第1回目 その2
●ロロサエ:
異世界が超巨大モンスターの出現によって崩壊の危機に瀕し、転移魔法によって地球へと避難してきます。各民族が協力し、個人では成しえない規模での転移魔法です。
それか、巨大モンスターを封印する術が暴走し、術者が地球に飛ばされる。
▲AI:
どちらも成立しますが、物語の性格がかなり変わります。
私なら、「封印術が暴走して術者たちが地球へ飛ばされる」より、「各民族が協力して大規模避難を実行する」方を本筋にしたいです。理由は、せっかくの「異世界人が集団で現代地球へ来る」という発想を最大限に活かせるからです。
大規模避難型だと、異世界側に最初からドラマがあります。普段は敵対している人間、エルフ、獣人、ドワーフなどが、超巨大モンスターを前にして一時休戦し、「世界そのものを捨てる」という決断をする。
しかも転移魔法は一人の英雄ではなく、各種族の魔術体系を組み合わせなければ成立しない。
例えば、
「エルフが空間座標を固定する」
「ドワーフが巨大魔法陣を構築する」
「人間の魔術師が魔力を統御する」
「竜人族が膨大な魔力源を提供する」
というように、一つでも欠けると転移できない仕組みにできます。
そして転移の対象も面白いです。人だけではなく、都市の一部、家畜、種子、書物、武器、王族まで何を持っていくかで揉めるでしょう。
「全員は救えない」
となれば、一気に重くなります。
一方、封印術暴走型には別の強みがあります。こちらは導入が非常に速い。
異世界では、
「これを封印できなければ世界が終わる!」
と各種族の英雄たちが集まり、大魔法を発動する。
しかし失敗。
次の瞬間、東京のど真ん中に、
「魔王討伐隊みたいな連中が数百人まとめて落ちてくる」。
本人たちは、
「封印は成功したのか?」
「ここは死後の世界か?」
となる。
こちらは異世界崩壊そのものを最初から詳しく描かなくてもよく、早く現代地球との衝突に入れます。
ただし、これだと「集団避難」というより英雄集団の異世界転移に近くなります。
そこで、両方を組み合わせる案が一番面白いかもしれません。
本来は超巨大モンスターを封印するための術だった。
ところが各種族が全力で魔力を注ぎ込んだ結果、封印術が予想外の挙動を起こす。
モンスターを封印するのではなく、
「モンスターから世界を隔離する」
方向に術が働いてしまう。
その結果、異世界の一部――都市、人々、森、城、農地などが巨大な範囲で切り取られ、現代地球へ転移する。
術者たちは愕然とします。
「我々は奴を封じたのではない」
「……我々の方が逃げたのだ」
これなら、
超巨大モンスター
→ 各民族の共同作戦
→ 史上最大級の魔法
→ 暴走
→ 異世界人の集団転移
と一本につながります。
しかも重要なのは、モンスターを倒していないことです。
つまり異世界はまだ存在しているかもしれないし、巨大モンスターも向こうに残っている。
そうなると後半で、
「故郷へ帰るのか」
という巨大なテーマを使えます。
地球で新しい生活を築いた者は帰りたくない。一方で故郷に家族を残した者は帰りたい。
ここまで来ると、単なる「異世界人が現代でカルチャーショックを受ける話」ではなく、かなり大きな物語になります。
そして私は、この作品ではモンスターそのものより、転移後の異世界人たちの扱いの方が主役になりそうな気がします。世界を救う物語ではなく、世界を失った人々が、別の世界でどう生きるかという話です。
●ロロサエ:
言葉も通じない所属不明の集団が突然現れたら、それぞれの国家はどのような対応をすると思いますか? 出現するのは一か所か、それともバラバラか、どこに現れるかでも問題となりそうです。
▲AI:
はい。ここは作品の方向性を決めるかなり重要な部分です。
現実的には、最初から「難民」として扱われるとは限らないと思います。言葉が通じず、国籍不明、武装している者もいて、しかも数百〜数万人規模なら、国家側から見れば最初は「正体不明の大規模集団」です。
最初の数時間は、おそらく、
「何者だ?」→「攻撃意思はあるか?」→「病気は?」→「意思疎通できるか?」→「どこから来た?」
という流れになるでしょう。
武装した騎士が何百人もいれば、当然武器を置くよう要求される。しかし異世界人には日本語が分からない。
警察官が、
「武器を捨てろ!」
と拡声器で叫ぶ。
向こうでは、
「何を言っている?」
「兵士らしい。武器を構えているぞ」
となる。
かなり危険な瞬間です。
さらに魔法があると、国家側の警戒レベルは一気に上がります。
そして、おっしゃる通り、どこに出現するかは非常に重要です。
一か所集中型なら、例えば日本の山間部に異世界人5万人がまとめて出現する。
世界各地への分散型なら、
日本――エルフ3000人
アメリカ――人間王国2万人
ドイツ――ドワーフ5000人
インド――獣人1万人
ロシア――魔族4000人
といった形も考えられます。
すると受け入れ国によって待遇が全然違うという話ができます。
さらに、一地域そのものが転移する型なら、
「食料をどうする?」
「土地の所有権は?」
「この地域はどこの国になる?」
「異世界の王は、地球でも王なのか?」
という問題まで出てきます。
私はこの作品なら、一か所より世界各地への分散型の方が面白いと思います。
この設定の強みは単なる異文化交流ではなく、
「現代国家は、本物の異世界人をどう扱うのか」
だからです。
●ロロサエ:
仮に異世界人と人類が平和的な遭遇を果たしたとするなら、次に問題となりそうなのはどこの国がどの集団を受け入れるのかとなりそうです。国連で話し合うでしょうが、人権的にG7。しかし中国、ロシアが常任理事国の権限で強引に引き取りそうです。どの種族がいるのかでも違ってきそうです。
▲AI:
はい。ただ、現実の制度に寄せるなら少し補正した方が自然です。
まず、国連が「この種族は日本、この種族は中国」と割り振る権限を持つわけではありません。
中国やロシアが常任理事国だから「自国に引き取る権利」を行使する、という形にもなりにくいです。
ただし、拒否権を外交カードとして利用するのは十分ありそうです。
例えば国連で、
「異世界人を暫定的に国連管理下に置く」
「各国による単独接触を禁止する」
「魔法技術の軍事利用を禁止する」
といった決議案が出る。
そこで中国が、
「我が国にも一定数を受け入れる権利が認められなければ賛成しない」
ロシアも、
「魔術師集団への接触を制限する条項には同意できない」
などと要求する。
つまり、拒否権そのものによる強制取得ではなく、拒否権を背景にした政治取引ですね。
そして、おっしゃる通り種族によって争奪戦の激しさが全く違うと思います。
例えば――
人間族:言語・歴史・魔法体系
エルフ:長寿、医学、植物、魔法
ドワーフ:金属加工、工学、魔道具
獣人:身体能力、生物学
竜人:魔力、身体能力、軍事的価値
妖精族:魔法そのものの研究
治癒術師:医療革命につながる可能性
魔術師:エネルギー・軍事・科学研究
一般農民:人道支援中心
ここで、ものすごく嫌な現実が出てきます。
国際社会は表向き、
「すべての異世界人を平等に保護する」
と言う。
ところが各国政府の本音は、
「大魔術師50人なら受け入れたい」
「ドワーフの鍛冶師は?」
「エルフの薬師なら500人でもいい」
「一般農民2万人?」
「……それは他国にお願いできないか」
となる。
これは作品としてかなり強烈です。
しかも異世界人側がそれを知ったら当然怒ります。
「我々は奴隷市場の商品ではない」
となります。
単純に「G7対中露」にしてしまうよりも、
最初は人道問題だったものが、異世界人の持つ能力が明らかになるにつれて、各国による人材・技術争奪戦へ変質していく流れがかなり面白いと思います。
●ロロサエ:
そこで提案です。日本は獣人の受け入れを打診します。獣人は身体能力に優れるものの、今回の転移魔法ではほとんど役に立っておらず、異世界人の中でも隅に追いやられています。日本はそんな彼らを助けます。
▲AI:
いいと思います。しかも単なる「日本が優しい国だから受け入れる」ではなく、国際政治上は価値が低いと見なされた集団を、日本があえて引き取る構図にするとかなり強いです。
獣人は身体能力には優れている。しかし、大規模転移に必要だったのは空間魔術、魔力制御、魔法陣構築、古代語解析などで、そこではほとんど貢献できなかった。
そのため避難後も「最後に枠が余ったら救う者たち」のような扱いを受けている。
しかも地球側でも、各国は魔術師、治癒術師、ドワーフの技師、エルフの学者などを欲しがる。
獣人は研究価値こそあるものの、「国家戦略上の優先順位」は低い。
そこで日本が、
「ならば、その獣人たちを我が国で受け入れたい」
と申し出る。
これはかなり印象的な場面になります。
ただ、日本側にも善意だけではない理由を持たせた方が面白いと思います。
人道上助けたい。
しかし同時に、日本にも利益がある。
その方が日本を美化しすぎません。
さらに面白いのは、獣人側が最初は日本を信用しないことだと思います。
彼らは異世界でもずっと、
「力仕事をする者」
「戦争になれば前線に出される者」
「魔法を使えない劣等種」
のような扱いを受けてきた。
そこへ突然、日本人が、
「あなたたち全員を受け入れたい」
と言ってくる。
獣人側からすれば、
「なぜだ?」
「兵士にするつもりではないのか?」
「奴隷として使うのではないか?」
となるでしょう。
ここで日本側が、
「戦士だけではない。老人も子供も、家族ごとです」
と言えば、大きな意味を持ちます。
●ロロサエ:
日本が助けるのは猫耳だからです。彼らは生まれながらのアイドルだった! 半分は冗談です。
▲AI:
半分どころか、その冗談はかなり使えます(笑)。
むしろ日本側の受け入れ理由を、表向きは人道、政府内部は現実的判断、世論は「猫耳かわいい」の三層に分けると、とても日本らしい妙な説得力が出ます。
政府は真面目に、
「他国が受け入れに消極的な獣人を、人道的観点から日本が保護する」
と発表する。
ところがネットでは、
「猫耳!?」
「日本始まった」
「税金使っていいぞ」
「今までで一番支持できる政策」
みたいな反応が爆発する。
しかも獣人側には何のことか分からない。
「なぜこの国の人間は、我々の耳を見ると微笑むのだ?」
「警戒されているのではないのか?」
「いや……子供に手を振られた」
という状況になる。
ここで面白いのは、日本だけ獣人への心理的ハードルが異様に低いことです。
猫耳、犬耳、尻尾という外見が、地球側では未知の異種族なのに、日本人の一部にとっては、
「見たことはないけど、ものすごく見慣れている」
という奇妙な存在になる。
ただ、これを単なるギャグで終わらせず、
「見た目が好ましいから受け入れられた」
という少し危うい面も残せます。
この作品、シリアスな国際政治をやりながら、ときどきこういう猛烈にくだらない理由が歴史を動かす方が面白いと思います。




