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戦争を語る仔  作者:
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46/80

46 過去 あわわ、ごめんなさいっ

「おにい……」

 聞こえたのは意外にも高くて幼い声。その声の主に気付いて空夜と秋比古は安堵の息をついた。

 対する彼女はしばらく闇を透かすように見ながら沈黙し、そうして、突然慌てたような声で、

「えっ……あ、あぁっ、ご、ごめんなさい、お邪魔して……!」

 息を飲みながら、劇的に素早く後ずさると、

 バタン。

 シャワー室から出ていった。

「……」

「……」

 空夜と秋比古は彼女が出ていった方を見て、硬直したまま沈黙した。それから顔を見合わせる。空夜の口を抑えたままの秋比古の手が、力なく重力に従って落ちた。

 ひどく誤解されたような気がして、宝子の名を呼びながら二人でシャワー室を飛び出したのは、それから瞬間後のことだった。                                                                                                                                                           

                                                                                                                                                                   


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