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戦争を語る仔  作者:
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22/80

22 花弁 微笑む

「何だかこの世界で生きていくのが嫌になるな」

「誰だって皆、そう思ってるさ。……ところで桐珂、それなら、中央軍の動行は知っている? カッセル参謀の行動とか」

 空夜が少しの期待を込めた質問をすると、彼女は寸分おかずに首を振った。

「私もすべてを知っているわけじゃないけど……今のところ、軍が活発に動いているような感じはないわ。現在のカッセル次官についてはほとんど知らないと言ってもいい。でも、」

 彼女は今度は空夜のほうに顔を向けた。

「探る必要があるのなら、なんとかならないこともないわ。中央政府には戦争中からのいくつものつてがあるから」

「僕たちでは政府に近付くこともできない。頼めるかな」

 桐珂ははっきりとうなづいた。

 感嘆して、秋比古が大きな声を出した。

「桐珂さんは現役なんだな。目が見えないのに」

「目が見えないからよ。ほとんどのひとが私に同情してくれて、対幼児並みの親切さで接してくれるの。だからこちらも無邪気にして、重要人物に近付くことができるのよ。これは私の武器」

「それは桐珂さんが美人だからだ」

 秋比古は笑った。               

 ありがとう、桐珂が言った。

「クレッフェの試験部隊の動きについてつかめるようにするわ。何かあったら空也に言う」

「気をつけて。あまり無理はしないで」

 桐珂はうなづいた。  


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