10:一発面談3
三人は目の前の角刈り頭の青年と強調する胸に視線を奪われがちだが、幼さが残る女の子を前にまさか、とその可能性を認めるべきなのかどうか悩んでいた。
確かについこの前、王位が継がれ新王とその王妃が声明文を読み上げたのは記憶に新しい。それぞれがハッキリと喋り、それなりにまともな事を言っていたのだが姿容姿はメイクや服装でとにかく王っぽい、王妃っぽい、一言で言えば凄そうな人が継いだというイメージであった。
だがしかし、今目の前に居るのはジャージ姿の大学生と同じくジャージ姿の中学生なのである。隣には公開されていない付き人? いや、子供の女の子がいる。
「なぁ? お前らしかいねぇのか?」
部屋につくなり開口一番喧嘩腰で声を上げたのは招来だった。
「俺は招来 蒋という、まぁ俺も高校生っていう学生の身分ではあるが……」
「発言を許可した覚えはないぞ? それに、尋ねる権利があるのは俺の方だと思うが?」
「お前さん、まさかとは思うが国王か? 王様ごっこをするつもりな……ん」
影身が若き王を前に、牽制を入れようとした矢先だった。目の前の王は影身を睨みつけていた。ただ、それだけなのに声が出なくなる。ソルジャーにも関わらずに、だ。
どんな状況下だろうが声を発する事ができるよう訓練をつんでいるにも関わらず、ジャージ姿の青年に一睨みで沈黙させられたのだ。
「あ、あの! 私たちは偶然ココに集いまして……突然の訪問、申し訳ありません」
眼鏡を深くかけなおすと、野村は謝罪のため頭を下げていた。この状況下で、ただ一人だけ王へ向けて声を発していた。
「ふむ……まぁ良い。トコロからある程度は事情を聴いているから通したんだしな。おい眼鏡、お前とそこの筋肉はそこで待機だ。威勢の良い招来、お前から話を聞いてやる」
そう言うと、守は個室へと招来を導いた。
冷静に振舞っているつもりな守だが、自分がこんな声を出せるのか、と密かに驚いていた程だ。
「よし、座れ」
「ああ……」
二人は向かい合い、座布団の上に座って見せた。たった一畳の畳の間。若い二人は向き合い真面目な表情を保ちながら数秒、にらめっこを続けたがやがて守が崩れた。
「アハハハハ、いやすまなかった。一応これでも王になったからな? あれくらい振舞えなきゃこの先やっていけねぇんだわ」
「……クハッ、すげぇ先輩が新王になったもんだ。心置きなく俺はお前さんに……いや、王に仕える決意が決まったわ」
「まぁ落ち着け野村、だっけか?」
「招来だ」
「そうだったな。すまない、俺は頭が良くなければ記憶力もよくない、ただひたすら出来る事だけを努力するしかない苦労人だよ。そんな俺に、ここに来た経緯を聞かせてくれ」
「わざと人の名前間違えといてよく言う。まぁ、説明は必要だよな」
招来はここへ導かれた経緯を語る。
中学にあがった頃から、この国の情勢が変だと気付きだしていた招来は独自で色々と調査をした。そんな彼が導き出した結果は、この国は後数年も持たない。下手をすると年内も国がモタナイノデハナイカ、という考察まで出していた。
そしてそんな中でついに旧国王が倒れ、新王へと時代は継がれたのだが……。
「正直、俺が国王になって立て直してやろうかと思ってたが、上には上がいるもんだな」
そんな野心を口軽に守に伝えると、ニヤリと笑みを浮かべて真実を伝える。
「よしてくれ、お前の方が間違いなく頭は良いだろう? で、だ。この国の真実を知りたいか?」
「……まぁ、元々そのつもりで来たからな」
「そうだったな。実はな」
守は一気に言い切る。
「残り一か月を切った」
はっ? と招来の顔色が陰る。
「まさか、そこまで進んでいたのか?」
「独自でそこまで調査してたのは凄いけど、想像以上だろ? この国は」
「……ああ、想像以上だ」
想像以上に、建て直し甲斐がある国じゃないか、ここは。あのピンク色の花火をきっかけに、行動した甲斐があったというものである。それに、これまた想像以上の大物が新王だったこともあり、招来は手を差し出していた。
「招来 蒋だ」
「高見 守だ」
「「宜しく」」
握手を交わすと、招来はそのまま他の二人が待機している部屋へと戻っていった。




