勝敗の行方
面白いことに、シェムはダレルに数機つけてくれた。自分でも協力者を探し、多くを指示できる機体を増やしたらしい。
『ダーク、君が指示して……』
『私はただ撃ちたいだけだと言っただろう? 指示できる人物を探すのも君の役目だ』
『わぁったよ! さっきまでならともかく今は無理だ。知り合い一人見っけたから、そいつに頼む!』
その言葉のあと、すぐに一機近くに来た。
『ダークさん……だっけ? あんたがあの厄介な“緑”を倒してくれんだろ? それ以外俺に従うってことだよね?』
『勿論、そのつもりだ。あなたの指示に従うさ』
『ほう? じゃ、行くぜ』
ダレルはこの声に聞き覚えがあった。孤児院からの同期だったはずだ。
『あんたの腕は俺だってよく知ってるさ。あんただって俺の腕は知ってるだろ? だから遠慮なく行くよ』
ひたすら撃ちながら進んでいく。己は目立たぬよう、相手に手柄を譲るように動く。
流石は年の功というべきか、あっという間にビルの死角を取れた。ここであわよくばマルドゥラも仕留める、その話は同期の男にしてある。
たん!
二つの銃声が同時に響き、ビルの機体は飛んだ。そして、「GAME OVER」の文字が出ているだろう。
「ミッション終了……だね」
ビルの機体が吹き飛んだ瞬間、マルドゥラはさっさと戦線離脱していた。そして新たにいるのは、アーロン機である。
『“赤”倒せなかったぞ』
『あの子、逃げ足は速いからね』
『お前の部下か!』
『だから最初からシェムに“赤”は無理だと言ってある』
既にこちらをどう潰すか、虎視眈々と狙っているだろう。
『戦線離脱する! “緑”へのミッション終了! “赤”は“黄”に任せる』
同期の言葉に、ダレルは任せるというより、放置が正しいだろうと思った。アーロンは既にダレル機を倒すよりも、マルドゥラ機を倒すことに興味が移ったようだ。この移り気な所を直さないと指揮官にはなれないと、あとで忠告しておくしかない。
「個性が出て楽しいねぇ」
やはりこのロワイヤル方式はたまらない。
外で見るのもいいが、中で動きを見るのがまた楽しい。今頃、イーユンは悔しがっているだろう。孤児院の再編に熱意を燃やした代わりに、「飛ぶ」楽しみを自分から失ったのだ。
仮想空間やテストパイロットとして飛ぶのもいいが、やはり演習で飛ぶのは別格だ。
それ以上に、戦場で飛ぶのは高揚感があって何とも言えない。自分は「命」をかけてこの場にいるのだと、それだけで十分すぎた。
やはり、上官になどなるものではない。以前であれば自分も乗って指揮が出来た。最悪、自分も飛ぶことで仲間を守った。
今は、違う。ただ机の上にある書類を片付ける日々。
時々、仮想空間で乗るだけだ。何とつまらないものか。デールのように時々でいい、身体を動かせたら違っただろう。
そういう意味では己も部下たちが羨ましいと思ってしまう。
『陣営に戻るぞ、“ダーク”。どうやら、あの阿呆が倒されたらしい。シェムが“黒”の指揮官になる』
『そうか。では、指示に従うか。“ツヴァイ”』
異国語で「白」の意味がある二つ名持ちの同期に従った。




