表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョン協奏曲  作者: 入栖
ついにダンジョンバトルか、こなたが蹴散らしてくれよう! またせたね、セラフィ。好きなだけ暴れていいよ。 
PR
23/26

ダンジョンバトルの終わり

 僕が意気揚々とダンジョンを歩くセラフィの姿をみていると、彼は激昂し文句を言ってきた。


「てめぇ、どこがGクラスダンジョンだよ!? 騙しやがって、こんなヤツAクラスダンジョンにだっていやしねぇぞ」


 そう言うのはダンジョンマスターの……えーと、名前はなんだったかな? まぁいいか。どうせもうすぐ潰れてしまうダンジョンなんだから。

「セラフィの事かな? いや彼女は素晴らしいよね。あの美しい髪に――」

「見た目の話をしてるんじゃねぇ、あの強さだよ。おかしいだろ。あんなんSクラスのラスボスクラスだぞ!」


 そうかな? 僕の見立てではトリプルSクラスだと思うけどね。


「まぁまぁ落ち着いてよ。それで僕の勝ちだけどこの後どうする? 食事会でもするかい?」

「んなもんするわけねぇだろ馬鹿か!」


 そう言って彼は目の前の机をひっくり返す。僕とエヴァエルは飛んでくるカップやら食器やらをしっかりキャッチして、中に入っていた紅茶を飲み込む。


「俺を……騙しやがって! てめぇ、どう考えてもGクラスじゃねぇだろ」

「何を言ってるんだい? 全然騙していないじゃないか。そもそもギルドランクを表示させているのは、ダンジョンコアだよ? 僕が設定できるわけじゃないんだから」


 ダンジョンコアは条件を満たすだけで勝手にランクを上げてくれる。僕のダンジョンがまだGランクなのはまだ条件を満たしていないからだ。


「君は知っているかい? ダンジョンランクがGクラスからFクラスに上がる条件があるんだよ。実はGクラスにはどんなにダンジョンが広くても、モンスターが多くても、ボスが強くてもある条件を満たさないと上に上がれないんだ」


「そんなの知るわけねぇだろ! 俺は気がついていたらFクラスになっていたぞ」


「そうか、教えてあげよう。実はねモンスター数やモンスターの能力は、Fに上がるためにはそれほど重要ではないんだよ。では、一番重要なのはと言うと? 来場者数さ。それが5人以上。僕のダンジョンはまだそんなに人が来てないんだよ、ははっ」


 来場者数はまだ2人、それもダンジョンマスターであるルベル達だけだ。既にダンジョンを作って2週間以上たつのにね、笑っちゃうよ。

「て、てめぇぇえ! ならわざとランクをあげないで、俺を油断させる作戦か!?」

「いやぁ、それがたまたまなんですよ」


 冗談抜きでたまたまだ。雨宿りに何人か来るかとも思っていたけれど、一人も来なかったからね。立地の悪さは他のダンジョンの追随を許さないかもしれない。所属している国は最高なんだけど。


「それに情報操作を僕がしたとしても文句を言う筋合いは貴方にないですよ。貴方も言っていたではありませんか。ダンジョンバトルは対戦が始まる前から既に始まっていると。僕が最初から最後までずっと勝っていただけですよ」


 僕は立ち上がるとその男をじっと睨みつける。

「それと一つだけ言っておきたい事があるんだけどね。君はセラフィの価値をDPごときで例えようとしたよね? 馬鹿をぬかすな。僕にとってはDPやお金にかえることの出来ない、一番大切な契約者だよ。そんなはした金で誰が渡すと思っているんだい、寝言は寝て言え。そんなに欲しければ命を差しだしてよ。もっとも、命を差し出されても釣り合いが取れないから、君の死に損だけどね」


「ふ、ふふふはーははっは!」


 急に彼は笑いだしたかと思うと、アイテムボックスからミスリルで出来た剣を取り出す。そして俺に向かって一歩踏み出すと、勢いよく振り下ろす。僕はそれを避けることすらしなかった。エヴァエルも僕が攻撃されていると言うのに無関心だ。


 ガキン、と何かに弾かれる音がする。

「ははっその程度じゃ、僕に傷つけることさえできないよ? レベルを上げておくんだったね」


「な、なんだと!? あ、ありえない! ……クソ、クソクソクソ!」


 そう言って彼はがむしゃらに剣を振りまわす。だけど僕に届く前に、魔法で出来た壁に阻まれ、僕には攻撃が届かない。攻撃を当てたいなら最低でも剣スキルを900以上でLVを700は上げてくれないと。


 彼は振っても振っても俺に攻撃が届くことは無く、その場に崩れ落ちる。

「良かったな……俺の3万DPはお前の物だ。くそったれ!」

「ああ、そう言えば3万DPもらえるのだっけ、忘れてたよ」


 そう言えば賭け金は3万DPだったか。まぁソレはおまけ程度にしか考えてなかったから、どうでも良かったんだけどね。


「なんだとぉ!? てめぇ、まさか俺をつぶす為だけにこのバトルをしかけたとでも言うのか!?」

「はぁ? 何言ってるんだい。君をつぶす為だけに? そんなわけないだろう、自意識過剰も大概にしてくれないかな?」


 まぁ初めは潰す気は無かった。初めは、ね。今は潰したくて仕方がないんだよ。だから失礼だけどセラフィを賭けさせてもらった。まぁこいつにこの事を話すつもりは無いけど。


「はぁ、じゃぁ何のためだって言うんだよ!?」

「もちろんDPの為さ、3万なんてはした金じゃなくてもっと大きなDPさ」

「? 何を言ってるんだてめぇ……?」

「君だってよくやっているだろう? ダンジョン賭博さ」

「だ、ダンジョン賭博だとっ!?」


 ダンジョン賭博とは、ダンジョンバトルを利用した賭けごとである。ダンジョンマスター達はダンジョンバトルでどちらが勝つか賭け、その予想が当たればDPがもらえ、外れればDPが失われる。それだけのものだ。一応ダンジョンバトルは非公開にも出来るため、ダンジョン賭博がないこともある。まぁ基本公開ではあるけど。


「君も知ってるだろうけど、今回のダンジョンバトルの倍率は1、1倍対9倍。無論僕の方が9倍さ」


「ま、まさか。お前、自分に賭けたのか?」

「知り合いのダンジョンからDPを借りつつ50万DP賭けてもらったさ。ということで勝ったのは450万DPだね。それからしたら……はは、3万DPか、1パーセントにも満たないね!」


 ちなみに借りたDPは成功時2倍返し。でも失敗時は0倍返しであるのに、よくみんな貸してくれたものだ。まぁ必ず勝てると思っていたけどね。それで100万DPは皆に返すと考えても、350万DPがのこる。


 またこの賭けシステムを利用して八百長なんかをすると、バレた時にA&A商会を初めとしたダンジョン関連商会が最高神様に告げ口し、ダンジョンコア凍結なんて事が起こる。それにいろんな商会からの信用は落ちるし、やらない方が賢明だろうね。


「は、はは。はした金か…………畜生チクショウちくしょう。ぶっ殺してやる!」


 彼はアーツを発動させ僕に向かって剣を振り下ろす。

「ああ、そうだ。ダンジョンバトルでは対象者以外の攻撃は禁止になってるのだけれど、一つ例外が有るんだよ。僕はその例外に当てはまるから反撃させてもらうよ?」


 僕は迫りくるその白銀の剣を素手でたたき折る。そして驚いているダンジョンマスターの腹を蹴飛ばした。


「正当防衛だ」


 そのダンジョンマスターは壁にたたきつけられ、ぴくりとも動かなくなった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ