命の契約(前)
あと数話でこの章が終わりますが、・・・・・章の管理の仕方忘れました。
フィニティスが食後のお茶を楽しんでいると、いつの間にかそばに移動してきたフェスニストにどこか真剣な面持ちで、父親の書斎へと促された。
――コンコンッ
「どうぞ。」
父親の了承受け、兄と一緒に入るとそこには、父に始まり、母、叔父、その息子が真剣な様子で集っていた。
首を掲げて入ってきた自分の子供に微笑みながら、自分の傍に来るよう促す。
「フィニティス、これから大事な話があるんだよ。その前に久しぶりに会った、叔父様達に挨拶しなさい。」
「はい、とうしゃま。おじしゃま、めーにいしゃま、おひしゃしぶりです。ごあいさつがおそくなりもうしわけありましぇん。」
スカートの両端を持ち、少し腰を落として、ちょこんと挨拶するフィニティスに微笑みながら二人は挨拶を返す。
「フィニティス、これから大事な話があるんだけど、きちんと聞けるかな?」
「はい、おじしゃま。」
フィニティスの髪を撫でながら、机の横にあるソファーに全員腰掛けるように促す。
「なぜ、お前が取り仕切るんだ。」
「まあ、堅いこと言うなよ。」
愚痴るように呟いたオズワイドに、ディレイスはいつものへらへら笑いで返す。
その発言にイラッときたオズワイドだが、この場が和んだのも事実なので我慢する、狙ってのことであることは明白だ。
「フィニティス、これから俺とメーフィスはフィニティスと仲良くなる約束をしたいんだ。」
「やくそく?」
目線を合わせ、覗き込むように聞いてくる叔父に不思議そうにフィニティスは聞き返す。
「そうだ、もう仲良しだけど、もっともっと仲良しになろうっていう約束だ。それを竜玉に誓うんだ。」
「フィーちゃん私と、もっと仲良しになりましょう。」
畳み掛けてくるような二人に苛立ちを感じる。
たしかに外見から見ればただの3歳児で難しい話は理解できないだろうと思われても当たり前だ。
だが、フィニティスは前世の記憶がある転生者、ことの重大さも理解できる。
竜玉への誓いは双方が了承しなければ成り立たない、だが、了承さえさせてしまえば3歳児でもできるのだ。
だがそれは、簡単な了承でも良いのは主側である場合のみである。
だからと言って色んな説明を省きすぎだ、幼い自分に苛立ちさえ感じる。
「・・・うそつき、ふたりともうそつきっ!」
瞳に涙を溜めながら、言葉をぶつけられた二人は動揺する。
だが、二人はまさか誓いの意味を理解しているとは思わず、さらにフィニティスを怒らせる。
「嘘はついてないよ。」
「そうですよ。なんで私達がフィーちゃんに嘘なんかつくんですか。」
「・・・・・うそはついてないかもしれないけど、ほんとうのこともはなしてなせんっ!!」
そう言って二人を振り切ったフィニティスは、母の膝に慰めを求めるように甘える。
もちろんこの中で一番強いのが母であることを見ぬいてのことである。