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農村に伝わるおとぎ話『悪い男と炎えずのソルト』。

 むかし、むかしの遠いむかし。


 まだ動物や魔物や神様と、お話ができた時があったらしい。


 人は怒りや憎しみを持たず、慎ましくくらしていて、それはそれは平和な世の中だった。



 けれども、いつからか人と動物は挨拶ができなくなり、魔物や神様はどこか知らない場所へいなくなってしまった。


 それは一人の背の高い悪い男の仕業で、世界中から幸福を盗んで、自分一人が楽しい世界を作るためだったそうだ。


 

 人は動物や神様、そして魔物とまでも手を結び、その悪い男を倒すために『魔の貧しき戦友たち』を創り、戦ったのだ。


 『魔の貧しき戦友たち』は初代炎(も)えずのソルトを始まりとし、様々な家が生まれた。


 彼らは命を賭して戦い、そして破れてしまった。



 だが、恐れることはない。


 彼らは言葉が通じ合わなくとも、心で通い合っている。


 動物と息を合わせ、神様の言葉を聴き、地下深くの魔物を呼び起こしては、今もなお戦い続けてくれている。


 私たちか弱き民の、平和と安全と健やかな一生を守ってくれている。


 だから、私たちは彼ら『魔の貧しき戦友たち』を見かけたら、そっと手を貸してあげるといい。


 お水や食べ物を木陰に隠し置いておけばいい。


 それだけで、彼らは百倍の力で戦ってくれる。


 そしていつの日か強大な悪の男に打ち勝ち、真の平和をもたらしてくれるから。

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