第15話 スキルの確認
「行ってらっしゃい」
サラとティナは準備が終わって部屋を後にする。
これから冒険者ギルドで仕事を受けてダンジョンへ向かうらしい。
「夕食も買ってくるから楽しみにしててね」
「なるべく早く帰るからなー」
部屋の窓から2人に手を振って見送る。
本当は一緒に行ってもよかったけれど今日は諦めた。
リーディエルへ転生させられてイベントの連続だったから自分自身のことを調べる時間がほしかったのだ。
「さて、自分がどうなってるか確認するか」
パン!と自分の頬を両手で叩き、活を入れてステータスを確認する。
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名前 :ミオ(人間族)
職業 :奴隷
魔法 :創造
スキル:鑑定、収納、食料
ギフト:女神の加護
加護 :光の神アラミオン
:豊穣の女神メラッド
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「やっぱりか……」
起きた時に変な違和感があったけれど正体がわかった。
「いつの間にスキルが増えたんだ?」
僕のイメージでは敵と戦って経験値を得ればレベルが上がってスキルが増えると思ったいたけれどリーディエルではレベルの概念はない。
まさか宿屋で寝たら何もしなくてもスキルが増えたとか?
「それなら馬小屋でも十分なんじゃ?」
往年の3DダンジョンRPGを思い出してボケている場合じゃない。
メラッド様にも強くなれと言われたけれど僕の体で大丈夫なのか?
スキルも戦闘には不向きだしゲームでは最弱とされるスライムやゴブリンにすら負けそうな気がする。
「他人はどんなステータスなんだろう?」
部屋の窓から外を眺めて道行く人を鑑定すればすぐにわかるんだけれど魔法やスキルは個人情報だと聞いてから覗き見するようで気が引ける。
「悪い奴らなら気にならないんだけどさ」
今度、サラやティナに相談してみることにする。
リーディエルの女神像を巡るなら戦闘訓練なんかも必要だしな。
まずは<鑑定>以外のスキルをもう少し掘り下げて調べてみるか。
【 収納 】
時間停止のうえに収納個数やサイズに制限なし。
異世界系のスキルの中では定番だし使い方はマスターしておきたい。
<鑑定>と同じように自分の内側へ意識を向けると目の前に透明なボードが表示される。
「これでいいのかな?」
ちなみに透明ボードには財布とスマホの他に、コンビニで買った唐揚げ弁当とお茶にジュース、プリンとポテチが表示されていた。
この持ち物は僕が事故に遭う直前に持っていた物だ。
取り出してみようと思ったけれど収納できないとマズいので、まずは手持ちのアイテムを収納できるか実験だな。
まずは近くに置いてあった木のコップを手に持って収納するイメージを思い浮かべるとフッと消えて透明ボードに「木のコップx1」と表示された。
今度はそこから取り出すイメージを浮かべると透明ボードの表示は消えて僕の手には木のコップが乗っている。
「うん、問題なさそうだな。それじゃ次は……」
透明ボードの中から財布を取り出してみると成功した。
さっそく中身を確認すると銀貨4枚と銅貨8枚、鉄貨11枚が入っていた。
「何で日本のお金がリーディエルの硬貨になってるんだ?」
少し悩んだが神様やケモ耳少女が存在する異世界だしな。
きっと使いやすいようにアラミオン様が何とかしてくれたんだろう。
「ところで最後に財布の中身を見た時は5000円くらいだったはず」
そう考えると銀貨1枚1000円で銅貨1枚100円。
鉄貨は1枚10円くらいの貨幣価値ってことか。
昨日の露店でもらった安い肉串は鉄貨5枚だったから1本50円くらい?
リーディエルの貨幣価値がこの計算で合ってるなら僕の落札価格だった金貨110万枚っていくらになる?
「11億……、いや110億になるのか」
我ながらとんでもない金額だと改めて思う。
絶滅した種族とは言え僕にどんな価値があるんだよ。
「これは早く首輪を外さないとマズいかも」
僕を110億で落札したトンガンや奴隷市場の主人ゾルダ、他にもあの会場にいた客たちは僕が人間族だと言うことを知っている。
早く首輪を外してサラやティナの元を去らないと2人にも危険が及ぶかもしれない。
「今度、女神様に会ったら聞いてみるか……っと次はスマホだな」
財布と同じようにイメージすると長年愛用しているスマホが現れる。
電源ボタンを押すといつものホーム画面が表示されるがもちろん電波は入らない。
メールやSNSアプリを起動させても反応はない。
もちろん電話も試したけれど何も起きなかった。
一応、カメラの撮影は可能だったから記念に数枚撮っておく。
「少しは期待したんだけど無理だったか」
他にもコンビニで買った唐揚げ弁当やお茶にジュース、プリンにポテチも取り出すことはできたけれど今後何かあった時のためにそのままにしてある。
ちなみに唐揚げ弁当はコンビニで温めてもらった熱々の状態だった。
「今度はもう少し大きなもので実験したいんだけど」
部屋の中で大きな物と言えば備え付けのベッドくらいしか見当たらない。
失敗すれば当然弁償しなきゃならないので却下だな。
「そうなると着ている服しかないか」
今の時間はサラもティナも戻って来ないし大丈夫だろう。
自分の着ている服を収納するイメージを思い浮かべると全裸になって透明ボードには「薄汚れた衣服x1、下着x1」と表示されている。
薄汚れたは余計なお世話だと思ったが間違っていない。
「今度は服を着るイメージを――」
――コンコン。
「失礼しまーす。お部屋の清掃に……」
僕の恰好を見て呆然とする馬っぽい耳と尻尾を持った女性の従業員。
部屋の中央で扉の方を向いて実験していたので丸見えの状態だ。
その証拠に女性従業員の視線が僕の下半身へ移動しているのがわかった。
「あ、あの、体を拭いてて……」
脳をフル回転させるも言い訳が思いつかず、体を隠そうにもすべて収納に入れてしまっている。
隠れる場所も無く、逃げ出そうにも全裸じゃ無理だ。
「す、すみませんっ!」
女性の従業員は顔を赤くしながら慌てて扉を閉めて去って行く。
けれど最後に小声で「可愛いっ!」と聞こえたことを忘れない。
誰もいなくなった部屋で全裸のまま膝から崩れ落ちる僕。
「収納の実験は改めて今度やろう……」
収納から取り出した服を着ながら大きなため息をついた。
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