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境界線の上  作者: 神無 乃愛
外伝

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相性(?)の問題

 マルドゥラはひたすら、自分の()を信じて動く。あとは他の人間に言わせれば「獣的第六感」らしい。間一髪で緑のペイント弾をかわし、自分の弾は温存しておく。正直、射撃は苦手である。得意なものは奇襲。

 嫌になるような、動きの部隊だ。

 たん、たん。数発威嚇も込めて撃つ。それだけでも動きが違う。皆が必死で叩き込んでくれたおかげだ。

「しまった!」

 相変わらず見るのが苦手なレーダーのせいで、動きが少し遅れた。間一髪でかわしたものの、体制はなかなか整えられない。

 ここまで相性が悪い操縦者はそういない。ビルの可能性が出てきた。

「あぁぁぁぁぁ!! どうせならビル少佐は『青』にいて欲しかったわ!」

 まだアーロンのほうが相手をしやすい。

『へぇ。アレに乗ってるのが、ビル少佐か』

 R-38が戻ってきたようだった。

『おそらくだけどね!』

 こんな時に話しかけないで欲しい。

『ドゥラさん、しばらく囮やってもらえない? もっと多く“緑”減らしたいからさ』

了解(ラジャー)!!』

 撃つことは捨てる。ただ、相手の隙間を縫うように動くのみ。

 (ライフル)はR-38へ預け、「緑」の銃を奪う。そして威嚇ひたすら動いた。

 流石はビル。こちらの動きには乗ってこない。おそらくまだ「切り札」があるのだろう。ただ、それが分からない一部の機体が、マルドゥラの陽動に乗せられていく。

『せめてあと一機!!』

 その瞬間、ビルが乗っているであろう機体が吹き飛ばされた。



「う~~ん。ありゃ、ビルだね。『赤』にマルドゥラ……厄介な二人だなぁ」

 ダレルは相手の動きをみて、思わずひとりごちた。「黒」の本部隊には「青」と「黄」を自滅……とまではいかなくても、ある程度機体を倒してもらえればいい。こちらは、少数精鋭で「赤」と「緑」を倒すと決めたのだ。

 問題は、どうやってあの二人の背後を取るかだ。

 勿論、そういった作戦にダレルは関わらないと決めた。だから、シェムがどう指示するかが楽しみである。

 出来ることなら、ビルとマルドゥラで潰しあって欲しいと思ってしまう。

「まぁ、無理だろうね」

 今までダレルが立てた無茶苦茶な作戦をいい意味で成功させてきた側近たちである。こちらの意図もいち早く読まれるだろう。

『なっ? 何だ!?』

 ズダダダダ、という銃声音と共に、悲鳴が聞こえてきた。攻めてきたのは「黄」。そして指揮は……おそらくアーロンだ。

「こっちもか!!」

 潰しあう指揮に嫌気がさして、数機を従え、突進してきたようだ。……アーロンらしいとしかいえない。あの特化型巨体(コア)を自由自在に動かす三人がばらけてくれて、本当に助かったと思った。

――お命いただきますよ? ダレル准将――

 そんな言葉が聞こえてきそうな突撃だった。


「ったく、老兵に無茶させやがって」

『誰が“老兵”なんだ? ダーク』

 どうやら、独り言がシェムに拾われたようだった。

『あんた、やっぱり指揮経験豊富だろ? 何でしないんだ?』

 指示を出しながら、シェムがダレルに訊ねてきた。

『人材発掘、とだけ言わせてもらおうかな? あとはストレス発散だよ』

『……そうかい。なら、遠慮はしない。“黄”は何とかするから、あんた単機がけで“緑”の厄介なやつ倒してもらえないかな。そのあと出来れば“赤”でふわふわ動いているやつも倒して欲しいんだが』

『どちらか、だね。特に“緑”狙った後で、“赤”を狙うのは難しい。どちらがやりやすい、と言われれば私は“緑”と答えるが』

『じゃあ、“緑”潰してくれ。そのあと“赤”はじっくり倒す』

『了解』

 上手い使い方だが、単機に頼るのはいただけないな、とダレルは思いながら動いた。


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