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クロスオーバー  作者: 連鎖
リリアンとクロ(正義の味方)
6/89

管理人①

 独特な形とカラーリングがされた車に乗った理々杏が、

 自分の住んでいるアパートに戻って来た。


 二人は、その車から降りると、

 一階にある「鈴木一徹」と表札がかかった部屋の呼び鈴を鳴らしていた。


「ピンポーン。。すみません。鈴木さん。鈴木一徹さん。ご在宅ですか?」

「ガチャ。。いまいくぞぉ。おぉぉぉう。理々杏かぁ。。理々杏やぁあ。」


 人の良さそうな顔に、本当に孫が何人でも出来そうな力強い生命力と、

 理々杏を見る顔も、可愛い孫を見ているような柔和な顔をしていた。


「すみません。身分証明書を見せてもらってもいいですか?」

「ほら、これだ。いいかな?」

「すずき。。ハイ。ありがとうございました。」


 いつもの制服を着て、礼儀正しい受け答えが出来る男は、

 鈴木から差し出された書類を確認し、問題が無い事を確認していた。


「理々杏さん。本当にこの人でいいのかい?」

「ハイ。おじいちゃんです。」「もう、迷子になったら。。」


 もちろん連れてきた男も、彼女との名前が違う事には気になっているが、

 渡されたのが公式の書類だったし、表札ともあっていたので、

 彼に理々杏を引き渡していた。


「ぐいぃ。。ぎゅぎゅぅぅぅ。。理々杏。理々杏。。寂しかったぁ。」


 男から引き渡されて、少し戸惑った顔をしていた理々杏を、

 鈴木はとても嬉しそうに、とても愛おしそうに強く抱きしめていた。


「ハァ。。虐待とかは無さそうデスネ。じゃあ、理々杏さんもいいかな?」

「あっ。。はあぁあん。。はい、ありがとう。うぅう。。ございました。」


(クロ?これって普通の事?普通なの?)

(ちょっと。。。うぅうん。ちょおっぉと。。でも、普通だよ。)


 胸が膨らんではいないとはいえ、身体を強く抱きしめられてしまうと、

 どうしても色々な所から、イケナイ信号が出てきて、

 夜中に一人でさわってしまう場所から、ダメな気持ちが膨らんでいた。


「ぎゅう。りりあぁあん。ちゅちゅっちゅぅう。

 可愛いい、りりやぁ。可愛い。可愛いリリィいいいい。ぎゅぅぅ。」


 普通に生活していれば、連絡など来ない場所から電話が入り、

 可愛い姫の事だと解って気持ちが盛り上がってしまい、

 この行為自体も仕方がない事もあると思うが、

 他人の視線がある中で全身を強く抱きしめ、

 鈴木が理々杏の顔にキスの嵐を降らせていた。


「肉親へ言うことでも無いのですが、

 お年頃の女性への激しいスキンシップは、嫌われてしまいますよ。」

「ぐい。。理々杏?」

「あはは。ちょっと、ちょっとヤメテ欲しいなぁ。アハハ。ちょっとね。」


 人の目もあるので肉親という事にしているが、

 理々杏にとっては、少し知っているエッチなおじいちゃんの鈴木に、

 顔中を舐め回されるのも、全身を強く抱きしめられるのも、

 素直に気持ち悪く、嫌悪感を持っていればいいのだが、

 何度考えてみても、嫌だと感じない事に一番困っていた。


 嫌いなものに向ける拒否感と言えない、不思議な感情を感じてしまい、

 いろいろな気持ちが混ざりあって、

 ただ他人に見られて、恥ずかしいという気持ちが強く出て笑っていた。


「じゃあ、理々杏さん。都会に出てきて楽しいのは分かりますが、

 ご心配をかけないように注意してくださいね。」


「ハイ。すみません。注意します。」「理々杏?」

「あはは、ごめんね。おじいちゃん。ちょっと、迷っちゃったんだ。」


 心配そうに向けてくる鈴木の視線に嘘は無いし、

 同居人からの警告もないので、

 ただ心配をかけてしまったと、申し訳ない気持ちで一杯だった。


「もちろん、無事に帰ってきたんですから、

 おじいちゃんも怒ったりしないでくださいね!怒ったらダメですよ。

 ただ暖かく迎えてあげて下さい。それじゃ、理々杏さん。」


「すみません。ありがとうございました。」「。。。」


 彼女に嫌われていないと思っていた鈴木は、

 本当は嫌われていて、実は自分の事が嫌で逃げ出したのかもと、

 少し申し訳ない気持ちで理々杏を見つめていた。


 。


 満腹になるまで食事を出して貰い、暖かいお風呂にも入れてもらうと、

 一人暮らしをさせて貰う為に必要な、二人で決めた仕事を始めていた。


「何があったんじゃ?」

「道に迷っちゃった。。アハ。ごめんね。鈴木さん。すみませんでした。」

「まあイイ。無事だったんだからな。スルスル。。どうじゃ?」

「う。。うぅぅ。ちょっと痛いかな。」


 彼女は全裸で、大きなクッションマットの上で顔を下にして寝ていた。


 マッサージを受けている理由は、

 鈴木がマッサージ師の仕事をしているので、

 仕事では聞けない生の感想を、理々杏に教えて欲しいという事なのだが、

 施術と言っても、異性に全裸を晒しているだけでも恥ずかしいのに、

 触られている感想を話せというまで言われている事に、

 男性とつきあった経験も無い理々杏は、

 どう答えたらいいかわからなくて、施術を受ける度にとまどっていた。



 管理人①

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