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secondary damage~令嬢スイーツ刑事の真実探求は、私に沼る乙男上司といつだってビターdeスイートですのよ!~  作者: 琴音七色


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第6章『師走の嵐も接近中・横浜中華街で人気スポットを網羅せよ』2.アレの伏線回収を致しますっ!

【前回までのあらすじ】急接近中の佳祐と愛美は、横浜中華街で数々の「ドキドキ」を共有していた。一喜一憂しながらも、愛美への想いを募らせる佳祐。そんな二人が立ち寄った占いで、衝撃の未来が告げられる……。果たしてこのデートの終わりに、二人の感情は理想の放物線を描けるのか!?

2 アレの伏線回収を致しますっ!

 

男性占い師が愛美に

手を見せるように言って

手相を見始めた。


「今……貴方は何歳ですか?」


「29歳です」


「うん、貴方は

 ……感受性が豊かで繊細。

 ん~ん…………、

 十代の頃……

 生きるのが苦しかった?」


「えっ? あ、はい……」


「幼い頃からストレス線が凄い。

 でも……、途中から

 サポート線が出来ているから

 ……おそらく、苦しい時を

 歩んできたのかもしれないけど

 身近な人からの強い支えがあって

 困難を乗り越えて

 生きてきていると思います。

 ん~ん、

 ……母親で苦労しましたか?」


「あ、はい……

 幼少期に亡くなっています」


「うん、サポート線は

 その辺りから出来てるから……、

 それでも……

 どん底ではなかったのでは?」


「そうですね……」


「まだ独身?」


「はい……」


挿絵(By みてみん)


「……うん、

 ……来年か……1~2年の間に

 結婚するね」


「えっっ……」 


挿絵(By みてみん)


「でも……

 言い寄る男たちが

 何人か現れる。

 迷ったらいかんよw」


「……二階堂、モテキ到来か?」


「でも、ただモテても

 意味ないですから……」


「迷うな!は、冗談ですよw

 貴方はね……たった一人の人を

 深く愛するタイプ、警戒心も強い。

 ただ独りで思いつめたり、

 周囲に心配かけぬよう

 黙って独りで動くようなところもある。

 大切な人が出来たら

 話し合うことを忘れないこと。

 程よく周りに頼ることも

 忘れちゃいかんよ」


「はい……ありがとうございます」


「ん?

 貴方、前にお逢いしてますか?」


「はい!

 2年前にも占ってもらっています」


「綺麗なお母様とご一緒に……」


「あっ、はい、そうです!

 育ての母なのですが」


「思い出しました。

 うん、サポート線は

 ……そういうことですね。

 では、彼女に

 感謝しなくてはいけないね」


「はい、帰って伝えます」


「うん。

 で……、お兄さんは

 何を知りたいですか?」


「主任も見てもらいましょうよ!」


「じゃ、

 仕事運を……お願いします!」


「うん、引き立て線だね……。

 運命線も濃く真っ直ぐ伸びてる。

 管理能力に優れていて

 人をまとめる力あり。繊細で

 リスク察知能力が高くて気配り上手。

 親指の仏眼の相もあるから、

 勘が鋭く霊感あり。 

 目上目下ともに

 見極める能力もあるから……、

 うん、安泰!

 心配いらない、お上が放っておかない。

 でもね、自分のことも

 もっと大切にしてあげなさい」


「自分のこと……、ん~ん、

 なかなか難しいですね」


「自分を後回しにして

 仲間のために頑張ることは

 もちろん素晴らしいこと。

 でも、自分という人間も

 自分にとって大切な親友のような

 かけがえのない存在のはずです。

 生涯を共にする一番の理解者でしょ。

 自分を幸せにしてあげるために、

 時には外のことを気にせず

 内なる声に耳を傾けて

 押し通すことも大事です。

 そして、それが結果的に

 仲間をも幸せにします」


「うわっ、刺さった…………。

 大事にしてみますw

 ありがとうございました」


「ん~ん、気になる線が……」


「えっ、なになに? 何でしょう?

 ……良いことだけお願いしますっ!」


「フフフ、案ずるには及ばない!

 貴方、お歳は?」


「38歳です」


「……離婚しましたか?

 それとも…………」


「あっ、あぁ…………、

 数年前に……亡くなりまして」


「うん……、お辛かったですね。

 では、次の御縁は

 その故人からの贈り物だと思って

 大切にしてください」


「えっ、再婚するってことですか?」


「……フフフフフ♪

 (pi――pi――pi――)お時間ですね。

 ……その頭脳線と仏眼の相から、

 言葉足らずでも貴方なら汲み取れます。

 内なる声……ですよ」


意味深な会話の終え方をした占い師が

最後に愛美の手に自分の手を重ねて

優しくトントンとしながら

ニコッと笑った。


愛美は少しドキッとしたが、

決して悪い意味の緊張ではなかった。



会計を済ませて出てきた2人。

低い溜息のような、

感慨深い感情が込み上げたのか、

佳祐が歩きながら

『んーん』と声を漏らした。




「……なぁ」


「はい?」


「すげぇーな、占い……」


「はい! 当たりますよね」


「しかもさ、二階堂が来たこと、

 覚えてたのもすげぇーな!」


「ですね!

 たくさん占ってるのに。

 響子さんのことも

 『綺麗なお母様』って

 覚えてたようでビックリしました」


「なっ。

 あっ、響子さん、綺麗な方なのね」


「はい!

 しかも、母と何となく似てます。

 昔から母と姉妹みたいだと

 周りによく言われてたとか……」


「へぇー。

 じゃ、二階堂と響子さんって、

 違和感ないのかもね」


「確かに。2人で買い物してると

 必ず『娘さん』って言われます」



と、そこへ

マダムな占い師が声をかけてきた。


「いかがですか?」


「えっ?」


「今、急に

 キャンセルが出てしまって……、

 新幹線の時間に

 間に合うか心配だからって……。

 喋りたいのよw お時間おまけするから

 寄ってってちょうだい!」


「おっ、じゃ、俺が出すから……、

 さっきの鑑定と同じこと言われるのか?

 はずれるのか確かめようぜ」


「素敵なお兄さんだわ!

 ありがとうございます。

 さぁ、中へどうぞ」


「16:30前に出たいので

 20分程度でお願いします」


「はいはい! では、

 西暦でお2人とも

 生年月日をここに書いてね。

 お兄さんが先に書いてる間に

 彼女の手相見るわ!

 手を出して」


「あっ、はい。お願いします」


「どれどれ……、あらヤダ、大変!

 お歳は、30歳くらいかしら?」


「29歳です……」


「うん、結婚線が濃く出てるわ。

 29歳でしょ……、

 じゃ、もう出逢ってるわね!

 運命の人に」


「えっっ?」


「さぁ、命術でも見るから、このまま

 貴方の生年月日も言ってちょうだい!

 で、お兄さん!

 次のご予定に間に合うように

 少しご協力お願い!

 計算得意なら、それぞれの生年月日を

 一桁にバラして1個ずつ足してみて。

 で、最後一桁になるまで足し算してね」


「了解です!」


「あと、西暦だけの合計数と

 誕生月日だけの合計数も出して。

 そして

 『西暦合計数を11から引いた数』も

 出しておいてね。さぁ、彼女さん。

 貴方ね、結婚するわよ。近いわ!

 このお兄さんが彼氏?」


「あっ、いえ、上司ですw」


「あら、そうなの?

 じゃ、まだ

 お付き合いの方はいないの?」


「はい、父が厳しくて……。

 でも、手相に……

 出てるんですね? 結婚が」


「ええ、出てるわよ。

 お父さん、……そうなのね。

 でも、線がしっかりしてるから

 大丈夫よ!」


「本当ですか?」


「うん! 心配いらないわ。

 気疲れの線がいっぱいだけどw」


「……やはり、ですか? ハハハ」


「でも、大丈夫!

 大好きな人が出来たら、

 絶対に貫きなさいね!」


「はいっ!」


「さぁ、お次はお兄さん。

 手を見せて!」


「はい」


「あら、お兄さんも大変!

 え? 離婚してる?」


「あぁ……、亡くなってます……」


「あら、そういうことだったのね……。

 でも、もう一度するわよ、結婚!

 しかも、玉の輿婚だわ!

 えぇ~っと、1988年生まれ……

 11から引いた数が3ね、

 お兄さんは三碧木星ね。

 ん~ん、今年は

 変化の激しい年だったはず。

 引越しや異動もあったかな。

 生き方が良ければ栄転の移動なはずよ。

 で、先月に仲間が増えてるわ」


挿絵(By みてみん)


「おっ、異動しました!

 新チームで確かに

 新しい仲間出来ましたね」


「あと、凄くビックリするような

 良いこともあったはず。

 で、今月はラブ運も好調よ!

 この運気は切り替わりが立春だから、

 今お伝えしたことは節分までね。

 で、来年は家の問題に直面するわね。

 玉の輿婚がビンゴだったら……

 家の問題は『婿養子』とかも

 あるかもしれないわね。

 お兄さん、長男?」


「あっ、はい」


「そうなのね。来年の2月以降に

 父親と向き合う年運って出てるから

 “跡取り問題”があるなら

 腹をくくってねw

 で、彼女さんはね……四緑だから、

 来年は吉凶混合かなぁ。

 手相と併せて考えると

 『結婚・子宝』なんだけど……、

 念のため怪我とか……

 ナイフとかに気を付けて」


「ナイフ?」


「うん、色々な意味があるわ。

 料理で指を切ることもあれば、

 ナイフを持った人間に襲われる!

 なんてことも無くはない。

 そのナイフが身体に刺さる場合と

 心に刺さるいじめや

 嫌がらせの場合と2通りね。

 でも、正しく生きていれば

 八つ当たりのナイフが

 刺さるだけだから気にしないこと。

 消化しきれなかったら……

 また会いに来て!

 後は、メスを入れるという意味の

 ナイフもね。食生活はどう?」


「あっ、和食中心で……」


「彼女……、

 趣味が料理とお菓子作りで……

 空手は黒帯ですw」


「凄いじゃない!

 あっ、斗宿ですものね。

 黒帯分かるわ~!

 じゃ、調理の時には包丁に注意ね。

 人生においては…………

 貴方、勝手に引き立てられて

 道は切り開かれていくから

 ムキになって頑張らなくてもいいわよ。

 カリスマの星だから

 プロデュースしてくれる人が現れて

 貴方を輝かせるわ」


「えぇ~、なりたいものが

 いっぱいなんですけど」


「口の星、母の星だから、

 食べたり話したり、御縁を繋いだり。

 で、母親みたいに

 縁の下の力持ちでね」


「うわっ、全部出てる!

 私、お母さんになりたいんです。

 お母さんしながら

 子どもやわんこを連れたママさんが

 ほっこりできるカフェを

 経営したくて……」


「あぁ~、やるんじゃない!?

 母の星はね、そんな感じよ!

 で、自家栽培とか畑仕事もいいわ。

 それをカフェで使うんじゃない!

 四緑はね、緑や青いものと

 長いものがいいから……

 自分で育てたキュウリを使ったり、

 パスタとかお蕎麦とかもいいわね。

 まずは来年に結婚や子宝よ。

 で、その2年後に働き星の運気だから、

 手前の再来年が

 知恵を貯える作戦会議の時期。

 赤ちゃん育てながら

 生活で必要な何かに気付いて

 “やりたいこと”のために

 準備していく年ってことね」


「あの、

 私……お母さんになれますか?」


「……う~ん、なれないわ!」


「えっっ」


「だって、貴方が子どもだからw

 純真無垢で好奇心旺盛な

 子どもが子どもを

 産むことになるのよ!」


「あ、そういう意味でしたかw

 二階堂の未来……

 なんか想像つくなぁ」


「フンッ、

 ちゃんと育児書を買いますっ!」


「それよw そういうところ。

 それだと、きっと奮闘するわね。

 子育てだけでなく家にもね。

 自分の親だけでなく

 義父義母へもエネルギーを費やす

 って出てるけど、貴方の

 “斗宿”って星は

 身体が凄く強いってわけではないの。

 だから、和食で健康的で黒帯だとしても

 身体が1つしかないってことと

 自分の性質をちゃんと自覚しなきゃダメよ。

 子ども産んだら尚更よ。

 バイブルもいつも役に立つわけじゃない!

 ってくらいが調度良いってことを

 忘れないで。

 貴方と同じ魂グループの星で

 同じ水瓶座の私が言ってるんだから

 絶対よw」


「同じ魂グループ?」

 

「そう、

 簡単に言うと“同じ性質”ってこと」


「じゃ、奮闘されたんですね!?」


「そうw お母さんを頑張りすぎて

 少し失敗したなぁって

 後悔したこともあるわ。

 だから……程よく適度に、

 真面目とズボラの

 バランスを取ることを忘れないでね!

 あ、振り分け上手な

 運命数を持った方がここにいるわw」


「あ、俺ですか?」


「そうよ! 貴方よ。

 愛する人や家族に

 ……尽くすタイプね。

 だけでなく、

 いつも全体の流れを考えてる調整役。

 乙女座だし、女子力高いかもw

 あら、やっぱり数字でも

 来年の夏に貴方

 『家・家族・組織・財運・結婚・絶好調』

 って出てるわ。

 ……今って、ちょっと

 実家が寂しいのかしら?」


「うわっ、すげぇー。

 実家……当たってます」


「うん、今年一年

 過ごしてきて感触はどう?」


「ん~ん、私見では好感触ですね」


「じゃ、ここからは

 賑やかになっていくから。

 欠点は離宮傾斜の

 『美しくあるために』の炎が強すぎると

 大切なものや人を失くす

 ってこともあるから注意して。

 今から訓練だと思って

 程よい情熱の火で生きて。

 ん? 貴方、前世で

 この子のお父さんか上司だったかも。

 彼女は自由で好奇心旺盛で

 おてんば娘だったのかもしれないわ。

 今も同じ数字だから、前世で何か

 やり残したことが

 あるのかもしれないわね。

 水瓶座だから突然、

 予測不能なことする

 不思議ちゃんよw」


「すげぇーな、見透かされてるw

 なっ、スイーツ娘!」


「規定違反はしてませんからっ!

 いたって真面目です」


「仲がよろしいようでw

 そうそう、数字で見た

 幸せのナンバーも同じね。

 これが同じってことは

 運気のサイクルも一緒だから、

 年がら年中お互いに

 魂が求めてることも生き方もほぼ一緒よ。

 公私共に過ごしやすい者同士だわ。

 さぁ、予定のお時間になりそうだわ!

 もし出来たら、横浜の綺麗な夕陽を

 是非とも見ていってちょうだい。

 オレンジの橙はね

 “子孫繫栄・長寿・縁起物”なのよ。

 離宮傾斜のお兄さんに

 エネルギーが入るから!」


「うわっ、予定って

 ……“ソレ”なんですよw」


「あら、シンクロね! じゃ、

 守護してる方からのメッセージだわ。

 貴方、守られてる。

 今日の過ごし方がバッチリだって

 褒められてる証よ」


「へぇー、そうなんですね」


「あぁ、

 お2人に声をおかけして良かったわ!

 占わせていただいて本当に嬉しかった。

 こっちが幸せな気持ちになれたわ。

 ありがとう!

 良かったらこのアロマを使って。

 フランキンセンスは、

 守護してくれている存在との

 繋がりをサポートしてくれたり、

 衰弱してる時の

 ネガティブなエネルギーを

 浄化して心を整えてくれるの」


「ありがとうございます」


2人は会計を済ませて、

アロマのミニボトルと

鑑定メモをもらって

歩き出した。


「すげぇーな、

 どっちの鑑定も当たってたよ」


「本当ですね!

 主任、やっぱり……

 成るべくして

 主任になられたんですね」


「ん~ん、

 確かに……昔からずっと

 そういう役回りだなぁ」


「私は……、前世からずっと

 ……子どものようですw」


「ずる賢いイヤぁ~な大人より

 全然いいだろ!

 さて、ネタバレしましたが……

 夕陽を見に……

 公園へ向かいます!」


「守護さんに

 褒められたプランですねw」


「そうみたいですねぇ~!

 港の見える丘公園展望台ってさ、

 “夕暮れに染まるベイブリッジが

 美しい場所”で

 人気スポットなんだよ」


「えぇ~、見たいです!

 主任にエネルギーが入る夕陽ですね」


「そのようですな!」


「私には入らないのかな?」


「おてんば娘には、

 これ以上、

 エネルギーを注入する必要は

 ありませんってことだろw」


「んっ(頬を膨らませる)」


「あっ、すみません」


「フフフ……」


「えっ、何?」


「前世でお父さんか上司で、

 現世でも上司なのに

 『すみません』なんて聞くと、

 時空を超えてずっと

 主任に謝らせてる

 おてんば娘なのかなぁと思って」


「どっかの城の姫だったのかもな」


「あっ、前に見てもらった

 別の占い師さんにも言われました」


「へぇー、じゃ……、

 城中は毎日

 “満城風雨”だったんだろうなw」


「まんじょうふうう?」


「うん、

 城でも町でも暴れまくって

 嵐で大変だったんじゃない?

 ってことw」


「酷いっ! あ……、

 だから父が厳しいのかなぁ?」


「あ……、

 だから調整役の俺が

 配属されたのかなぁ?」


「ん(頬を膨らませる)、

 真似しないでくださいっ!」


「ハハハ!

 おっ、見えてきた……」


「わぁ~!」


「もう少し行くと、

 横浜ベイブリッジを望む

 絶好のビューポイントだそうです!」


「写真撮りたいです!」


「じゃ、あのビューポイントまで

 ……行きますか?」


「はい!

 咲いているお花も楽しみながら、

 行きましょう♪」


愛美が先頭を切って、

ビューポイントを目指しながら

歩き始めた。


佳祐は、

自分のプランを

楽しんでくれている

彼女の様子を見て、

安心しながら後をついていった。


時々バラを見つめて

微笑んでいる

彼女の横顔を見て、

少し前世を想像してもいた。


挿絵(By みてみん)


「うわぁ――! 綺麗っ」


「……だな」


「エネルギー、来てますか?」


「来てますねぇ~♪」


「私も来てる気がします」


「二階堂さんは……、

 程々にお願いしますw」


「ん~ん、

 でも……何でしょう……、

 夕陽だから

 “おてんば抑制エネルギー”が

 来てる感じがします」


「じゃ、目いっぱい

 チャージしてくださぁ~いw」


「ん(頬を膨らませる)」


「写真撮ってやろうか?」


「ん?

 このおこプンをですか?」


「アハハ! 違うよ、

 夕陽と一緒に……だよ」


「あっ、はいw

 お願いできますか?」


「おう、じゃ、そこ立って……」


挿絵(By みてみん)


「綺麗に撮ってくださいね」


「ん? ……十分可愛いぞ!」


「あっ、

 夕陽のことですがw」


「あっ…………」


「えぇ~、

 本音……いただきました!

 ありがとうございますw」


「二階堂さん、

 ……目的語、抜かすの

 やめてください」


「フフフ」


挿絵(By みてみん)


「……二階堂さん?」


「はい?」


「俺も一緒に写って……

 撮ってもいいですか?」


「……はい!」


挿絵(By みてみん)


2人の気分は

完全にもう

“恋・始まりました!”

のようだった。


そんな2人を照らす

横浜の夕陽は、

佳祐の心に

緊張を解く柔らかさと

勇気を与える温もりある

橙黄色をしていた。


そして、愛美は

抑圧された恋事情に

防衛機制となっていた

心の上着を

完全に脱ぎ捨てられそうな

前向きな力を得ていた。


2人で一緒に

撮った写真に収まった顔は

夕陽の力を授かったような

優しい暖色に染まっていた。


ビューポイントでの

撮影を終えた後も、引き続き

広い公園内を見て回った。


「二階堂さん」


「はい」


「早めの夕飯、食べていきますか?

 近くにカフェがありますが……」


「はい!」


「え~、実は

 パブロフの後に

 車を移動させてあるので……。

 あちらに向かいましょう」


「凄い気遣いですね!」


「パンプスですし、

 歩き回ると思い、駐車場……

 調べておきました!」


「ありがとうございます!」


「どういたしまして」


「カフェは……

 どんな感じですか?」


「ん~ん、検索した感じだと……

 アジアン料理でミーゴレンや

 ナシゴレンが評判で、

 手作りのスイーツと

 落ち着いた雰囲気のカフェだったかな。

 アジアンテイストは大丈夫?」


「たぶん……大丈夫です」


「了解です!」


港の見える丘公園

駐車場から移動して数分、

Cafe & Dining Dongkangドンカン

に到着した。


そして、席に着いて

メニューを見た。


「何にする?」


「じゃ、

 評判だって言っていたものを」


「米と麺、どっちにする?」


「んーん、

 では麵をクルクルします」


「フフ、ミーゴレンね!

 ピリ辛……大丈夫?」


「大丈夫……だと……」


「じゃ、迷ってたオムライスにしておくか?

 俺がそのミーゴレンにするよ。分けようかw」


「あ、分かってたんですねw

 ありがとうございます」


店員が来て

オーダーを通し、

注文した料理が来るまで

2人で話し始めた。


「……和食メインの舌だからなw」


「そうですねw

 実は、自信なかったんです」


「何となく分かったw

 …………あぁ、

 ちょっと話変わるけど……」


「はい、何でしょう?」


「少し仕事の話……いい?」


「はい」


「今度のC案件の

 BBQイベントだけど、

 今日のその二階堂の感じ……、

 バッチリですw」


「全然、分かりません」


「純真無垢で自然体、

 で…… お育ちの良い

 ピュアなお嬢様

 って感じが……です」


「例のグループは

 ピュアな女性をずっと……

 ってことですね」


「だな、……狙いやすいんだろ。

 で、二階堂の場合、酒ダメだろ?

 貸別荘でBBQだから、おそらく

 飲ませてくるはずなんだ。

 酒をかわすために

 『飲み物飲むと食べ物が入らなくなる。

 お肉楽しみだから』って言って

 飲まされないようにな」


「賢い手ですね!

 分かりました。

 とにかくBBQを楽しみにして

 会話を弾ませたり、

 お皿を並べたりするのを

 手伝っていればいいんですね!?」


「そうだな。

 重要な動きや全体的な仕切りは

 明日香たちに任せてるから」


「はい、分かりました!」


「以上、会議終了です。

 え~、今日の大人の遠足は

 ここまでとなりますが……、

 いかがだったでしょうか?」


「とても楽しかったです!

 充実しました。

 ありがとうございます!」


「こちらこそ、楽しかったです!

 ありがとうございました。

 では、今から

 ピリ辛とフワトロを堪能して、

 イレギュラー争奪戦を繰り広げて

 東京へ戻りましょう♪」


「承知しました!」


佳祐は、

カフェでの会話ということもあり

『潜入捜査』とは言えないため

『Criminal=犯罪的』の単語から

『C案件』と言い換えて話した。


好きになり始めた愛美のことを

守りたいために、

念のため、

話しておきたくて仕方がなかった。


そして、

話の区切りの良いところで

料理が登場した。


挿絵(By みてみん)


「ミーゴレン、いきますか?」


「はい!

 では、少々冒険

 してみようと思いますw」


「どう?」


「うぅ~ん! 美味しいです」


「そのまま……食べれそうか?」


「大丈夫かも…………、

 あっっ……、

 やっぱり辛いです!」


「ハハハ♪

 では、甘みがある

 こちらのオムライスをどうぞ!」


「はい、ありがとうございます。

 主任もフワトロ食べてくださいね」


「おう、ありがとう」


横浜の街を

最後の最後まで

楽しく過ごしたい想いが

重なり合った2人だった。


食事を済ませた後に

駐車場へ戻って車に乗り込むと、

佳祐がまた

お台場の時のように

橋の上までの距離や

時間を計算して

車内で流す曲をセットした。


愛美は予告通り

“イレギュラー争奪戦”に

ワクワクしながら

ベイブリッジに差し掛かるまで待った。


そして、遂に

ベイブリッジに差し掛かったところで

次の曲に切り替わった。


愛美の耳に聴こえてきたのは…………



――back numberの『クリスマスソング』だった――



愛美は

少し目を閉じたり、

助手席から

横浜の街を

見つめたりしていた。


1コーラス目の

サビが終わったところで

佳祐をチラッと見た。


佳祐がそれに気付いて、

一瞬だけ愛美のほうを向いた。


ニコッとした笑顔を

見せてくれた彼女の顔を見て、

佳祐はホッとした。


愛美は曲を聴きながら

こう思った……


 『君が好きだ』


 という気持ちを伝えるために


 今日一日たくさん


 私のことを考えて


 動いてくれたのだろう。


 こんなに歳上でも


 『僕の事だけをずっと


  考えていてほしい』


 という気持ちを伝えることが


 とても勇気の要ることなんだろうか?と……。


 そして、こんなふうにも思った。


 ……橋の上で


 予定していた曲を変えたのは


 『真剣に気持ちを伝えたい』


 ということだったのだろう……と。



……東京へ着いてしまった

と思った2人。


また、あの

お台場の夜の時のように

あっという間に

佳祐の自宅マンション前に到着した。 


挿絵(By みてみん)


「年内に……

 もう1回くらい……って、

 まぁ、無理だよな。

 年明けかぁ……、

 見たい映画があるんだよなぁ。

 1月……行く? 映画」


「あっ………………

 ん…………んん……」


「あ……すまん……、

 調子に乗りすぎた。

 誘い過ぎだよな……。

 ごめんな、

 …………あぁ、今日ありがと。

 本当楽しかった……。

 じゃ、気をつけてな」


挿絵(By みてみん)


佳祐が

愛美の愛車から降りて

マンションへと向かった。


挿絵(By みてみん)


今日の横浜で

グッと距離が縮まったと

感触を覚えていた佳祐だったが、

愛美の様子で

その感覚は違ったのだろうかと

年甲斐もなく浮かれて

期待したことを恥ずかしく思い、

ショックを受けていた。


挿絵(By みてみん)


と、その時……、

自分を追いかけて歩いてくる?

奇妙な足音が耳に入ってきた。


「…………主任、

 ……あの………………すみません。

 あ…………あの……私、

 …………映画館

 ダメなんです! すみません」



振り向いて

愛美を見た佳祐が戸惑った。


映画のことではない……

愛美の姿だった。


挿絵(By みてみん)


「……二階堂

 …………靴……どうした?」


「あっ、えっと……いっ……

 急いで追いかけなきゃ! って」


慌てて佳祐を引き留めようと

車外に飛び出した愛美は、

片足だけパンプスが

脱げてしまっていた。


愛美が

びっこを引くように歩いて

脱げたパンプスを

拾いに行こうとして歩き出すと、

それを追い抜いて先に佳祐が

パンプスまでたどり着いた。


そして、

ひっくり返ったパンプスを拾って

少し笑いながらひざまずき、

愛美の足元へ置いて

パンプスを固定して

片方の手は愛美に差し出し、

転ばずに履けるように

足を通すまで待っていた。


挿絵(By みてみん)


「あっ、すみません」


「20時前か…………

 早めに脱げるパターンの

 シンデレラだなw」


「すみません、

 ありがとうございます……」


挿絵(By みてみん)


と、その時……

一台の車が停まった。


「……すみませぇ――ん、

 どうかされましたか?」


挿絵(By みてみん)


愛美に声をかけてきたのは、

パトロール中の警察官であった。


そして、

佳祐を見るなり

驚いた顔で話しかけた。


挿絵(By みてみん)


「えっっ?

 やっぱり神谷先輩だっ!

 今…………、

 ひざまずいてましたよね?

 あっ、もしかして

 “プロポーズ”の真っ最中でしたか?」


「いやいや、違う違うw

 彼女が

 パンプス脱げちゃったから、

 履かせてあげてただけだって」


「あっ、あぁ――――、

 では、まだ

 “彼女”の段階ってことですね!?

 了解ですっ!」


「違うってw

 “三人称”だろっ!」


「冗談ですw 非番ですか?」


「おう」


挿絵(By みてみん)


「……デート……ってことで

 ……いいっすか?」


「あのさぁ~、

 やらしい職質すんなよw

 あぁ……部下でさ、

 忘年会の件で

 準備とか色々あってな……」


挿絵(By みてみん)


「へぇー、そうなんですね……。

 じゃ、一課の方なんですね!

 えぇ――、

 先輩からの聞き取りでは

 こんなお話となっておりますが、

 間違いありませんか?

 念のため確認です!」


「あっ、はい、大丈夫です。

 お騒がせして申し訳ありません」


「分っかりましたぁ――。

 じゃ、先輩、俺たち行きますね!」


「おう」


挿絵(By みてみん)


佳祐の警察署時代の

部下である警察官が

『先輩だ!』と気付いて

職務質問と見せかけて

ただ茶々を入れる為だけに

降りてきたようだった。


待たせていたバディに

ジェスチャーで

『ゴメン』の仕草と

『サイズアップ』で

親指を立てて

引き上げる様子を見せながら

パトカーに戻っていった。


バディが徐行で

パトカーを動かし始めたところで

窓を開け、

最後にもう一度だけ

佳祐に声を掛けた。


「先輩……、

 二度目の披露宴の招待状

 待ってますんでw

 ご祝儀代、

 貯めておきまぁ~すw じゃ!」


完全に

言い逃げするタイミングを合わせて

佳祐を冷やかし、

万が一に反撃を受けるとしても

完全に逃げ切れる距離を

計算しての試みで去っていった。




「ごめんな、署にいた時の部下でさ。

 礼儀正しいお調子者なんだよな……」


「あっ、いえ、大丈夫です」


「…………あのさ、

 まだ少し……時間……大丈夫?」


「はい……」


「じゃ、もう少しだけ

 近場でドライブしよっか?」


「はい……」


佳祐は、

もう一度ロードスターに乗り込み、

愛美を連れて

豊海水産ふ頭へと向かった。


挿絵(By みてみん)


「……少し気持ち落ち着いたか?」


「あっ、はい…………」


「話せそうか?」


「はい」


「…………では、

 あなたには黙秘権があります。

 終始沈黙し、

 答えたくない質問には

 答えなくてもよく、

 話した内容は

 俺の対人関係における

 人生の学びになる、

 ということです。

 それでは、聴取を始めます。

 よろしいですか?」


「はいw」


挿絵(By みてみん)


「先ほどの話では……

 『映画館ダメなんです』

 とのことでしたが、

 どういう意味なのか

 話せる範囲で教えてください!」


「あっ、はい。……あの、

 …………映画館が……

(ふぅーっと深い溜息を吐く)」


「もしかして……、

 映画じゃなければ大丈夫

 ってことだったのか?」


「……はい。

 大学の時に……

 1ヶ月も続かなかった彼がいたと

 以前お話しましたよね!?」


「うん、あったな」


「一年の時の共通科目で知り合って

 仲良くなって。ちょうど

 サスペンスの作品が上映中で

 ……見に行こうってなって

 …………約束したんです。

 で、当日……早めに着いて

 ……待ってたんですけど…………」


「……もしかして…………

 来なかったのか?」


愛美が

頷きながら静かに泣き出した。


そして瞬きを何度も繰り返し、

涙がこれ以上

こぼれないようにという様子で

持ち堪えながら話を続けた。


「約束していた上映時間が過ぎて、

 何かあったのかな? って

 心配になって。

 何度か電話や

 メッセージをしたんですけど……

 既読にはなるのに連絡は来なくて……。

 それでも、待ったんです。

 理由が分からなかったから。

 待つしかなくて……。何時間も待って。

 閉館まで待ってるって入れて、

 やっとメッセージが来て……

 『ごめん、行けない。もう逢えない』

 って入って。

 前日までの楽しいやり取りから突然で……。

 受け入れるのが難しくて

 帰ることも出来なくて。でも、

 その日の最後の上映時間が過ぎて……

 作品を観終わった方々が出てきて。

 ……楽しそうで、幸せそうで

 『あぁ、私がいていい場所なんかじゃないんだ』

 って虚しくなって。もう苦しくて……。

 それから、少しして友人に誘われて

 行ったことがあるんですけど…………

 あの“ポップコーン”の香りで

 その時のことがフラッシュバックしちゃって

 …………ダメだったんです。

 それ以来、映画館には行ってなくて。

 高校生の時の失恋で自信を失くして

 ……受験を頑張って、

 大学に入ったことで大人の仲間入りを

 したような気持ちもあったので、

 自信を持ち始めた矢先の

 度重なる失恋を消化しきれてなくて

 ……ずっと。で、数年前に

 高校の同級生から父親のことを聞いて、

 今までのことが

 ただの失恋じゃなかったんだって

 違う感情も湧いてしまって。

 だから……映画館が……怖いんです」


「そうだったのか……」


「主任に先ほど

 映画に誘ってもらって

 『次があるんだ!』って

 嬉しかったんですけど、

 …………今日も

 主任のお家へ向かってる時に

 少しハラハラしたんです。

 で、何事もなく夕方まで過ごせて

 本当に嬉しかったんです。

 本当に、本当に……。

 横浜で一日過ごして

 『これって、もうデートなのかなぁ』って。

 たくさんドキドキして

 胸がギュってなって……。

 クリスマスソングも意味があって

 流してくれたのかなぁって嬉しくて……。

 こんな経験さえしたことなかったので、

 憧れていたことを

 たくさん与えてくれる人だなぁって。

 でも、映画って言われて

 …………思い出してしまって。

 主任にも逢えなくなってしま……」


「あああああああ――!

 ごめん、ちょっと待って。

 えぇ~っと、

 話の腰を折ってスミマセン。

 えっと、……最後のところ、

 ちょっと聞かなかったことに

 させてもらいます。

 勝手ですが……ここから、

 俺のターンでいいですか?」


「あっ、はい」


「えぇ――っ、

 配属されてからもうずっと

 二階堂のこと……気になってました。

 で……、今日はもう

 ……完全に好きだなぁって。

 今日一日、俺が何しても

 嫌がる素振り一切なかったから

 『同じ気持ちなのかな?』

 って思ってました。

 スイーツを分け合ったり、二階堂から

 腕を組んできてくれたりしたんで

 『俺に好意を持ってくれてる

 ってことだよなぁ』って。

 でも、勘違いだったら

 いけないなぁと思って、もう一度

 一緒に一日過ごしてみて、

 確かめたいと思って

 映画を誘ったんだけど……。

 まさか、そんな事情が

 あったとは知らなくて。

 ごめん、辛かったよなぁ。で……、

 例のSATがいつ突入してくるか?

 も不安解消してないんだよな。

 二階堂の気持ち……、

 置いてきぼりにしてすまなかった。

 えぇ――、とりあえず

 今の俺の率直な気持ちで……

 これ正式な“告白”です。

 なんか、女性に先に

 気持ちを言わせるなんて……

 ダメだよな、本当ゴメン。

 慎重派の乙女座なんで……

 歳も歳ですし……

 数年ぶりの恋心でして……」


挿絵(By みてみん)


と話してる途中で

佳祐がハンカチを出して

泣き続ける愛美の涙を拭き始めた。


が、愛美はもっと泣いてしまった。


挿絵(By みてみん)


佳祐は愛美の手のひらに

ハンカチを乗せて、

左手を彼女の背中に通して

優しく引き寄せて抱きしめて、

そして背中をさすった。


挿絵(By みてみん)


「……鑑識の人に聞いたことあるよ。

 プルースト効果って言うんだってね。

 香りは0.2秒の速さで脳に伝わるって。

 で、何か

 アクシデントがあった時に

 強い感情を伴って嗅いだ香りに

 その感情がタグ付けされるらしいね。

 ……映画は

 もう……ね……やめよう……うん。

 で……、SATの心配もあるけど……

 とりあえず今は仕事に集中だな。

 大きな潜入(捜査)も控えてるし……。

 あっ、忘年会の後に少しだけでも

 時間取れたらいいんだけど…………。

 って、俺、言った矢先で

 SAT全然気にしてないねw」


挿絵(By みてみん)


愛美がやっと笑った……。

その笑顔を見て佳祐は安堵した。


挿絵(By みてみん)


そして、

横浜でした時と同じように

愛美のおでこに優しくkissをした。


挿絵(By みてみん)


「……にしても、本当凄いなっ。

 俺が二階堂の立場ならグレてるなw

 大学も辛かっただろ?

 よく頑張ったよな!

 そんな厳しい境遇でも

 真っ直ぐいい子に育ったんだな」


「響子さんがいなかったら……

 …………グレてたと思います」


「本当……仲良しなんだね!」


「はい。

 ……その失恋の時も

 迎えに来てくれて……

 今の主任みたいに……

 私の背中ずっとさすってくれて。

 お台場ドライブのことも

 黙っていてくれてますし……。

 今日のこともきっと……」


「いい関係だね」


「はい。でも……

 父には必ずバレます」


「公安並みって言ってたなw

 あっ、パウンドケーキ

 多めに買ったから、

 警視正には申し訳ないけど……

 内緒で頑張って

 2人でコッソリ食べてな!

 んじゃ……、そろそろ帰りますか?」


「……はい」


挿絵(By みてみん)


「あのさ……」


「はい」


「……“愛美”?」


「あっ…………、はい?」


愛美は、

佳祐から初めて

下の名前で呼ばれて驚いた。


その隙をついて佳祐は

愛美の顔に手を添えて

kissをしようとした……。


挿絵(By みてみん)


「あっ…………」


「ん?」


「しゅっ………………」


「しゅっ?」


「シューマイ……

 とか……色々…………」


「ごめん、臭った?」


「あっ、いえ、

 あの……私も食べたので……

 臭うかなぁって……気になって」


「大丈夫だよ。

 ……だから、

 愛美にも食べさせたんだよw

 ほら、よく言うじゃん…………

 “赤信号”みんなで渡れば?」


「…………怖くない?」


「うん。じゃ、

 “串シューマイ”

 ……2人で食べれば?」


「www 臭わない!?

 ん? 気に……ならない?」


「正解っ!」


「えっ、じゃ、あの中華街から……

 ずっと……わた……」


挿絵(By みてみん)


愛美の

残りの言葉を遮るように

佳祐がkissをした。


食べ歩き開始から

佳祐はずっと

愛美のことが

可愛く思えて仕方なかった。


本当は、

ロードスターで現れた時に

コンタクトで眼鏡無しの

お団子ヘアで

仕事中には見ることのない

勝負ヘアや

私服コーデで登場した愛美を見て、

その時点から愛おしい感情で

いっぱいになってしまっていた。


午前の待ち合わせから

キュン死させるほど

愛くるしい愛美に対して、

佳祐は精一杯の理性で

爆発しそうな感情を

抑えて過ごした一日だった。


そして、アクシデントを乗り越え、

シューマイの

連帯責任の意味を白状したのだった。


挿絵(By みてみん)


豊海水産ふ頭を出て、

再び佳祐が

自宅マンション前に車を停車させた。


前回のお台場の夜と同じように

『また帰宅したらメールくれるか?』

と愛美に告げると、

佳祐は運転席のドアを開けようと

ドアノブに手をかけた。


その時、愛美が

車外へ出るのを待つように言って

バッグの中をゴソゴソ探し出した。


そして『はい、これ……』

と佳祐に

鑑定メモとアロマのミニボトルと

“パンダのしおり”の赤いほうを差し出した。


佳祐は解っていたけれど理由を聞いた。

愛美から出てきた言葉は

『お揃いになるから』と

予想通りの理由だった。


それがただただ嬉しかった……。


彼女を見送って

マンション前に向かって

歩きながら思ったのは、

数十分前に歩いた時の

あの切なさとは一転して

深い“幸福感”に

満ち溢れた心になっていたことだった。


帰宅して

愛美がメッセージを送った。

すると、佳祐から

メッセージと一緒に

画像が添付されてきた。


横浜の

港の見える丘公園で撮った

数枚のフォトであった。

それを見て、

夕陽の暖色の温もりが

よみがえった……。




愛美の父親の


慶一のスマホに


一件の通知が入った。


――『恋心・接近検知アラート発動』――





挿絵(By みてみん)



To be continued…case:7『聴取』

1.絶対に拒否出来ない出頭要請

【作者より】

毎回作品だけでなく、

執筆する私自身も日々様々なことに奮闘中で、

更新が遅れることもしばしば……。

それでもこうして読みに来てくださる皆様、

本当にありがとうございます!

皆様の応援が、

愛美と佳祐の物語を紡ぐ大きな力になっています。


さて、次のシーンは

大きな潜入捜査と……とんでもない(?)事件になっております……。

次回、いよいよ佳祐が「SAT」の指揮監督に遭遇するかも!?

どうぞお楽しみに ♥


To be continued…case:7『聴取』1.絶対に拒否出来ない出頭要請

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