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戦争を語る仔  作者:
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60/80

60 鍵はどこへ行った?

「私の方は、君のメールの内容に思い当たる節があってね。昨晩は私が閲覧できる限りの軍の資料を当たってみたんだ」

 廊下に出ると、タナカはそう話を切り出した。

「私のメール……ですか?」

「あぁ、」

 半歩先で、タナカはうなづいた。彼はゆっくりと歩く。話す時間を稼いでいるのか、足がそこまで悪いのか、サベンコには分からなかった。

「ユーリ・エバで、戦時中クレア・エバに放棄されていた『武器』が見つかったという……」

「あぁ、あれですか。中央は語りたがりません。しかし、ユーリ・エバで近ごろ何かが起こっていることは確かです」

「クレア・エバのザゼルの司令部にクレッフェが侵攻して起こった例の事件、『ザゼルの悲劇』。あれはそもそも、クレッフェの力を解く『鍵』が制御できなくなったことから始まる。鍵を失くせば金庫もただの箱、『鍵』の存在自体が脅威になり、クレッフェもいつ牙をむくか分からない存在となる。カッセルはそれを恐れての試験部隊をザゼルで廃棄し、正規部隊は情報戦のみにそれを使用することとした。あの『鍵』、あれはどこへ行った?」

「散花の人間と共に、ザゼルの事件で処分されたのではないのですか?」

 タナカは疲れたように首を振った。顔色が悪いのでひどく力なく見える。


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