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ダンジョン協奏曲  作者: 入栖
ついにダンジョンバトルか、こなたが蹴散らしてくれよう! またせたね、セラフィ。好きなだけ暴れていいよ。 
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第四階層 - 鋼鉄の壁 - その体、斬ること叶わず。たたき割ること叶わず。体中の骨を粉々にされ絶望とともに息絶える。

 第四階層のイメージは神殿だ。石造りのそこには、様々な形の天使像が立ち並ぶ。

「ほぅ、なかなか良い作りじゃのう……うぬ?」


 彼女が一つの像に触れると、仕掛けていたモノが発動する。それは中央にある巨大な像を中心に描かれている、巨大な魔法陣だ。

 そしてその魔法陣によって、中心の像はゆっくりと動きだす。


― 第四階層 ボス ― アイアンゴーレム


 正直な話、此処の突破は楽勝だろうと俺は考えている。俺がここでアイアンゴーレムに求めることは、セラフィを疲れさせることだ。


 アイアンゴーレムと言えばその強固な体が有名だ。なまくらの剣なぞ簡単に弾き、弱い魔法でさえ意にも返さない。それはまさに鉄壁。


 防御と言えば戦いの基本でありながら、とても重要なものだ。アイアンゴーレムはそれに特に特化したモンスターである。逆に言えばそれ以外にアイアンゴーレムには大きな特徴は無い。だけどその防御力が圧倒的すぎてアイアンゴーレムは強かった。


(だがそれは一般冒険者に対してだけだ)

 もうすでにセラフィの異常性に俺は気がついた。これまでの階層を見てきて思ったが、セラフィの腕力にアイアンゴーレムは耐えられない。

(認めざるを得ない。この小娘が強いことを)


 ジャイアントキラービーを一撃で倒し、一撃で数十のアンデットを意にも返さず、指一本でグレイトロルの棍棒を受け止めるのだ。いくら硬いアイアンゴーレムだからと言ってその攻撃を受けるには無理がある。


 アイアンゴーレムはゆっくりと歩みを進める。アイアンゴーレムの弱点と言えばその遅さだ。力、防御が強い代わりに素早さが犠牲になっている。一般的な冒険者であれば、攻撃がほとんど通じないため疲労した所に攻撃され、倒れてしまうものだが……セラフィには関係ないだろう。


 こいつが疲れる所が想像できない。そもそもアイアンゴーレムの体を軽く粉砕してさえしまいそうだ。この遅いアイアンゴーレムではただの的だろう。

 セラフィはアイアンゴーレムに向かって歩みを進める。アイアンゴーレムはゆっくり腕をふりかぶる。そしてセラフィに向かって振り下ろした。


 まるで落石でもあったかのような音が、神殿の中を響かせる。もちろんセラフィは無傷だ。それも手をピクリとも動かしていない。

 あろうことか彼女は顔で直接受け止めていた。はっきり言ってその見た目はシュールだ。170もない女に3メートルを超すゴーレムの拳が顔に当たっている。だけど、彼女はその場に立ったまま、微動だにしない。


 ははは、と優男の笑い声が響く。奴にとっては面白いのかもしれないが俺にとってはそうではない。

(やっぱりか。規格外すぎんだろ……クソがよぉ)


 勝てるのはもう第五階層にしか居ないだろう。

 アイアンゴーレムはもう一度拳を振りかぶると、彼女に向かって突き出す。通じないと分かっても。何度も、何度も。

「弱すぎて話しにならんのう……」


 彼女はそう言って拳でゴーレムの腕を払う。それだけでゴーレムの片腕は吹き飛び、近くの柱に直撃した。そしてガラガラと柱が崩れていく。

(もう駄目だな)


 セラフィはゴーレムの腹に蹴りを入れる。するとそこを中心にゴーレムが二つ折りになった。顔と股間がくっつき、そのまま微動だにしない。

 それからすぐに次の階層の扉は開いた。予想通り第四階層では彼女を止められなかった。


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