第3.5話 帰宅 水筒の中身の行方
宿の階段からカスターの部屋まで、ひと際大きくドタバタとやかましい足音が響く。
トカゲ戦を終え、皮を武器屋の店員さんに渡してカスターが帰ってきたのだ。
手にはすでにスライムの入った水筒が握られている。
落ち着きなく鍵を開錠して扉を押し開いた。
入ってすぐに荷物を放り出し、窓際の小テーブルに水筒を置く。その横に、緩く握った拳ほどの大きさの透明の瓶と、その口にぴったりのザルを置いた。
瓶を何度か揺らして安定していることを確かめる。
そうしてようやく、カスターは水筒からザルをめがけて飲み口を傾けた。
あんかけより緩く、水よりはとろりとしている苔色の液体が、ザルを通って瓶に溜まる。
水筒を握る手が揺れて液体がこぼれそうになった。
「ぉ、スゥ―……危ね!」
カスターの顔には眉間に皺が寄っている。
水筒の中身をすべて空けるとカスターは小テーブルに腕をついて液体と目線を合わせた。
「お前もっと薄かっただろ。なんでそんなことになったんだ? さっきより粘度増してるから生きてんだろ?」
話しかけながら瓶を片手で撫で、包み込む。
感じる冷たさが、ガラスの冷たさか、スライムの冷たさかわからない。
反対の手でザルを取ると、傾きに応じてザルに阻まれた砂利が転がる。
カスターはそれを置いて蓋を手に取り、瓶の口にゆっくりと差し込んだ。
カチリ――。
密閉される。




