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クロスオーバー  作者: 連鎖
リリアンとクロ(正義の味方)
4/89

先輩①

「ハアハア。やっと着いた。やっと着いたぁああ。はあああぁぁぁ。」


 歩いてきたので、もう昼を過ぎた時間になっているが、

 新聞に書かれていた住所のビルに到着していた。


(ここなのかなァ。。クロぉお。ここでいいと思う?)

(やめた方がいいって、正義の味方なんて、ろくでもない奴だよ?)

(もう。それは、散々話したし、私は運命を感じたんですぅうう。)


 歩いている最中も、クロは一生懸命説得をしていたし、

 こんなに胡散臭い会社など、やめた方がいいとまで言っていた。

 しかし正義の味方は、子供の頃からの夢であったし、

 テレビで見たような超常現象も経験した理々杏の気持ちを、

 変えることは出来なかった。


(そうか。。普通がいいんだよ。どうして、困難に首を突っ込むんだよ。)

(クロに会えた。鳥が人?に変わった。新聞での募集記事。

 クロは、これが運命だと思わないの?正義の味方よ。せいぎぃいい。)


 中学生が着るようなジャージ姿をした小さな子供が、

 巨大なビルの前で、

 誰かと話しているようにしている姿も目立ったようで、


「えーっと、君?このビルにお父さんでも務めているのかい?」


 休みだと言うのに、警備員の服を着た男が理々杏に声をかけてきた。


「違います。社員募集の応募に来ました。」


(やったぁ。これが運命。そうよ。運命のダイ。だい、いっぽおぉお!)

(はぁあああ。僕は普通に。普通がいいと思うよ。リリィ。)


 正義の味方という、一番わかりやすい目標に向かっている理々杏は、

 あきらかに不審者?迷子を見ている、

 可哀想なものを見ている男に、少しも気が付かなかった。


「そっかァ。。ぽんぽん。。そういう年にも見えないが、お嬢ちゃん。

 お仕事って言うのはねぇ。。平日にするんだよぉお。

 わかったぁあ。僕みたいになっちゃだめだよォ。ぽんぽん。」


 流石に理々杏が小さな子供に見えても、

 150cm。胸は。。ゴメン。。。お腹は、60の。。お尻。。80。

 お子様という程でもなく、高校生と言うには幼い顔をして、

 化粧もしていなく、産毛が生えて。。眉も自分で適当に手入れして。。


 将来は美人顔と言いたいが、おさなさが残った顔で、

 一重眉で細いアーモンド型。鼻はワシ鼻で、

 上唇は細いが、この顔でも下唇は厚くポッテリとしていた。


「ガサガサ。違います!これ。。バンバン。これ!ここに書いています。」

「お嬢ちゃん?そういうのは、平日にお父さんと来たらいいよ。ぽん。」


 この男も悪い男では無いし、

 彼女の家庭環境を知って言っているのでは無いが、


「違うって言っているでしょ!わたしわぁああ。わたし。。ひっぅ。」


(泣くなって、リリィ。泣くなよォ。頼むから泣かないでくれぇ。)

(わたしぃ。せいぎぃいい。正義にぃいい。)

(ああ、わかった。俺も助けてやるから、な。。頼むよぉ。リリィ。

 泣き止んでくれよ。こんな場所で泣かないでくれって。)


 泣くのを我慢しているような顔をしているのだが、

 手で顔を覆うこともしないで、

 口をへの字ににして、相手を睨みつけるような目で男を見上げていた。


「アァア。。お嬢ちゃん!ごめんね。おじさんが悪かった。ごめんね。」

「ひぃわう。ひわうもん。わわはひ。ひはう。ひ。ひほほ。ほほおぉん。」


 泣いている子供に勝てるような壊れた男が、

 こんなに大きなビルの警備員をしている事は無かった。


「わかった。わかったから、じゃあ。お仕事のぉ。そうだ。おじさん。

 ここのお仕事しているんだよ。」「お仕事。。ここの!お仕事ぉお。」


「じゃあ、会社の名前。名前は、なんていうのかなアアァ。」


(ヤバい。この子はやばいよなぁ。ハァ。なんで声をかけたんだっけ?)


 迷子に手を差し伸べたかったのか、

 それとも、あまりにも暇だったので話し相手を探していたのか、

 今は最初の事などどうでもいいと、早く部屋に戻りたくなっていた。


「せっ。。。正義の味方会社。。正義の味方です。。。です。」

「。。ハァ?。。」


(やっぱり、ヤバい子。。ハァ。。やっぱり、そういうことかぁ。)


 休日だと言うのにビルの前で警備をしているだけで嫌なのに、

 意味のわからない事を言う、イタイ女の子だと確信して呆れていた。


「だから、正義の味方会社です。面接に来ました!ガサガサ。これです!」

「(うわっ。。)。。。」「ンっ!」


 理々杏が指さしている場所に見えるのは、

 デカデカと書かれた木の写真で、凄く小さな文字で書かれるか、

 昔流行ったような隠し文字が書かれていれば、

 この男でも微かな違和感を感じて、その事で何かを説明できるのだが、

 何度見ても、ただの木にしか見えないので、

 やっぱり理々杏をイタイ子だと確信して、

 どうすれば、この子から逃げられるかを考え初めていた。


「いやぁ。おじさんは目が悪くってネェ。小さな文字は見えないんだよ。」

「ぐしゃ。ぐしゃ。ここ、ここを見てください。住所は、ここですよね?」


 理々杏にもおおきな木がバックに描かれているのは見えているし、

 募集要項など、枠に書かれたものが飛び出して描いてあった。


「そうだなぁ。。間違いかもしれないし、住所を読んでくれないかな?」

「東〇都〇〇区〇2-5-8SKビル50階。正義の味方会社。」


(おじさんって、見えないのかなぁあ。クロぉお?そうなのぉ?)

(ああ、あはは老眼ってのがあってさぁ。。年をとると仕方ないんだよ。

 あはっ。あハハハ。だからかなぁ。多分どうかなぁ。そうかなぁ。)


 新聞で使っている文字としては、大きい書体を使って書かれているので、

 文字が見えないとも思えない理々杏は、素直に書かれた事を伝えていた。


「ああ、ごめんね。おじさん知らなかったよ。いやぁ。ごめんねぇえ。」


(ヤバい。真性の子供かよ。。ヤバい。ヤバいってぇえ。オイオイ。)


 住所もビルの名前も合っているが、このビルに50階など存在しないし、

 そこへ繋がるエレベーターなど存在しない、

 もちろん、正義の味方会社などのプレートも無かった。


 当たり前だが、繋がる内線電話も無い、ただの妄想だとしたら凄いが、

 小さくもない子供が、本気で言っている事に慌てていた。



 先輩①

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