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「…っ!はあ…はあ…」
また起きてしまった。しかも息づかいが荒い。先日から夜中にこの夢ばかりを見るようになった。まるで何かに呼ばれている感覚だ。霊夢は布団から抜け出し、水を飲もうと台所へ向かった。
「一体何なのよ…」
霊夢がぼそぼそ言いながら湯飲みに水を入れて飲み、寝部屋へ戻ろうとした刹那ーー外からわずかだが何かの妖力わ感じた。霊夢は寝巻きのまま表へ出たが、特に変わったところはない。空も気になるところはない。空気も変わったところはーーあった。幻想卿の空気に混じって何か別の空気が漂っている。
「何…?この臭い…」
ーーまあ明日の朝になればわかるだろう。
霊夢はそう思い、布団に戻る。
ーー翌日、早朝。
かさっ。
この音で霊夢は目を覚ます。辺りを見回すと布団の近くに白い紙が置いてあった。しかもそれは丁寧に折り畳まれており、手紙という雰囲気を出していた。
「何?また『外来の品』なの?」
霊夢はぼやいた。
この世界で言う『外来の品』は文字通り外の世界から何らかの理由により突然こちらに来たりするものだ。『外来の品』は非常に高価で、妖怪、人間関係なく人気がある。しかし大抵使い方が分からない品が多いので香林堂に持っていってそこで保管している。
霊夢は手紙を拾い上げ、中身を読んだ。すると顔に電流でも走ったかのような感じになり、慌てて障子を開け外に出た。
その光景はいつもの幻想卿の空と違っていた。霊夢の手から手紙が落ちる。するとそれは燃え上がって塵を残さずに消えた。
手紙はこう書かれていた。
ーー宣戦布告。
博麗霊夢、あの時の決着をつけよう。妖怪の山五合目にて待つ。互いに命と幻想卿をかけよう。俺が負けたら結界は好きにするがいい。ただ…決着がつくまでに結界を守れるか?
博麗黒霊夢
文末は疑問形で結ばれていた。そうこの黒い霧の正体は黒霊夢が発生させたものだと霊夢は悟った。
霊夢は奥の部屋に入り、箪笥からいつもの紅白の巫女服を取り出し、ついでに呪符を1束持ち出し、彼女は身一つで妖怪の山に向かった。




