40 過去 話がある
「この戦局も佳境の時期に、二部隊共に休暇をもらうなんて、珍しいな。とうとう戦争も終わったのか? それとも、あたあらしい作戦でもあるのか?」
「どちらでもないな」
それから、彼は背にしていたシャワー室の扉を細く開けると、似つかわない真剣な顔をして言った。
「……話がある。時間は?」
「朝飯が食べたい」
「この時間だ。もう何も残っちゃいないさ」
「さらりとひどいことを言うな。食うなってことか?」
「朝飯が終われば、俺達の部隊はブリーフィングだ。会えない」
「……何の話?」
彼は自分の身体をドアに忍ばせた。ついていかないわけにもいかない。空夜もそれに従ってシャワー室に入った。
この訓練場でも、戦場と同じく水は貴重品だ。シャワーなど、この部屋で浴びたことがない。ただの飾りか前時代の遺物となっているだけで、かび臭くて暗いだけの開かずの間だった。
秋比古はそこの湿った空気を嫌そうな顔つきで吐いて、それから空夜に向き合った。
「……何?」
空夜はいぶかしげに彼に見合った。




