思うところ
ダレルが乗った機体の色は「黒」だった。通信は最初の一分の間、同色の巨体で出来る。そのあとは近くの同色同士でしか通信が出来ない。その間に指揮官を決め、意志を汲んで動く、それがミッションのようなものだ。
そして、「黒」以外に四人がいる。どの機体に乗っているか分からない。
『私はミラン。階級は中佐』
何人か名乗ったところで、出てきた男。そして自分の指揮下に入れとのたまった。
ダレルが記憶している限り、このミランはあの狸の腰巾着だった男だ。老害ともいえた前任の特殊部隊の責任者。ミランに関しての記憶はあまり無い。
面白い。
どうせだ。指揮下に入ってみようか。ダレルは名乗ることなく、従った。
ミランとの通信はあっという間に途切れた。残りは、ミランの意思をどこまで汲めるかという、ダレルの試練になる。
他の色の巨体を丁寧に倒していく。
近くに「黒」の巨体が来た。通信圏内だ。
『凄い腕だな。……あんたさっき自己紹介して無いだろ? 俺は、シェム』
『私はダ……いやダーク』
ここでダレルと名乗るのは不味いだろう。
『へぇ。一撃必殺か。すげぇな。無駄な弾が無いよ。見ろよ。ミラン中佐の指示に従っている馬鹿共、弾使い切りそうだぜ』
『どうせだ、シェム。君が指揮を執ってみないか?』
『俺?』
『そう、君だ。数機私が集めてくる。そうでもしないと黒が負ける』
『……俺、指揮なんてできねぇぞ?』
『大丈夫だ。最悪私責任取るから』
『あっそ……。自信家じゃんか。あんたが執んなよ』
『いや、私は君の指揮に従いたいんだ』
見極めてみたい。この男の能力を。ミランのところにいる連中の弾の残りに気がついたこの男を。
『一分で戻る。それまで生き残っていてくれ』
了承する前にダレルはシェムの傍から離れた。
本当に数人見繕ってシェムのところに戻る。そして、シェムがあっという間に編成を組んだ。
予想以上の人材かもしれない、ダレルはそう思った。




