2
2
「レイム…?」
何かの気配を感じ、レミリアはベッドから起き上がった。昨夜から妙な胸騒ぎがするものだ。この胸騒ぎで夜も寝れやしなかった。のそのそとクローゼットからいつもの服を取り出し、ベランダへ続く階段をひたすら登った。するとドアの前に咲夜が立っていた。しかし様子がおかしい。彼女の呼吸が荒れていた。
「咲夜?どうしたの?顔色悪いわよ」
「お嬢様、今外に出ては行けません。空が黒い霧でおおわれていて…あと何かの妖気が…」
「…?」
咲夜の言っていることが理解できない。いつもは慌てることのないクールな咲夜だが今回は違った。
レミリアはドアノブをひねって、ベランダへ出た。そこで咲夜の言っていることが理解できた。
黒い霧が紅魔館上空、いや幻想卿中を覆っていた。そしてその中にかすかだが確かに強い妖気を感じる。それはここ、紅魔館から東の方向から漂っている。
さすがのレミリアも驚愕の色を隠せない。
「これは…一体?」
「わかりません…でも一つだけ確かなことが言えます」
「それは?」
「私が説明しましょうか?」
その声は後ろから聞こえた。振り向くといつの間にか八雲紫が姿を現していた。
◆
「なるほどね…」
数分の紫の説明のあと、レミリアは今起きていることを理解した。
「じゃあ朝に感じたあの妖気はレイム本人なのね…」
「分からないけど多分そうでしょう」
霊夢は身一つで黒霊夢と闘う気らしいと紫から告げられたとき、思わず絶句してしまった。
「私も行くわ!連れていってよ!」
すると紫は懐から扇子を取り出し、隙間を開いた。
「当然連れていくわよ妖怪の山までね」
「ありがとう紫!咲夜も行くでしょ?」
「ええ、私も一緒に行きますよ、お嬢様のお供ですからね」
「決まりね」
紫は最初に咲夜を隙間に入れ、レミリアも隙間に入れようとした瞬間、ベランダのドアが開いた。
「私も行く!!」
「フラン!」
ベランダに現れたのはレミリアの妹、破壊の能力を持った、フランことフランドール・スカーレットだった。
「私もレームと一緒に闘う!レームが死んだらヤダ!」
フランのわがままも酷いものだ。でも彼女が居ればすこしは霊夢の手助けにはなるだろう。
「いいわよ!来なさい!」
「やった!」
レミリアはフランの手を掴み、隙間に入れた。最後に自分も隙間に入ろうとして後ろを振り替える。
ーーもしかしたら一生帰ってこれないかも…。
そんな思いが一瞬頭をよぎった。しかし霊夢の為なら死んだって構わない…。
「お姉さま?早くいこうよ〜」
自分の世界に入り込みそうになったところで声がかかり、レミリアは気づく。
「うん、今行く」
レミリアも隙間へと入っていった。隙間があった近くには一粒の涙が零れていた。




