第21話 ミオ、異世界で夫になる?
「2人とも元気?」
みんなで宿屋へ戻ると懐かしそうに話し込んでいる。
フララさんの手には露店で買った肉串が握られていて嬉しそうだ。
「フララさん、もう街中で僕の下着を下ろすのは止めて下さいね?」
「ミオが男の子だとわかったから大丈夫」
本当に大丈夫なのか心配になるよ。
フララさんに少し興味が湧いて悪いと思いつつ<鑑定>してみる。
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名前 :フララ(兎人族)
職業 :Bランク冒険者(奴――
……
「何をしている?」
フララさんの氷のように冷たい声に気が付くと僕の首筋に鋭い剣が当てられていた。
その目はさっき僕の下着を脱がせた人と同一人物とは思えない。
(殺される!?)
このまま<鑑定>を続ければ彼女は躊躇なく剣を横に引くだろう。
すぐにスキルを解除すると僕に聞こえる小声で「いい子」と言って剣を収めた。
「ど、どないしたんや!?」
「フララさん、何をしてるのっ!?」
「うーん、勉強?」
フララさんの行動に驚いて詰め寄るサラとティナ。
そんな彼女は出会った時と同じ天然な感じに戻っている。
「意味がわからんけど子供に剣を向けたらアカンで?」
「ミオちゃん、大丈夫?」
サラが僕を慰めてくれるけれど今のは完全に僕が悪い。
「ううん、フララさんは悪くないんだ。僕が余計なことをしちゃって……。本当にごめんなさい」
「ミオは良い子」
素直にフララさんに謝ると頭を撫でて許してくれた。
気になったのでそのまま聞いてみる。
「何でわかったの?」
「うーん、勘?」
「勘かーーいっ!」
座ったまま前のめりにズッコケる。
今度から人に向けて使う時は注意が必要だといい勉強になったよ。
「勘と言えばミオちゃんは回復薬が劣化してるって何でわかったの?」
「うちらは全然わからんかったわ」
「それは――」
僕も勘だと言って逃げることもできた。
だけど数日間一緒に生活して2人は僕が人間族だと知っても普通に接してくれたし何かを強要するようなことも無かった。
そんな2人に秘密を作るのは胸が痛む。
(さっきも露店の騒ぎで僕を庇ってくれたしな)
僕が違う世界から来た人間だと言うのはまだ話せないけれど、リーディエルでの情報なら問題ないか。
これで2人の態度が変わっても運命だと思って諦めがつく。
「僕のステータスを見せるね」
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名前 :ミオ(人間族)
職業 :奴隷
魔法 :創造
スキル:鑑定、収納、食料
ギフト:女神の加護
加護 :空白
:空白
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「えっ、<鑑定>のスキルが存在してる!?」
「魔法の<創造>って何や?」
「他にも知らないスキルがいっぱい……。ギフトなんて初めて見たよ」
僕のステータスを見せると驚きを隠せないサラとティナ。
加護の欄だけが空白なのは仕様かもしれないな。
「見てもいい?」
フララさんも気になるのか僕に聞いてくる。
さっきのお詫びもあるし承諾するとステータスを覗き込んで驚いている。
「<収納>以外、全部知らない」
さすが異世界、<収納>のスキルは僕以外にも存在するんだ。
「ミオちゃん、魔法の<創造>ってどんな魔法なの?」
「それは――」
簡単に魔法とスキルの説明をしていく。
その中でもフララさんが気になったのは<食糧>のスキルだ。
「ミオ、<食糧>って何?」
「それは魔法の<創造>と組み合わせて使うんです」
説明するより見せた方が早いか。
手の上にパンとおにぎりを作ってフララさんの顔の前に持っていく。
かなり気になるのかゆっくり鼻を近づけて匂いを嗅ぎ、次は可愛い舌を少し伸ばしてペロッと舐める。
しばらくすると急に目を見開いてパンとおにぎりを手に取りかぶりついた。
「美味しい」
そんなフララさんを羨ましそうに見ているサラとティナ。
2人にもパンとおにぎりを渡すと美味しそうに食べ出した。
幸せそうに食べる3人の姿は小動物みたいで心が安らぐ。
「他にも出せる?」
僕が差し出したパンとおにぎりを食べ終わったフララさんが聞いてくる。
もちろんさっきのとは別におかわりで出した分だ。
「今は無理だけど増えると思いますよ?」
そのためには僕自身も強くなる必要があるけれどね。
僕がそう答えると何かを考えているフララさん。
碌でもないことを言い出しそうで怖いんですけれど……。
「ミオは私の夫にする」
ほら、やっぱりね。
何となくだけれどフララさんのことがわかってきた気がする。
「「えぇぇーーーっ!?」」
サラとティナが驚いたまま帰って来ないので僕がフララさんに尋ねる。
「フララさん何を言い出すんですか?」
「大丈夫。私が生活費を稼ぐからミオはご飯をお願い。ミオのご飯は美味しい」
出会ってから初めての長文だな……とか言ってる場合じゃない。
「いや、大丈夫じゃなくて僕は10歳なんだけど?」
あくまで自称10歳ってだけで中身は25歳だけどさ。
それでも結婚となると色々問題があると思うぞ?
「問題無い。5年もしたら子供も作れる」
その言葉を聞いてサラとティナが我に返る。
主人と奴隷の関係も問題だけれど異世界で夫婦生活ってどうなんだ?
「フララ姉ちゃん、そんな問題とちゃうって!」
「そうだよ? ミオちゃんはまだ子供だし結婚なんて早いよ!」
2人の抗議を受けて何を思ったのかウエストポーチのような鞄から露店で買った「肉の腸詰」っぽい食べ物を取り出すフララさん。
屋台なんかでよく見るフランクフルトに近い食べ物だった。
「さっき見たらコレくらいだった」
そう言って肉の腸詰の2割ほどの長さを親指と人差し指で表す。
フララさんの態度を見て嫌な予感しかしない僕。
「ミオの生殖器がコレくらいに成長すれば大丈夫」
肉の腸詰の半分ほどまで親指と人差し指を広げるとドヤ顔を決めるフララさん。
それを見て盛大にズッコケる僕。
「「ブフーッ!」」
フララさんの言葉にサラとティナが口の中の水をすべて僕に吹き出した。
おかげで全身ずぶ濡れ状態だ。
(これって一部の人には本当にご褒美なのか?)
とりあえずびしょ濡れになった床を拭く。
「作り方は知らないから2人に教えてほしい」
「そ、そんな作り方って……」
「ミオのはコレくらいか……」
サラとティナはフララさんが手に持っている肉の腸詰と僕の下半身を見比べて真っ赤な顔をして俯いていた。
何を考えているのか知らないけれどもう何も言うまい。
(人間を増やせってこう言うことですか、アラミオン様……?)
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