選ばないとヤバいな。

 降格処分になるのは勘弁してほしい。

 逆にランクを上げるにはどうするんだろう?


「ランクを上げるには一定回数の依頼を達成すれば大丈夫です。ただBランクからは昇格試験がありますよ」


 一定回数の依頼を受けて成功すればいいのか。

 その内容や回数はランクによって違うので都度、冒険者ギルドで聞けば教えてもらえる。


「見習いのGランクは薬草採取やゴブリン以下の魔物退治、住人の手伝いなど簡単な依頼を最低でも50回以上達成すれば昇格ですよ。頑張ってくださいね」


 そう言うとソフィアさんは笑顔を見せて他の仕事へ戻って行った。

 冒険者カードも無事にもらったしギルドを出ようと席を立つと数人の冒険者たちが僕の方に近寄ってくる。


「さっきは助けてやれなくてすまねぇ」

「声をかけてやりたかったが相手がアイツだったから……」


 頭を()きながら謝ってくる冒険者たち。

 ジャコはゴリラ獣人だけあって体格も大きいし見た目も怖いからな。


「僕も子供で絡まれやすいから気にしないでくださいね」


 別にこの人たちが悪い訳じゃないしな。

 僕がそう答えると冒険者の人たちが驚いて感想を口にする。


「……本当にしっかりしてるな」

「うちの娘の婿にほしいよ」

「私と将来を誓うのはどうかな?」


 最後の人は何を言い出すんだと見ればアリシアさんだ。

 ちゃんと仕事をしないとソフィアさんに怒られるよ?

 他の冒険者たちには感謝を伝えておいた。

 僕の見た目だと今後も何かあった時に味方は多い方がいい。


「今日はお騒がせしました。これからよろしくお願いします」


最後までお読みいただきありがとうございます。

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