62 引き合うものたち
「見つかった『武器』が本当に『鍵』であるかわからんが、とにかくクレッフェの力を使うためには『鍵』が必要で、カッセルはクレッフェを確保している。どこか、カッセルの知るところにに『鍵』があることは確かで、同じクレッフェならば『鍵』と引き合う。我々がクレッフェに協力を頼めば、カッセルの意図も明らかになる」
「……とにかく当たってはみますが……」
サベンコにはそこまでうまくいくとは思ってはいなかった。彼らは黒い髪の人間で戦時中は軍に使われていた人間だ。未だ軍と関係のあるタナカにそうやすやすと協力してもらえるものだろうか。
タナカの意図も、彼にはつかめなかった。
なぜそこまでクレッフェに感情移入するのか。同じ黒い髪を持つ人間ではあっても、たとえ和平派であっても、タナカが軍部の人間であることに変わりはない。
たどり着いた部屋からは、ここが食堂に違いないと思わせる温かな匂いが漂っていた。 タナカはその部屋に入るよりも前に、ドアに手をかけたままサベンコに言った。
「モリスの街の銀行屋に早急に金の用意をさせよう。モリスに一番近い空港までの席も手配する」
サベンコは彼の方を見ないままにうなづいた。




