第4章 『令嬢スイーツ刑事の華麗なる下剋上』 2.マツダの乱
完全にハートを撃ち抜かれた佳祐は、落ち着かない心を鎮めるために『夜勤メンバーに連絡』と言って席を立った。向かった先は俊作がいるカウンターだった。
「おっ? ビールか?」
「いや……」
「なんだよ? だいたい分かるけどよぉ~。久々だな、その感じw」
「えっ、やっぱ分かる?」
「おう、30年だぞ。なめんなよ、幼馴染みw …………似てるなぁ~」
「…………そうなんだよなぁ。しかもさぁ、聞いて驚くなよ……誕生月日も一緒なんだよ」
「なんだ、それ? そんな偶然あんのか? すげ~な、おいっw お前、何やった?」
「なんもしてねぇーー、ただひたすら何年も仕事打ち込んできた、それだけ」
「あー、もう、そういうの、どうでもいいわっ! おい、出来た。ちょっと俺が御膳持ってくわ。おーい、戸田っち、ちょっと一緒にもう1つ運んで。あと、俺そのまま佳祐んとこ居るから、何かあったら呼んで」
3人で愛美の待つ個室へと向かった。店員が先に愛美の席へ御膳を運んで立ち去った。
「お待たせ、姫! さぁ、召し上がれいっ」
「わぁ、旬の鰤だっ! 感謝して……いただきますっ」
「感謝? いいねぇ~! 最近はさ、和食離れした若い子が多いからね~。魚出して大喜びしてくれるなんて最高だね」
「私の家は和食が多いんです。ぬか漬けも作ってるんですよ! わぁ~、鰤、美味しいです! 脂が乗ってますぅ~! ……でも柚子の爽やかな香りとか風味も鼻の奥にフワってやって来るぅ~! この横に添えられたなますもピッタリだし、御茄子も美味しいし、ほんっと幸せっ」
「へぇー、珍しいね。……あっ、ねぇねぇ、ちょっと食べながらでいいからお話させてよ。姫のお父様は何してらっしゃるわけ?」
「あ、父ですか? 同業です……」
「警察庁=雲の上だよ!」
「マジかっ? 佳祐が何でそんなすげぇとこのお嬢さん連れてきてんだよ?」
「ん? 彼女のいる部署に配属されたから……」
「んなこと、あんのかよ!? あっ、ねぇねぇ、やっぱシェパードとか飼ってんの?」
「あっ、いますいますw 父が飼ってますw 待ち受け、この子ですw」
「やっぱなw へぇー、じゃ、車は? あっ、免許なんか持ってんの? 親がエリートだと心配で取らせてくれないとか?」
「いえ、取得してますw 必須なので……ないと勤務できません」
「そっか、んで、何乗ってんの? やっぱベンツとかBMとか?」
「いえ……、ビートルと……」
「ビートルっっ? えっ、待って待って! 『……と』? ってことは2台目があんのね!?」
「あっ…………、はい。………………ビートルと……」
「ビートルと?(俊作と佳祐の2人で)」
「…………ユーノス・ロードスターを」
愛美が照れくさそうに告げると、2人は絶句して目を合わせて口を手で押さえた。それを見て愛美は何かマズいことを言ってしまったのか? と感じて何となく自分も口を両手で押さえてみた。
「いやいやいやっ、あなた押さえなくていいのw 意外とユーモアなとこあんのね」
「いや、何か釣られてw」
「あ、そう~、ロードスター? おい、お前がずっと昔っから『乗りたい』って言ってたやつだよな!? なんだよ、すげぇ~なぁ。……分かった、もうさ~佳祐、お前さぁ……付き合っちゃえよ! そしたら、乗れんじゃんw」
「やめろってw だからさぁ~ご令嬢だぞ」
「はいはい、ご令嬢ねっ。で、グレードは? 色は?」
「あぁ~、RFのVSです。2020年に新車で買って、イノセントブルーにオールペンして……内装……は……ホワイトセレクションに……しま……し……た…………あっ、主任? 大丈夫ですかw」
愛美が色を言い終える前に佳祐は天を仰いでのけぞり、拍子抜けして横に倒れ込んだ。すると、俊作が言葉を失っている佳祐の代わりに話を続けた。
「ご令嬢、それはね……反則ですw いやね、こいつさぁ、乗りたかったのよ。もし良かったら……いつか助手席でもいいんで乗せてあげてねw」
「あっ、はいw 全然……いつでも大丈夫です」
「うん、心が広くていい子だな! 飯もホント美味しく食べてくれるし。 じゃぁ~、おじちゃんがこの後デザートでクレームブリュレ持って来てやるよw 食べる?」
「はいっっ! 大好きですっ!」
「あっ、ホント? じゃ、あなた毎回来るたびブリュレ出してあげるから、そのロードスター、助手席だけでなくて……少しだけ佳祐を……運転席にも乗せてあげてくれるかな?」
「あぁ~、全然大丈夫ですw 保険もちゃんと入ってますし」
「おい、やめろよw なんか公園の遊具の取り合いで拗ねた子どもみたいになってんだろ! ごめんな、二階堂w」
「いえ、大丈夫ですw」
「じゃ、おじちゃんは片付けしてくるから……ごゆっくりどうぞ! あぁ~、昼もカミさんとランチしてるからいつでも来いよ!」
「はいw」
衝撃を受けながらも佳祐は愛車についてはにかみながら話す彼女の横顔に見惚れていた。が、これ以上長居させて帰らせるわけにはいかないと思い、食後のブリュレを食べ終えたタイミングで会計を済ませて呼んでもらっていたタクシーに二人で乗り込んだ。
「自宅は?」
「本駒込です……」
「大和郷ねw 運転手さん、駒込お願いします」
タクシーが走り出してから少しして佳祐が静かにつぶやいた。
「…………2台とも、ボディが曲線美だよな~」
「あっ、車ですね?」
「うん」
「実は……ビートルは、父の車だったんです。免許取り立ての頃、新車購入の許可が下りなくて」
「そういうことねw」
「はい。『ビートルで1~2年、無事故無違反を死守出来たら俺の指定したディーラーでのみOKだ』って、恒例の圧力でw」
「なるほど。で、ロードスターに決めたのは何で?」
「んーん、ディーラーが限定された中で決めなければならなくて全部乗って全部調べて吟味したんですw で、ユーノスに乗った時にル-フ全開にして走ったあの解放感がw なんか……車だけでもオープンにして自由になりたかったのかもしれませんw」
「父親っていう檻ね……」
「はい…………。あっ、あの……、主任……ご自宅と逆方向ですよね?」
「おう、大した距離じゃないし、女性を誘ったマナーだろ、気にすんな!」
「あの、もし良かったら……私……飲んでないので……この後、車でお送りしますか?」
「えっっ、あっ、もしかして?」
「…………ビートルでw」
「あっ、そういう返しが出来る子なのねw」
「まぁw アラサー社会人なんで。エリート娘ですけど……私だって別に上司に冗談の1つくらい言えます。じゃ、着いたら出しますね! …………RFを」
「…………ざぁぁぁ~っすw」
イラストについて・・・前回のあとがきで説明させていただきましたが、
イラストを描けないので毎回AI様にお願いしているわけなのです・・・、が、やはり
修正の依頼を1枚のイラストで複数回お願いしていくと『画のタッチ』が変わったり
『これ愛美じゃなくなってる?』『佳祐じゃないじゃん?』
『え? 待って! 愛美、さっきまでタートルネックだったのに・・・カットソーになってない?』
となっていくのです。
そして、今回は遂にアニメ調だったイラストの数枚が『水彩画』風になってしまいました・・・。
事情をご理解いただき、また、そんな感じになってしまっていても、相も変わらず
いつもご訪問いただきまして本当にありがとうございます(*‘∀‘)
色々ありますが、それでも絵が描けない私なので、AI様が提供してくれるイラストを
“感謝して、いただきますっ♥(o^―^o)”




