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最強の女戦士ここにあり  作者: 田仲真尋
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灰色の魔物

ロディは、まるで蟷螂の様な形体に変化しました。

両腕は剣のような鋭い刃です。


僕はすぐにロディへと攻撃をしかけました。

素早く左右へと体を振りながら、フェイントを混ぜつつ、揺さぶりをかけます。

二刀流のロディは、僕の攻撃を器用に捌いていきました。

しかし、だんだんとスピードアップしていく僕に対して遅れをとり始めました。


「く、くそ!」


ロディは、たまらずに宙へ逃げました。

羽があるのは反則ですよね。


「シエルさん、僕を飛ばせてくれませんか。」


すると、シエルさんはすぐに理解したらしく、

「ウインドカーペット!」と、風の魔法で僕の体を高く舞い上がらせました。


僕はサーシャ様を見て、軽く頷きました。

サーシャ様も、それに応える様に頷きます。

本当に分かっているのでしょうか?

僕は不安を抱きながら、ロディへと斬りかかりました。


しかし、やはり宙を舞う羽の生えた敵には、僕の直線的でストレートな攻撃は当たりません。

軽く避けられてしまいました。


ですが――。


「焼き尽くせ、不死鳥フェニックス


「なに!?ぐわっ!」


僕の攻撃を見切り完全に避けたと、ロディは錯覚し油断しましたね。

サーシャ様もお見事でした。

シエルさんと僕、そしてサーシャ様のコンビネーションプレイが鮮やかに決まり、ロディは地面へと叩きつけられました。


「いい連携だったな……俺は何もしていないけど。」


ローラスは若干落ち込んでいますが、仕方ありません。

僕がローラスの立場なら、この場から逃亡していますね。確実に。


「お、おのれ。」


おや?

ロディは、まだ生きているようです。しぶといです。

しかし、もう虫の息でしょう……虫だけに。


「許さぬ――お前らは地獄を見ることになるぞ。」


負け犬の遠吠えでしょうか。

この手の輩は好きですよね。


「……アシュベル・グレー様。お、お力をお貸しください。」


ロディは誰かに助けを求めました。

すると、どこからともなく二人の細身の男が現れてきました。


「アイスめ、我らをいいように使いやがって。」

「仕方ない兄者、力が完全に戻るまでの我慢だ。」


ぶつぶつと呟く様に二人の男は、こちらへ歩み寄ってきます。


「そうだな。力さえ戻ればアイス如き、ひねりつぶしてやる。」

「もちろんだ、兄者。それより、こいつらどうする?最初から全力でやるかい。」



「当然だ。もう二度と人間風情にやられる訳にはいかん。」

「そうだね。それじゃあ――。」


二人は突然、拳を握りタッチしました。

すると、二人は一つになり変化を遂げました。

紅い瞳、蒼白い肌、額には角らしき物が生え、背中からは左右非対称の黒と白の翼も生えました。

これぞ正に魔物と、いうような出で立ちです。


「さあ、誰から死ぬか。一度に全員でもいいぞ。」


「今度こそ俺の出番だ。行くぞ、新魔法剣を見せてやる!」


勢いよく飛び出したのはローラスでした。


「くらえ、アイスバー!」


ローラスの剣が水色の真四角に変形しました。

その剣を振るとキラキラとした、まるでダイヤモンドダストがアシュベル・グレーの周りを囲んでいきました。

いやあ、なかなか美しい魔法剣ですね。


そして、それは一気にアシュベル・グレーの周りを凍らせていきました。

しかし、アシュベル・グレーは、フーッと一息吐き、なんとローラスの放ったダイヤモンドダストを吹き飛ばしてしまいました。


「う、嘘だろ。」


ローラスさん、その魔法剣は未完成なのでは、と疑いたくなるような結末です。


「焼き尽くせ、不死鳥フェニックス


今度は確かな魔法剣でサーシャ様が攻撃をします。

虚をつかれたのか、アシュベル・グレーは避けようとも防ごうともしません。

これは完全に入りましたね。


ボンッ!


まるで爆発したようにアシュベル・グレーは黒煙に包まれた。

しかし、煙が晴れて僕らは唖然としました。

奴は無傷――というより何事もなかったように涼しげな表情です。


「魔法など俺には効かん。」


そんな馬鹿なことがあるのでしょうか。

それでは、サーシャ様と同じ体質ということになります。

サーシャ様も驚愕した顔でアシュベル・グレーを見つめました。


「何をそんなに驚く、ディミトリの娘よ。俺もお前も同じファシリアの血が流れているんだ、当然だろ。」


「ファシリア?どういうこと?」


「ふん!とぼけた事を。まあ、いい。お前はすぐにあの世へ行くのだからな。」


その言葉に即座に反応したのは、まだしぶとく生きていたロディでした。


「アシュベル・グレー様。その方は、サーシャ様は殺してはなりませ。アイス様の命令です。」


「俺は奴の手駒ではない。好きにやれせてもらう。」


「しかし、貴方様はアイス様に助けられた身。恩義がありましょう。」


「お前、人間らしいことを申すのだな。こちらに長く居すぎたのだろう。もう、お前に帰る場所などないな――死ね。」


アシュベル・グレーは右手に黒い球体を出現させました。


「黒の衝撃ブラックインパクト


その玉をロディへ向けて放つと、ロディは地面へと吸い込まれるような衝撃を受けて、完全に潰れてしまいました。


「次は、貴様らだ。」


アシュベル・グレーはさっきの黒い玉の、数倍の大きさの玉を今度は僕ら目掛けて放ちました。


「風の防壁!」


シエルさんは僕らの前に立ち、アシュベル・グレーの攻撃を防いでくれました。

しかし、その衝撃は凄まじく、シエルさんは後ろへ弾き飛ばされてしまいました。


魔法障壁のお蔭で何とか回避できましたが、何発も耐えれないでしょう。

さらに魔法の類いも効かないとなれば、ここは僕の出番ですね。

僕は、正面からアシュベル・グレーに突っ込みました。

奴が黒い玉を出す、ほんの僅かな隙を見逃していません。

このタイミングなら、やれる!


「小賢しい奴だ。ならばこれを、くれてやろう。」


アシュベル・グレーは口から細長い槍を吐き、そのまま僕に投げてきました。


「剣技、鴉!」


僕は、その槍を体を半回転させ避け、そのままアシュベル・グレーを斬りにいきました。


ギィン!


「なに!?」


――僕の刃は止められていました。

いつの間にか奴は白い丸みを帯びた剣を手に持っていたのです。


「惜しかったな人間よ。俺は、ここに剣があるのだ。」


そう言って指したのは翼でした。

どうやら、翼から羽を一本取り、それが剣に変化したのだと推測できます。


「白の衝撃ホワイトインパクト


さっきの黒い玉よりも小ぶりな玉が僕へ向けて飛んできました。

僕は冷静に斬れる、と判断してそれを真っ二つに切ってやりました。


「やっぱり切るんだな。クックク。」


その瞬間でした。

それは白い閃光を放ち激しく爆発したのです。


「うわぁ!」


僕は、それをもろに喰らい倒れました。


「ピート!」


サーシャ様とローラスはすぐに反撃に出ます。


「これで終わりだ。グレイ・ファジイボール!」


アシュベル・グレーは両手の平に、それぞれ白い玉と黒い玉を出し、それを混ぜ合わせました。

すると灰色の禍禍しい玉が出来上がり、それはアシュベル・グレーの手から離れました。


「私が止めるわ。」


シエルさんが、また前方に立ち、魔法の壁を張りました。

しかし、そのパワーはとどまることを知りません。

シエルさんの魔法はおろか、サーシャ様とローラスまでもが大きく吹き飛ばされてしまいました。


「ちっ!エルフの小娘が邪魔しやがって。だが、次は止められんぞ。」


アシュベル・グレーの手には既に次の灰色の玉が用意されていました。

これは、さすがにまずいです。

シエルさんの魔法では、これ以上防げないでしょう。

僕は必死に体を動かそうと、もがきますが、どうやらあちらこちらの骨が折れている様で、うまく動けません。


「さらばだ、グレイ・ファジイボール!」


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